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鐘の音を合図に

鐘の音を合図に

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鐘の音を合図に

2020年07月20日

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おはよう

美月

おはよう

美月

今日、早いんだね

うんなんか目、覚めちゃって

美月

そっか

今日は土曜日、いつもの何気ない会話がこうして始まった

今日ちょっと会える?

美月

うん、大丈夫だよ

じゃあ16時にいつものとこで

美月

分かった

いつものとことはデートをする時によく待ち合わせ場所にしていた時計台の下。 俺は今日そこで美月に別れ話をするつもりだ

俺は最近美月と一緒にいる理由を失いつつある 何気ないことでもイラついたり意見が合わなくなったり最近はすれ違いばかり起こっていた そこで俺は別れることを決意した

今日私は陸と会う約束をした なんとなく何をするのか検討がついている たぶん別れ話だ。 私は最近陸が冷めつつあることに気づいていた 何をしていてもそっけなくいつも上の空だった そんな陸に私も飽き飽きしていた。

私ってこんなすぐ冷める人間だったっけ 相手が冷めてるって気づいただけで私まで冷めてしまうなんて… あんなに好きだったはずなのに

俺は確かに美月が好きだった 見た目は清楚なのに元気で明るくてどんな事にも夢中になって取り組んでいた 俺はそうゆうあいつが好きだった なのにいつの間にこんなに冷めてしまったんだろう

今は10時 待ち合わせの時間まであと6時間 どーやって別れ話を切り出せばい? 美月はどんな反応をするだろうか 悲しむだろうか 驚くだろうか 色々なことが頭をよぎってきた

今は12時 いつもならお腹が空いて何か食べている時間帯だが今日は妙に食欲がない あぁそうだ、別れ話されるんだっけ まだ決まってないない、何をされるか分からないのにもう私は「別れ話」だと決めつけていた

不在着信

不在着信

そんなこを考えていると陸から不在着信が入っているのに気づいた 私はかけ直すことにした

美月

通話終了

通話
10:00

もしもし、あ、美月?

美月

うん、そうだけど。
どーしたの?

あのさ、時間変えたくて。いーかな?

美月

うん、いーよ

ごめんな、じゃあ15時に変更で

美月

分かった

俺は気づくと美月に電話をかけていた なぜか1度目は出なかったがすぐ折り返しの電話がかかってきた 俺は16時まで待てなかった 待ち合わせの時間が長いほど余計なことを考えてしまう 頭の中がこんがらがってきていた だから1時間早く待ち合わせをしてもらうことにした これで少しは落ち着くだろうか 自分をコントロールすることさえ今の俺には不可能だった

なんの電話だろうと折り返してみたものの待ち合わせの時間を1時間早くして欲しいとのちょっとしたお願いのみだった もしかしたら会うのも嫌になって電話で別れ話をされるのではないかとさえ思った。 私って最低だな 律儀な陸がそんなことをするはずがない。 自分でも分かっているはずなのに

だんだんと待ち合わせの時間が迫ってくる あと1時間 俺は常に時計を気にしては1分おきぐらいに見ていた あと59分、58分…

ついに待ち合わせ時間の15分前になった 時計台までは家から10分もしないところにあった 今から行っても余裕で間に合う 俺は歩いて待ち合わせ場所まで向かうことにした

今は14時40分 時計台までは家から自転車で10分ほどの距離にあった 今から自転車で行っていいぐらいの時間かな 私は自転車で時計台まで行くことにした

俺はなんとか時計台のところまで来ることができた まだ美月は来ていなかった デートをする時も俺が美月よりも早く来て待っている。 これがいつの間にか当たり前になっていた

私が着いた頃にはもう陸の姿があった いつもと同じように私が来るのを待っている

よっ

ごめんな、急に呼び出して

美月

ううん全然、ちょうど暇だったし

なら良かった

美月

今日はどうしたの?

えっと、あの、

その時だった、。 ゴーン、ゴーンッと時計台の鐘が鳴る大きな音がした 今3時になったんだ 次は迷わず、強く切り出した

別れたいんだ、美月と

あぁやっぱり、私の予想は当たっていた 「別れ話」だ 陸はハッキリと「別れたい」、そう言った 別れ話だと分かっていてもなぜか悲しかった 直接別れたいと聞くと涙が溢れてきそうにもなった なぜだろう。あんなに覚悟してこの数時間待ってきたのに なんで悲しんだろう

美月

そっか、。

今の私にはこれだけしか言葉にすることが出来なかった

ごめん、

でも俺、ちゃんと美月のこと好きだった

美月は、我慢しているのかもしれないが今にも泣き出しそうな悲しい顔をしていた 俺は謝り、ちゃんと好きだったと伝えることしかできなった

陸は私の顔を見ては「ごめん」と謝り「好きだった」と言った もう今は好きじゃない、そういうことだ

少し沈黙が続いたあと美月がこう言った

美月

分かった、けど一つだけお願いしていいかな、4時まであと30分。
あと30分だけ、ここに一緒にいて欲しい
そしたら別れるから。

正直美月がそんなことを言うことにびっくりしたが俺も嫌だと言う理由もなくお願いを聞き入れることにした

私も陸も冷めている。 そう分かっていながらも最後は少しでも一緒にいたい、そう思った そこで出たのがあの言葉だった

何をするにもいつも集合場所はここだったよな

美月

そーだね

楽しかったな

美月

うん

俺のさ、どこが好きだった?

あ、やっぱいーや

好きなとこなんて、山ほどあった。 バカなちょっとした事で大爆笑できるとこ。 友達想いなとこ。 誰にでも優しいとこ。 正義感が強いとこ。 まだまだたくさんあるけどもう、思い出すと泣き出しそうでこれ以上考えられなかった

じゃあさ俺の事、ちゃんと好きだった?

美月

当たり前じゃん

そっか、ありがとな

美月

ううん

なんて話をしていると30分なんてあっという間だった こんな終わり方になってしまい美月には本当に悪いと思っている でもこのまま2人でやっていくのもそれはそれで美月を気づつけてしまいそうで怖かった これでいいんだ。 これで、。

陸とこんな急に別れることになったけど今がちょうど良かったのかなって思っている自分がいた こんなもやもやした気持ちをこのままにしていたら陸も私ももっと悲しくて耐えられなかったと思う。

あと1分か

美月

そーだね

4時の鐘がなったら、帰ろう

美月

うん、

ゴーンゴーン

4時だ

4時…

じゃあな

美月

うん、バイバイ

俺たちは逆の方向に歩き出した

さよなら、。

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