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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
あの日、君がくれた言葉。

あの日、君がくれた言葉。

「あの日、君がくれた言葉。」のメインビジュアル

1

あの日、君がくれた言葉。

♥

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2023年09月22日

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この桜を見る度

私は君に

出会えてよかったと感じるんだ

でもきっと

君も同じこと考えてるよね

この桜を見ると

あいつと出会った頃を

思い出すんだ

そして今

心の底から

出会えてよかったと感じてるよ

私は今日

新しい学校に行く

正直

行きたくない

お母さん

いってらっしゃい桜

有村桜

うん

有村桜

行ってきます

その言葉だけを交わして

私は学校に向かった

安藤先生

はーい皆静かに

安藤先生

今日はこのクラスに転校生が来ます

綾瀬瑞希

マジでー?!

綾瀬瑞希

亮のタイプ来るかもよ?!

芦田亮

うっせぇな興味ねぇから

安藤先生

はい静かに

安藤先生

有村ー入っていいぞー

先生の声が

教室中に響き渡った

その瞬間

肩が少し揺れた

同時に肩の力も抜けた

そして、私はドアを開けた

有村桜

失礼します

安藤先生

じゃあ自己紹介をお願いだ

有村桜

はい

有村桜

名前は有村桜です

有村桜

家の都合によって東京から来ました

有村桜

よろしくお願いします。

安藤先生

はい、拍手!

教室中に音が響く

今誰1人目を逸らしてる人がいない

この感じ、久々だな……

安藤先生

有村に質問ある人いるかー?

芦田亮

はい

安藤先生

お、亮いいぞ

芦田亮

誕生日いつですか

有村桜

12月の24日です

綾瀬瑞希

亮誕生日一緒じゃん!よかったね!

芦田亮

だからうっせぇどうでもいいから

2人の会話がチャイムを消した

安藤先生

じゃあ席は亮の隣で

芦田亮

お、俺?!

安藤先生

分からないことあったら教えて上げろよ

芦田亮

わ、わかったよ

とりあえず私は席に座った

この教室はすごく綺麗で

初めて嬉しく感じた。

休み時間になると

私は1人になった。

そういう時のために私は

常に本を持ち歩いている。

なぜなら

本が私の"友達"という存在であるからだ

トントン

いきなり肩を叩かれた

高橋歩美

有村さん

高橋歩美

私歩美、よろしくね

有村桜

よ、よろしくお願いします

高橋歩美

なんでそんなに驚いてんのw

高橋歩美

クラスメイトでしょ

高橋歩美

私のことは歩美って呼んで

有村桜

ありがとうございます、

初めての友達。

それはまるで

私に神が降りてきたかのような

嬉しい出来事だった。

キーンコーンカーンコーン

チャイムと同時に私帰る

高橋歩美

有村さーーーーーーーん!!

ものすごい声が聞こえて私は振り向いた

有村桜

有村さん?!

有村桜

どうしたの、!

高橋歩美

はぁ…一緒に…帰り…たくて

有村桜

え…

いつも1人で帰ってた

友達もいなくて

帰る相手もいなかった。

有村桜

歩美……さん……

高橋歩美

ちょっとなんで泣いてんのー

高橋歩美

よろしくって言ったじゃん!

有村桜

よろしく……

高橋歩美

よろしくは"友達"って意味だよ!

有村桜

友達……ありがとう……

高橋歩美

大袈裟だなー

私たちはすぐ"友達"になり、

一緒に帰ることになった。

芦田亮

歩美ー!

高橋歩美

あ、亮!

あの人

確か隣の席になった"亮"って人だ

綾瀬瑞希

もー待ってよ亮!!

芦田亮

お前が遅いんだろ

綾瀬瑞希

亮が早いんだよ!

芦田亮

ちげーよ

高橋歩美

ほら喧嘩しない

高橋歩美

ごめんね有村さん

有村桜

あ、いや全然です、

高橋歩美

2人も友達なの

高橋歩美

綾瀬瑞希と芦田亮

綾瀬瑞希

よろしくね!亮とは幼なじみ!

有村桜

あ、そうなんですね、

綾瀬瑞希

亮もよろしくっていって!

