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「「あっ!!」」
重なった2つの手
どうやらこの子は、 この板チョコがお目当てらしい
今日はバレンタイン前日
たぶん、いろんな店舗を回って、 ようやく見つけた板チョコなのだろう
その子は綺麗な顔立ちをしていたが、
マフラーに埋めた通った鼻は、 ほんのりと赤みを帯びていた
鈴が鳴ったような、綺麗な声
足早にコンビニを出て行く
え?何だって?
何故、俺のような陰キャが、 板チョコに手を出そうとしたのかぁ?
あんなに可愛らしい子から 告白される奴が心底うらましい
翌日… バレンタインの夜
結局、チョコは 1つも貰えなかったが…
それよりも…だ
板チョコの女の子が、 頭から離れない…
…だからって
自分の行動に呆れながらも、 あの子を探してしまう
帰ろうとしながらも、 コンビニの方を振り返る
後ろから声を掛けられ、 みっともない声を出してしまった
学校の帰りか、 制服姿をしている
緊張して、変な口調になってしまう
笑う姿も、可愛い
その子が手に持っていたのは、 綺麗にラッピングされた …チョコ
も、もしかして、俺への…!
あれ、この発言キモくないよね?
ポロポロと、 静かに涙を零す女の子
もちろん、童貞の俺には 女性の扱い方なんて分からなくて
どう励ましていいのか…
次第に、 泣き声が大きくなっていって…
とりあえず、 近くのベンチで話を聞いた
こんな見ず知らずの男に、 想いをぶちまけてくれた
この子は、純粋な子だ
この子の純粋を、 捨てて欲しくない
キモイの承知で聞いてみる
その子は何か吹っ切れて、 気の抜けた表情で笑った
あの時の女の子は
今では人生のパートナーです