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結んであげたミサンガ

結んであげたミサンガ

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1

小さな町の、ひとつのお話

♥

640

2023年05月27日

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ある町に、とても元気で 明るい子が居た。

n

あ、まろ!

「ないこ」っていう名前で、 女の子みたいだけど、 男の子。

i

手当てしてやるから、
こっち来ぃや。

n

えへへ、いつも
ありがとね!

毎日どこかで傷をつくって、 それを俺は毎日手当てしていた。

まぁ、ヤンチャな 年頃なのかと思っていた。

普通の町の子供だし、 遊んでる途中転んだりも するだろうなって。

だけど、実際は 違いすぎた。

n

……ッ…

子供

ほら見てみろよ、
田舎のガキだ!

子供

きったねぇ!w

子供

お前、いっつも
目障りなんだよ!

ドガッ

n

ッ、

バタッ

子供

ここはお前が来ていい
街じゃねぇんだよ!

子供

ゴミ虫だなぁお前!w

子供

やめろよゴミ虫が
可哀想だろ?w

子供

確かに!w

子供

あ?何か買ってきたのかよ

n

や、やめて、…

n

それ、は…俺の、
食べ物で……ッ

子供

うるせぇな、
このウジ虫が!

ガッ、ダンッ

n

…ッ……いた…

i

ッ…!?

一方的に蹴られ、殴られ、 罵倒され、散々な扱いだった。

助けることも出来ずに、 立ち尽くしていた自分が、 無力で悔しかった。

n

まろ〜!

また笑って走ってくる。

i

…また怪我したん?

n

えへへ、いっぱい
転んじゃって!w

i

…そっか。

どこまでも愛らしく、 どこまでも辛かった。

だから、 何かプレゼントのひとつ、 あげれないかと思った。

もしかしたら、 気が紛れるかもって。

そこで、俺が小さい頃から よく作っていたミサンガを あげることにした。

i

ないこ、手ぇ出してみ?

n

ん?

i

…はい、できた。

桃色のミサンガを 手首にまわして結んであげると、 びっくりした顔でそれを見た。

n

わぁ……!

n

これってミサンガだよね!

キラキラと目を 輝かせてこっちを見る。

i

うん、ないこに
似合うと思って。

n

嬉しい、…!

n

ありがとう!絶対
ずっと着けてるね!

i

……うん、

せめて、お守り代わりに なってくれればええな。

…どうか、 この子を守ってほしい。

やめ、ーー!

何やら騒がしい。 子供が喧嘩でもしてるのか。

i

……あれ、…!?

n

か、返してッ!!

子供

なんだよ、そんなにこんな紐が大事なのかよ。

n

それは、大事な人からのプレゼントで、ッ!

子供

こんなの、こうしてやる!

ボッ(マッチ)

n

やめて、ッお願い!!!

シュウウゥゥ…

n

…ぁ、……

子供

あはははッ!w

子供

ほら、ゴミ捨てしたぞ!

子供

感謝しろよッ!w

ドガッ、

n

げほっ、…ッ、

n

み、みさん、が…

n

…そん…な、、、

n

ぅ…ぐ…あぁッ……

子供

うわ、泣いてやんのw

子供

泣き虫な弱虫だ!w

子供

気持ちわりぃw

i

ッ!

i

…ふぅぅ…、

子供に手はあげるな。 落ち着け、落ち着いて対応しろ。

i

…どうしたんだい?こんな所で。

n

ぁ、……ま、…ろ…

子供

なんだよ、お前には
関係ないだろ。

i

ほら、もう遅いから帰りな。

子供

やべっ、母ちゃんに
怒られる!

子供

急げ〜!

タッタッタッタッ…

i

…これで消えるか…?

トポトポトポ…

持っていた水を注ぐと、 小さい火だったので すぐに消えた。

i

…よし、おっけー。

i

ないこ、怪我とかない?

n

ない、けど……ッ

n

……ッ、…ごめん、…

n

まろがせっかく
結んでくれたのに、…
全部、取られちゃって……ッ

n

燃やされちゃって、…
取り返せなくて、……ッ

n

ごめんなさい、…ッ

i

…ええんよ、
気にせんといて。

あんな目にあったのに、 謝ってばっか、…

…こんないい子だから、 あんな風にされてんのかもな。

i

アイツらが悪いんやから、
必死に取り返そうと
してくれたやろ?

n

ごめん、…ッ、俺がもっと、
がんばってれば、…

n

ごめんなさ、…俺が、
弱いから…ッ

n

ふーっ、…ひゅっ……

i

…ないこ?

様子がおかしい… …まさか、

n

俺が、弱いから、俺が、ッ

i

ないこ、落ち着き。

n

まろ、こんな俺、
好きじゃないッ、

i

そんなことない、大好き。

n

俺なん、か、、

n

…げほっ、…ひゅっ、…

i

ないこ、ゆっくり息して。

n

ひゅっ、ひゅーっ…
げほっ、ごめ、ふーっ、

やっぱり、呼吸困難、 パニック状態か。

i

喋らんくていい、呼吸して、

n

ふーっ、がひゅっ、
げほっげほっ、ひゅーっ、

次第に激しく 呼吸をしようとする。

i

ないこッ!!

n

げほっ、、ぅ、

バタッ

i

ッ、…すごい熱やな…

i

今すぐ連れてかんと、

俺はあの町の医者。 熱の対処法くらいは分かる。

急がないと、 早くしないと、 こいつが危ない。

町の人

あ、いふさん!

