隼人
れーん
廉
なんだよ
隼人
お前さ、小さい頃に和葉って子いたの覚えてるか
廉
ああ、小6で引っ越した子だろ
廉
それがどうした?
隼人
実はさ、その子またここら辺に住んでるらしいんだよ
廉
戻ってきたのか?
隼人
ああ、俺のおかんが仲良かったからそう聞いてるって
廉
そうなのか…
隼人
お前、和葉のこと好きだったからよ笑
隼人
知らせないとなって思ってよ笑
廉
おい、何年前の話だよ
隼人
まあなー、でも気にならね?
和葉結構可愛かったじゃん笑
廉
気にならなくはないけど
隼人
だろ?笑
また恋に落ちるかもな笑
廉
おいおい、会いに行くつもりなのか?
隼人
お前な、あの時だって和葉が引っ越すって分かってからも結局何も出来なかったじゃねえかよ
隼人
また引っ越しでもしたらどうするんだ?もう二度と会えないかもしれないんだぜ?
廉
ああ、もう後悔はしたくない
廉
おい
廉
本当にここで合ってるのか?
隼人
そのはずだ、間違いない…
廉
サビだらけでこんなボロボロな一軒家に普通引っ越してくるか?
隼人
ボロボロとか言うなよ、和葉が住んでるんだろうから…
廉
まあな、インターホンでも鳴らすか
隼人
返事がないな
廉
不在なのか?
隼人
お、おい、鍵開いてるぞ
廉
何してんだよ
隼人
すみませーん、どなたかいらっしゃいませんかー
廉
…………
隼人
…………
廉
いねえみたいだな、帰るぞ
隼人
おい、今物音しなかったか?
廉
ああ、聞こえた
隼人
和葉だよ、和葉が中にいるんだ
廉
お、おい落ち着けよ、勝手に入るのはさすがにまずいだろ、
隼人
お前はまたそうやって逃げるのか?
隼人
そこに、すぐそこに和葉がいるんだぞ
廉
…………
隼人
……会いたくねえのか?
廉
そ、そんなわけないだろ
廉
俺が何年忘れられずにあいつのことを考えてきたと思って……
隼人
ああ、知ってるよ
隼人
だから今日会えって言ってる
廉
そうだな…
恐る恐る中へ入っていくと、そこには傷だらけの家具や割れた食器、ホコリをかぶった古い写真が散らばっていた。
廉
和葉ー
廉
おーい
廉
どこにいるんだ?
隼人
やっぱいねえのかな…
廉
お、おい!
廉
なんだよこれ!!
そこには、小学6年生の時に撮ったクラス写真があった。
廉
なんで俺だけ血で塗られてるんだよ!!
廉
他の写真も、全部俺だけ……!
廉
ていうか誰の血だよ!?
廉
隼人、これどういうこ……
廉
……隼人?
廉
おい!隼人!!!!
廉
不在着信
廉
不在着信
廉
なんで繋がんねえんだよ!!
その時、どこからか女の高い笑い声が響き渡った。不気味に笑い続けている。
廉
…………
廉
…和葉なのか?
廉
で、出てこいよ!
廉
お前と話をしに来たんだ!!
奥の階段からペタ……ペタッとゆっくり階段を降りて近づいてくる足音がする。
廉
か、和葉……
現したのは、髪につやのない目が充血した血だらけの和葉だった。
和葉
やっと来てくれたの……?
和葉
寂しかった……
和葉
ずっと1人で……
廉
ごめん、ごめんな…
廉
…何でそんな姿をしてるんだ?
和葉
…………
和葉
私死んだの
和葉
引っ越してから友達が出来ずに
和葉
何も出来ない惨めな子っていじめられたわ……
和葉
辛かった
和葉
すごく辛かった
和葉
あの時に戻れたらどれだけ幸せかって、毎日思ってた
廉
あの時…?
和葉
私、廉のことが好きだったの
和葉
ずっと、ずっと言えなかった
和葉
こんな私だし自信なんてない
和葉
引っ越すって決まってからも、どうしても言えなかった
廉
和葉……
廉
(俺が、俺があの時伝えていれば……)
和葉
いじめは日に日にエスカレートして、私は耐えきれなくなった
和葉
自殺したわ
和葉
手首を切ってね
和葉
全身の血が私の手首から流れて意識が朦朧としても、意識がなくなる最後まであなたの写っている写真を抱きしめて……
和葉
でもやっと、やっと会いに来てくれた
和葉
これからは……
和葉
和葉
ずっと
和葉
和葉
ずっと
和葉
和葉
ずっと
和葉
一緒にいてくれるよね……?
廉
おい、来るな……
廉
来るなあああああ!!!!!
隼人
あれ?何で俺の携帯がないんだ?
隼人
くっそ、廉のやつ俺の遊びの誘い断りやがって
隼人
俺の誘い断わってまであいつ何してんだよ
隼人
おかーん、携帯なくしたから家の電話からかけていい?
隼人の母
いいわよ
隼人の母
早く見つけなさい
隼人
分かってるって
家の電話
不在着信
家の電話
不在着信
家の電話
不在着信
隼人
……….なんで家にないんだ?
和葉
……ふふふ
廉
…隼…人……