私の友達、楓はいつも優しくて明るくて、頭も運動神経も良い、 "完璧"な子。
葵
…君らしい人になりたいな
それに比べて私は、いつもみんなに嫌われるのを怖がって、私の意見すら言えない…。 誰にも本当の私を見せられないんだ…。
葵
「僕らしいひと」になりたいな…
それでも私は楓のような人になって、みんなに好かれたい。
葵
(望むならそうすりゃいいけどさ)
葵
でもそれってほんとにぼくなのかい…?
私なんかが楓みたいな人になるなんて
葵
子供騙しな夢ひとつ
いつも流されてばっかりで、楓とはほど遠い私…
葵
こんな僕なら
葵
死ねばいいのに…
いつも私は周りに迷惑ばかりかけてしまう。
葵
こんな僕が生きてるだけで
葵
何万人の人が悲しんで
もういっそ消えてしまいたい…
でもまだ、両親や友達のように、 私を望んでいる人がいるんだ…
葵
誰も僕を望まない
葵
そんな世界だったらいいのにな…
私のことを嫌いな人なんて沢山いる。 だったら…
葵
こんな僕が消えちゃうだけで
葵
何億人の人が喜んで
嫌いな私がいるせいで沢山の人が苦しんでいるのなら…
葵
誰も何も憎まないなら
葵
そんな嬉しいことはないな
最近はいつも色んなことを考えて、ぼーっとしてしまう。
葵
明日も僕は夢うつつ
葵
このまま僕は消えていいのに…
世界には沢山の人がいる。 歴史に名が残るのは極わずかな人だけだ。
葵
こんな僕が生きたところで
葵
何億人の人は知らないし
葵
誰も僕を望まない
葵
そんな世界だったらいいのかな…?
葵
こんな僕が消えたところで
私を知らない人が沢山いるのなら。
葵
何億人の人は変わらない
私がいなくなっても気づかない人が沢山いるのなら。
葵
誰も僕を憎まないなら
葵
損した事に変わりないな
葵
最期なんかみんな同じように倒れてゆきます
他人の理想で作った私も
葵
メイドイン他人の「自分自身」崩れてゆきます
葵
最期なんかみんな同じように離れてくのに
楓
葵…!!
楓
こんなところに居たんだね。
楓
探したんだよ、もぉ〜…
そう言って楓は嬉しそうに笑った
葵
(こんな僕が生きてるだけで)
葵
(なんで君はそんなに笑うの)
葵
(君がそんな笑顔じゃ)
葵
(悲しくても消えたくても…)
辛い理由なんて…
葵
(さよならする理由なんて…)
無ければいいのに
葵
こんな僕が消えたところで
葵
何億人の人は変わらない
楓
葵?
楓
どうしたの…?
葵
うっ…
楓
!!ちょ、泣かないでよ
楓
…葵が泣いてると
楓
葵が辛そうにしてると…
楓
…私まで悲しくなっちゃうよ…
だけど僕を止める何かが
そんな顔しちゃ笑えないや