芦田亮

いちいちめんどくせーな

芦田亮

よろしくな

有村桜

こちらこそよろしくお願いします……

高橋歩美

じゃ、みんなで帰ろうか!

綾瀬瑞希

さんせーい

芦田亮

別にいいけど

高橋歩美

有村さんは大丈夫?

有村桜

全然大丈夫です、!

高橋歩美

じゃあ決まり!

高橋歩美

私次こっちなのー、バイバイ

有村桜

また明日待ってます

歩美さんが離れていく

そして3人となった

芦田亮

おい

有村桜

は、はい

芦田亮

お前………

怖い気配がして

有村桜

ご、ごめんなさい……!

思わず私は走った

芦田亮

あー行っちゃった

綾瀬瑞希

あの足はどうしたらつくんだろうw

部屋に入ると

疲れてすぐベッドの横になった

有村桜

はぁ…疲れた

横になってからも

私はあの"芦田亮"が気になってた

あの目は

私を睨んでるように見えた

違うと思うけど

私はあの彼の顔が頭から離れない

有村桜

あームズムズする!!

私は気分を変えるために

ミルクティーを作ることにした。

昔、お父さんがそのミルクティーを 作ってくれたのを覚えてる。

お店のミルクティーもおいしい。

けどやっぱり

お父さんと同じように

1から作るミルクティーが

私は飲みたい。

私はいつもそのミルクティーに

心を癒されている。

でも

私はいつになってもお父さんの ミルクティーに勝てない。

お父さんのミルクティーは

私にとって世界一の物だったから。

もしいつか、大人になるなら

お父さんのようなミルクティーを 作って

誰かに愛してもらいたい。

昨日は疲れすぎて

すぐ寝てしまってた

その分気持ちのいい朝になった。

有村桜

おはようお母さん

お母さん

あら、今日は元気ね

お母さん

何かいい事あったの桜

有村桜

そんなことないよ

有村桜

行ってきますお母さん

有村桜

そして、お父さん

有村桜

昨日は抜け出しちゃったし

有村桜

教室入るの気まずいな……

芦田亮

おい

有村桜

は、はい…

芦田亮

何そこ突っ立ってんの?

有村桜

えっと…

芦田亮

邪魔なんだけど

有村桜

ちょっといろいろあって…

芦田亮

つまり入りずれーの?

有村桜

ま、まあ…

芦田亮

めんどくせぇな

芦田亮

はい

有村桜

え…?

芦田亮

俺の後ろからついて来ればいいから

芦田亮

黙ってついてこい

有村桜

あ、うん

芦田亮

隠れてても構わねぇから

彼の後ろを通った

きっと昨日のことは忘れたのかな

彼の後ろ姿は

今までで1番頼もしかった。

だって

私はいつになっても

お父さんの思い出だけが

私の宝物だったから。

今まではお父さんの背中が 1番頼もしく感じてた。

でもそれは

たった一瞬だけだった。

ー1年前ー

有村桜

お父さんー!

有村桜

ミルクティー作って!

お父さん

もちろんいいぞー

私はお父さんのミルクティーを 飲むのが日常になってた。

有村桜

おいしい!!

有村桜

やっぱりお父さんのミルクティーは

有村桜

どの店よりもおいしい!

お父さん

そうかーお父さん嬉しいぞ

有村桜

えへへ

いつしかお父さんは家を出ていき

離婚した。

何でかはもう覚えてない

その日かかなりショックだったのは

すごく記憶に残ってる。

芦田亮

おーい

有村桜

は、!

芦田亮

何ぼーっとしてんの?

有村桜

あ、いや、

芦田亮

今日瑞希が休みだから

芦田亮

話す相手とかいないから

有村桜

確かに、そうですね

芦田亮

あのさ

芦田亮

敬語辞めない?

芦田亮

クラスメイトなのに

有村桜

あ、はいそうですね

芦田亮

桜って呼んでいい?

有村桜

はい、!もちろんです、!

芦田亮

じゃあお前は亮って呼んでな

有村桜

は、はい!

ちょっと嬉しかった。

悲しいことを頭に入れて

現実を受け入れられないと思ってたら

話しかけてくれたり

冷たいところもあるけど

結局優しい。

窓を開けると

外の風が

甘酸っぱいあの日の夏の味がした。

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