町の人

って…

町の人

…その子って、もしかして…

i

?…ないこ、ですけど…

町の人

…その子と関わるのはやめておきなさい。

町の人

あぁ、それがいい。

i

え…、?

i

な、なんで…でしょうか…?

町の人

その子の親はねぇ…
犯罪を何度も
繰り返してる、極悪人よ…?

町の人

その子もあの人の子供だ。
どうせ一緒に
やっているに違いない。

i

……私は医者です。

i

病におかされている人を
見過ごすことはできません。

町の人

…そう…、

町の人

ある程度治療をしたら、
すぐにその子は
家に返した方がいい。

i

…そうですか。

何だ、この嫌われようは…

こんなに毎日笑って、 明るくて、 無理しすぎるこの子が…

i

…親なんかのせいで、
嫌われていいわけない。

スタ、スタ、スタ…

n

はぁ、……はー、…ッ

i

…39度…か…

こんなに高いとは思わなかった。 日々のストレスが原因か。

n

…ま、…ろ……

i

ん?

n

…ごめ、ね…、

i

…そんなの、どうでもええんよ……

i

…なんで、……

…教えてくれなかったん?

…そんなに、 頼りなかったんだろうか。

…そりゃそうか。 一度ないこを見捨てた罪人。

…見極めるのが上手なんかな。

役に立たない人と、 役に立つ人の差を。

n

…んん、……、?

i

…ないこ、大丈夫か?

n

……うん、…

少し下手な笑い方。

…無理に笑わんくてええのに。

i

これ、熱に効く薬草のお茶。

i

自分で飲めるか?

n

…飲める、…

i

どうぞ、

n

ありがとう…

i

苦いけど、大丈夫か?

n

大丈夫、……

n

…ん、……

コク、…コクンッ……

i

ん、よくできました。

ワシャワシャ

n

………

さっきから元気がない。

まぁ、 あんだけ殴られ蹴られ してれば…な。

n

…まろ……

n

迷惑ばっか、…かけて…ごめん……

i

そんなのええよ。

n

…今…何時……、?

i

…六時、やけど……

n

……ごめん、もう行くね。

i

は?いや、

そんなフラフラな状態で?、

ギシッ

i

ないこ、まだ治ってな

n

迷惑ばっかかけてるし、もう帰るから、

n

俺が居たら、無駄な時間使うだけだし、もう行く、ね

n

母さん、待ってる、早く帰んないと

i

ないこ!!

n

!…

n

ぁ…、ごめん、……

i

………

今、明らかに正気では なかった。

それに毎回手当てする あざ、切り傷、火傷…… 明らかに人からやられたとしか 思えない量あった。

あの子供も原因だろうけど、 門限はあるみたいだし、 あそこまでボロボロには できないはず。

前から薄々思ってはいたが、 ないこの親は恐らく…

i

…今日は、ここ泊まってええよ。

n

でも…

i

ええから、寝てて。

n

…うん、…わかった。

i

…ふぅ……

パサッ (白衣を脱ぐ)

i

ごめんな、患者の前やけど、本当は仕事終わりやから。

n

…ごめん、わざわざ……

i

気にせんといてや。

いちいち謝るなぁ… そんな癖、なくせたら ええんやけど。

i

何か嫌いなものとかある?

n

…ない……

i

そっか、ちょっと飯作ってくるから待っててな。

n

…わかった。

…少しでも早く戻んないとな。

i

…材料は全部あるな……

i

よし、作るか。

i

…できたな。

i

はよ持ってかんと。

スタ、スタ、スタ…

i

ないこ〜、ご飯でき…

n

かはっ、…げほっ、おぇ…

ピチャ…ピチャピチャッ…

i

!?ッないこ!!

タッタッタッタッ

i

この量、…ッ

i

何があったッ、!?

n

げほっ、げほっ…

n

…薬、…飲ん、で……ッ、おぇッ…

i

なんで、…ッ、!?

n

母さん、から…
まいに、ち…ッ…
飲めって、…

i

その薬貸せ、!

n

…これ、……、

i

ッ!…これっ、て…

毒薬… しかも、弱めの毒だから、 大量に摂取して、 長いこと苦しんだ後に 命を落とす、…

i

ないこ、今すぐ
飲むのやめろ、!

n

でも、ッ…母さん、が…
心配して、…、

i

違うッ、!!

n

……ぇ、……?

i

…これは、毒。

n

…どく、……、?

i

そう、ないこを心配してんなら、
こんなの与えん。

i

辛いかもしれんけど、母さんは

n

どく、…なら、
別によくない、……、?

i

…は、…?

n

だって、どくでしょ?

n

母さんが、どくは
いいお薬って…、

i

……何、言って…

そうだ、……そうか。

学校に行けないから、 信用できるのは親の言葉だけ。

親がそう教えれば、 子供がそう覚える。

当たり前だ、… なんで、気づかなかった…?

i

…毒は、…

n

…俺は生まれつき
体が弱いから、って

n

俺が弱いから、毎日、
蹴って、殴って、……
強くしようとしてくれるの、

n

俺の母さん、すごい
やさしいんだよ…ッ、

i

………ッ…

優しいが、 この子にとっては、 母さんなんだ。

虐待が、 この子にとっては幸せなんだ。

そう、覚えてしまったから。

n

ねぇ、……まろ、…ッ、

i

……なん、、や?

