ひと月前くらいからだ

美沙がおかしくなったのは

そう言って美沙は どこかに行ってしまった

放課後

ガサ…ガサガサｯ…

10分後

鳥居に穴が空いていた

自分の手がギリギリ入るか入らないかの

普段は絶対に見落とす、小さな穴

愛莉がそれを覗こうとした時

愛莉の言葉を無視し、どんどん遠ざかっていく弥生

結局、愛莉は穴を覗かなかった

それを言い終わると弥生はどこかへ行ってしまった

放課後

愛莉は昨日調べられなかったところ

鳥居の穴に近づき

────覗いた

カワッテ

イマ

タスケテ

私は不意に理解した

カワイマタの意味を

カワッテ イマ タスケテ

この3つの言葉が、頭部分しか聞こえなくてそうなったんだ

そして、美沙はそれが聞こえた

穴を覗き込んだから

弥生ちゃんによって

ああ、そうか

弥生ちゃんは、美沙が邪魔だったんだ

私と仲がいい美沙が

だから私に穴を覗かせたくなかった 調べさせたくなかった

昨日の夜来たのは美沙のためだと言っていたが、多分、私が穴を覗かないか不安で来たのだろう

なんだ、ほとんど弥生ちゃんのせいじゃないか

──意識が遠のいていく

そこで、誰かの笑い声が聞こえてきた

それは私だった

そして

後ろで誰かの視線を感じた

そんなの、今は

ドウ、でモ、イイか…