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嘘が真実になる瞬間

♥

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2023年06月21日

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12時を過ぎた頃

約束通り彼は来た

世話役を起こさない様に裏から彼を招いた

大谷

…。

璃子

翔平さん、

璃子

どうしました、かッ⁈(グンッ

彼を先に部屋に通すと凄い力で腕を引かれた

鋭い眼光と目が合った

璃子

バタンッ

あれから3週間以上経っている

最後に彼を見たのは

半裸でばつの悪そうな顔をして部屋から出ていった時だ

それ以降、連絡が取れない

それに、

璃子

…ッ!(クラッ

クラスメイト達

大丈夫?具合悪い?

璃子

大丈夫!

璃子

実は今生理中で、

クラスメイト達

あー、貧血か

嘘だ

生理なんて来ていない。

もう来てもおかしくないのに。

最近は目眩が酷い。食欲も減少した。

下腹部には痛みを感じる

璃子

(もしかして、)

可能性はある。

頭では理解している

でも信じたくなかった

璃子

(取り敢えず、確認しなくちゃ…、)

妊娠検査薬の判定窓には濃いライン

璃子

(嗚呼、)

嘘が真実になった

『偽物』の母では無く

『本当』の母になるのだ

璃子

(どうする、?)

結果と体調からして今は妊娠5周目

まだ堕ろす事が出来る

父と彼が子供をどうしたいかでお腹の子の運命が決まる

父は「産め」と言うだろう

父にとってその方がこの結婚の保険を掛けられるからだ

でも彼は?

「要らない」と言われてしまったら?

これは罰だ

今、私はどんな顔をしてるの?

ちゃんと愛せるの?

違う

やるしかないんだ

私の選択は間違ってるかもしれない

この事は父にも彼にも伝えない

お腹の子も含めて

騙し通す

愛すんだ

それが嘘でも

学校は病気と言う建前で休学する事にした

私の日頃の不調を見ていたため、クラスメイト達から疑いの目を向けられる事はなかった

問題はここから

世話役の人には事情を説明した

産婦人科に行き、身体に負担をかけないよう色々と学んだ

担当の先生には心配の眼差しを受けた

だけど明るく取り繕って妊娠に向けて体作りを進める

出産当日の日になっても彼からの連絡は無かった

子が欲しくてあの行為に至ったのか

 それともただの独占欲か

彼にしかわからない

そして、

ぁー!あー!

助産師

産まれましたよ!

璃子

はぁッ、はぁッ、

助産師

可愛い男の子です

助産師

今綺麗にして連れてきますね

助産師

どうぞ、抱いてあげて下さい

璃子

…、

璃子

あったかい…、

璃子

私が、

璃子

私が貴方を守るから、

璃子

大丈夫、

璃子

大丈夫だよ、

あの人に何と言われようと

彼と連絡がようやく取れた

顔合わせをした庭でもう一度彼と会う

話さなくてはならない

大谷

…、

璃子

翔平さん、

大谷

…!ッ、

大谷

…。

大谷

ぇ、

璃子

お久しぶりですね

大谷

は、え、…?

璃子

報告があります

大谷

待って、…

大谷

嘘だ、ッ

璃子

嘘じゃありません

璃子

本当です

大谷

俺…ッ、

大谷

その子、

大谷

俺の子、なの…、?

璃子

はい、

璃子

これは罰です

璃子

無責任だった私の罰なんです

大谷

違う、ッ

大谷

俺だ、

大谷

ごめん…、

大谷

ごめんなッ、さい…ッ、

大谷

俺ッ、本当に君の事好きになっちゃって…、ッ

大谷

それで、離せなくなっちゃってッ、

大谷

子供が出来たら離れないってッ…、

大谷

本当に最低な事しました…ッ、

大谷

ごめんなさい…、

大谷

ごめんなさいッ、

大谷

無かった事にしようとしてごめんなさい…ッ

大谷

自分だけッ、逃げてごめんなさい、

大谷

愛そうとしてごめん"ッ…なさいッ…!

璃子

愛さなくってごめんなさい

璃子

私が嘘をついたから

璃子

私が信じようとしなかったから

璃子

この子は愛なんです

璃子

罰でもあって愛でもあるんです

璃子

もう偽りません

璃子

翔平さん、

璃子

私と結婚して下さい

大谷

大切にッ…しますッ、

璃子

ありがとうございます、

初めて笑えた気がした

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