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君を誰にも渡さない

君を誰にも渡さない

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6

浮気

♥

35

2020年09月14日

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直弥君は呆然とした表情で、こっちを見ていた。

私はすぐに稜太から離れた。

直弥

何、やってるんだ……?

菜穂

……直弥君、どうして?

直弥

気まずい状態は嫌だから、ちゃんと話そうと思って

直弥

それより、どういうこと?

菜穂

……あ、あの、これは

直弥

今、抱き合ってたよな?

菜穂

違うの

直弥

何が違うんだよ

私は何も言い返せなかった。

直弥

どういうつもりだ?

直弥君は稜太に向かって言った。

稜太

……

直弥

何とか言えよ!

稜太

……俺の方から、抱きしめた

直弥

よくもそんな堂々と言えるな

直弥

僕と菜穂は付き合ってるんだぞ?

直弥

それを知っててやったのか?

稜太

……ああ

直弥

ふざけるな!

直弥君は稜太を殴った。

稜太はやり返そうとはせずに、俯いていた。

直弥

もう菜穂に手を出すなよ

直弥君は私を連れて、その場から離れた。

振り返ると、稜太は田んぼの傍に、立ったままだった。

翌日。

登校した私は、稜太を屋上に呼び出した。

菜穂

昨日は、ごめんね

菜穂

私、あの時どうかしてたんだ

菜穂

泣いてて冷静じゃなかったの

菜穂

それでとっさにというか、その場の勢いというか

菜穂

これ以上、直弥君に誤解されるの嫌だから、これからはあんまり話さないようにしよう

稜太を見ると、納得いかない表情だった。

稜太

……あの時、お前は何の気持ちもなかったのか?

稜太

俺は違う

稜太

俺はあの時、抱きしめたいと思った

稜太

泣いてるお前を見て、守りたいと思った

稜太

だから、抱きしめた

稜太はそう言って、私を見つめた。

私はドキッとする気持ちを抑えた。

菜穂

そ、そんなこと言われても、どうしようもないよ

菜穂

私は直弥君と付き合ってるんだから

稜太

……

菜穂

と、とにかく、こうやって二人で話すのはもうやめよう

私はそれだけ言って、逃げるように屋上を出て行った。

休み時間になり、私は廊下を歩いていた。

直弥

菜穂

振り向くと、直弥君が立っていた。

菜穂

直弥君

直弥

ちょっと一緒に来て

菜穂

うん

直弥君に連れられて、使われていない教室に入った。

物置のようになった室内には、私たちの他に誰もいなかった。

直弥君はドアを閉めた。

直弥

一体あいつとはどういう仲なんだ?

菜穂

あいつって、誰のこと?

直弥

相沢稜太に決まってるだろ?

菜穂

ただのクラスメイトだよ

直弥

ウソだ

菜穂

……

直弥

今日も屋上で、二人で仲良く会っていたそうじゃないか

菜穂

(……誰かに見られてたんだ)

菜穂

違うの

直弥

何が?

菜穂

誤解されるから、もう二人で会うのはやめようって、話してたの

直弥

信じられない

菜穂

そんな……どうして?

直弥

じゃあ、昨日抱き合ってたのは何なんだよ

菜穂

……あれは

直弥

あいつの方から抱きしめたって言ってたけど、拒むことだってできたはずだよ

菜穂

……

直弥

菜穂はそれを受け入れて、抱き合ったんだ

菜穂

……

直弥

言い返せないんだね

菜穂

……ごめんなさい

直弥

どうしてだよ

直弥

あいつを受け入れて、どうして僕を拒むんだ

直弥

僕たち、付き合ってるんじゃないのかよ!

菜穂

お、落ち着いて直弥君

直弥

僕は冷静だよ

直弥

冷静じゃないのはそっちだろう? 浮気なんかして

菜穂

浮気!?

菜穂

そんなつもりじゃないよ!

直弥

うるさい!

菜穂

私、直弥君のこと好きだよ!

菜穂

信じてよ!

直弥

僕に口答えするな!

パシッ。

菜穂

……え?

私は頬を押さえた。

菜穂

(私、今、叩かれた?)

直弥

ご、ごめん

直弥

叩くつもりなんてなかったんだ

菜穂

……

直弥

ごめんよ、菜穂

直弥

許して

直弥

ねぇ、許してよ

私はショックで何も言えなかった。

ただ呆然としていた。

君を誰にも渡さない

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コメント

5

ユーザー

げんさんのお話、いつも 終わり方が凄くお上手で………✨ 続きがとても気になります…!

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