兄
見て!テストで98点とった!
母
あら!凄いじゃない!
父
偉いぞ〜
僕も、褒められたい
弟
ねえ…僕…100点とった……!
母
あっそ
父
……
冷たい視線が突き刺さる
母
どうしてお前は…兄に勝つの?(((ボソッ)
父
弟なんだから、兄よりは下でいてほしいのだが?(((ボソッ)
弟
……ごめんなさい
この日から、僕は わざと失敗するようになった
兄
見て!96点とった!
母
凄いわね〜
父
関心するな〜!
母
あんたは?何点なの?
弟
80点…
父
お前は本当にダメだな
母
そんなだから成績も下がるのよ
弟
……ごめんなさい
貴方達が望んだことだろう 僕はそれに従っただけ
父
偉いな!兄は
兄
えへへ!
明るい家族 仲良い家族
その基準はなんなのか
家族なんて、 所詮
血の繋がった他人に過ぎないんだ
兄
なあ、弟…
弟
……ん?
兄
ごめん…
弟
なんで謝るの?
兄
だって…
弟
あー、いつも僕だけ怒られてるってこと?
兄
……
弟
いいよ、それが普通だから
兄
でも
兄の曖昧な返事に 僕は何かが切れる
弟
だったら庇ってくれたっていいじゃないか!
弟
でも…?なんだよ
弟
曖昧な答えしか出せないから
弟
僕に勝てないんだろ?
我ながら酷い言葉だ
兄
……ごめん
弟
…もうほっといてくれ!
僕は部屋を飛び出した
母
弟!どこ行くの?!
弟
うるせぇ!
父
母に向かってなんて口を聞くんだ!
弟
お前らなんか…親じゃない!
母
兄が悲しむわよ…?
いつだって…
弟
兄、兄うるさい!
弟
そんなに兄がいいなら僕なんていらないじゃないか!
父
おい!弟!
弟
触んな!
僕は家を飛び出す
弟
…なんだよ…
弟
僕なんて必要ないじゃないか
弟
…なんでこんな所に僕を落としたの
弟
なんで神様は僕を生きさせるの?
そんなことを呟きながら 僕は歩く
「危ない!」
後ろから叫ぶ声が聞こえる
弟
…え?
車にぶつかる鈍い音と共に 僕の意識は飛んで行った
弟
ここは…
生死の狭間 とでも言うところだろうか
だとしたら僕は…死を選ぶ
兄
弟…弟!
母
…目を覚まして
父
お願いだ…
弟
くくッ…
アホらしくて 僕は笑う
必死そうに僕の名前を呼ぶあいつらに、ざまぁみろと伝えたくて仕方ないのだ
母
私達…家族でしょ?
弟
家族か…
家族がフィクションなのだとしたら
家族という言葉に縛られる必要は無い
そうか
もう楽になろう
僕の意識は もう戻ることはなかった