言葉が上手く出てこない。 少し喋るだけでも、 胸がうるさくなる。

n

……、ミサンガ…ちょうだい……、?

i

ミサンガ、…?

n

うん、……前のと、
おなじの…、

i

なんで、……?

n

あの、…ミサンガ、
腕に、つけてたら…

n

…ほわほわするの、…
あったかくて、

n

まろが、…わらってる
ときみたい、で……ッ

n

げほっ、げほっ…おぇッ…

i

ッもう喋らんで!

かなり限界に近い。 弱い毒とはいえ、 これまでずっと飲んできたなら、 相当負担でかいはず。

i

解毒剤…は、……ッ!

n

…ねぇ、まろ、…ッ、

n

俺さ、…まろが、
ミサンガ……くれた時、……

n

……ッ、うれしかった、…、

i

また作ってやるから、!
それまで生きてろッ、!

n

…ごめ、ね…まろ……

i

!ッ…

スゥ…

i

ないこッ!しっかりしろ!

n

………

目を瞑って動かないあの子が、 痛々しくて、 間に合うのかという不安しか なかった。

解毒剤を飲ませた頃には、

目を開けない子になっていた。

?年後

i

………

あの出来事のあと、 町は驚くほど発展していった。

俺は前よりも医術を身につけ、 医療所を建てた。

一人でも救いたい。 そんな願いから、 助手も何十人かはできた。

町では色々な物が売っていて、 飛び交う声たちも 騒がしくなった。

…今、俺は幸せだろう。

子供

おりゃあ〜っ!

i

おわっ!?

子供

えへへ、びっくりした?

i

もぉ…驚かせんなや…

子供

ごめんなさ〜い!(笑)

子供

ていうか、ぼーっとしてたじゃん!どしたの?

i

…ちょっと、考え事してた。

子供

ふーん……?

子供

…せんせ、ちょっと腕出して!

i

?…はい、

スル…キュッ

子供

ん!これ!

i

……ミサンガ…?

子供

そうだよ!自分でつくってみたんだぁ!

i

へぇ、……上手やなぁ。

ワシャワシャ

子供

せんせいやっと笑ったぁ!

i

え……?

子供

まいにち暗いお顔なんだもん!

子供

今、にーってしてる先生、

大好きだよ!

i

!……

…見た目も、声も、 全然違うのに。

子供に重ねてしまう影は、 いつもあの子。

i

…俺もやで、…

子供

…ひひっ、(笑)

i

…ほら、ないこ。

自分で作った青いミサンガと、 あの時と同じミサンガを、 十字の石に結ぶ。

i

…ごめんな、長いこと忘れてた。

i

子供たちによく作ってたから、
少しは上手くなったやろ?(笑)

笑ってみたけど、 少し下手だったかもしれない。

…また結んでやりたかったな。

…まろ、

i

!…ッないこ、、?

n

…このミサンガ、
あれと同じだ、

n

…まろが笑ってるみたい。

n

あ、今は、…ほんとのまろも
笑ってるから、

n

あったかいの、二つ分?(笑)

n

青いのは、まろが
隣にいる気分になれるなぁ。

n

隣でまろが笑ってたら、…
何も言うことないや!(笑)

n

…ありがとう、

n

俺は、まろが初めての
「幸せ」をくれた人で…

ザアァァッ…

n

…幸せだよ!

i

ないこッ、…!

スゥ…

…現実…にしては、

i

夢見すぎ、…やな…

…懐かしいなぁ、 ないこは…あの時から、何も、 変わって、なくて…。

i

ッ…、俺も、…

i

お前が居てくれて、…

i

幸せやったよ…ッ

i

…、…ッ

いつぶりやろうなぁ…

i

…ないこのことで……

┈┈┈┈┈┈泣いたのは。

その日は、 晴れすぎていた。

ないこ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ まろ

結んであげたかったミサンガ

みーさん。様へ

素敵なコンテストの開催、 ありがとうございました!

少しこじつけ感が あったかもしれませんが、 自分なりに 頑張らせていただきました。

投稿する作品、 ちらちらと拝見させて 頂いてます!

みーさん様ほどでは ないかもしれませんが、 少しでも何か 思ってくれれば幸いです。

そしてこの作品を 読んでくれた皆様へ。

約350タップ以上の この作品に目を通していただき、 ありがとうございます。

大切な人である皆様への 感謝を忘れずに頑張りますので、 これからもよろしくお願いします。

長くなってしまいましたね。 それではここら辺で!

┈┈┈┈ end ┈┈┈┈

この作品はいかがでしたか?

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