ゆうじ
ゆうじ
母
ゆうじ
母
父
ゆうじ
母
父
ゆうじ
俺は海が嫌いだ。 だから沖縄ツアーなんて反吐が出る。 あれは俺が8歳の頃 近くの海に家族4人で出かけた。 そしてその日の昼、ばあちゃんと俺ととうまで海へ行き、その一週間後、家族3人で家まで帰った。 その日の昼頃、綺麗な貝殻を追いかけてとうまは沖へと姿を消した。 数ヶ月に及ぶ捜索も虚しく、とうまは果てしなく続く海へと消えたという、幼い頃の記憶が脳裏に蘇る。 海は俺のトラウマなんだよ。 ばあちゃんも嫌いだ。 「せっかくここまで来たんだから珊瑚探しに行こう。」 と、行くたびにいつも海へ連れ出される。勘弁してくれ。 だが俺の小さな抵抗は虚しくもみ消され沖縄ツアーへ出発した。
母
父
母
祖母
母
元気にしてたー?
祖母
母
祖母
父
祖母
母
祖母
父
母
私たちおばあちゃんに顔出してくるね。
ゆうじ
母
祖母
母
父
ゆうじ
父
ゆうじ
見るの、辛いんだ。
母
じゃあお母さん家で待ってなさい
ゆうじ
父
母
ゆうじ
ゆうじ
5:50
ゆうじ
???
ゆうじ
ゆうじ
ゆうじ
こっち見てる
???
ゆうじ
ついて行こう。
ガサッガサッ
ゆうじ
ってもう6:30だし。
ゆうじ
どこまで行くんだよっ
???
ゆうじ
ゆうじ
高そうだけど、苔だらけで錆び付いてる。
ゆうじ
こんなののためにここまで連れてきたのか?
???
ゆうじ
字が薄れてて読みにくいけどなんか書いてある。
運転席に座ってアクセルを踏め。 過去をとりもどせる。
ゆうじ
???
ゆうじ
アクセル踏めばいいんだろ?
グンッ
ゆうじ
バタッ
ゆうじ
って、さっきと同じ場所…って、車が綺麗…?
とうま
もー、お兄ちゃんこんな所で昼寝しちゃだめじゃーん!
ゆうじ
とうま
ゆうじ
とうま
お兄ちゃんのバカァァァ
ゆうじ
ガササッ
ゆうじ
ゆうじ
ゆうじ
とうま
お兄ちゃんが僕に死んで欲しいって~
祖母
ゆうじ
祖母
ゆうじ
祖母
祖母
とうま
祖母
祖母
ゆうじ
海岸にて
とうま
こんなおっきいのあったあ
祖母
とうま
とうま
あれほしい!
ゆうじ
ゆうじ
とうま
ゆうじ
ゆうじ
とうま
ありがとぉ!!
ゆうじ
ゆうじ
とうま
ありがとっお兄ちゃんっ
ゆうじ
ゆうじ
そしてとうまが死んだ原因は阻止できた。俺が過去から帰ったらそこにとうまはいるのだろうか。
今日はもう暗い。明日、帰ろう。)
ゴケゴッコーッオオオオオ
ゆうじ
ゆうじ
とうま
ゆうじ
とうま
ゆうじ
ガサガサっ
ゆうじ
よし。このブレーキを踏む、、
ゆうじ
あいつ、着いてきてたのか!?
でも俺もうブレーキ踏んだよっ
とうま
ゆうじ
あっ、車がっ
ゆうじ
とうま
バタンっ
ゆうじ
よし。もどってる。
ゆうじ
ゆうじ
ガササッサッ
ゆうじ
ゆうじ
祖母
ゆうじ
母
ゆうじ
ゆうじ
ゆうじ
祖母
ゆうじ
ゆうじ
ってことはとうまはこの地球のどこかに…まだ生きてる?)
ゆうじ
バタンっ
父
祖母
母
ゆうじ
はっ!いたっ!
ゆうじ
カラスは一声「カー」と鳴いた。 そのカラスから小さな紙切れが落ちた。
四つめの命。つゆの国に有り。 私は気まぐれな神の使いです。
ゆうじ
つゆの国…露(つゆ)、、ロシアか!?
ゆうじ
後で調べて分かったことなのだがカラスは神のお供えを奪っても唯一許されるという特別な存在なのだという。 俺は今から勉強して働いて、ロシアにとうまを探しに行こうと思っている。
それから必死な毎日を送ること15年。俺は友人と会社をつくっていた。運良くその事業は成功し、人脈も増え、金も手に入った。そして今。俺はロシアへと旅立つ。
存在するのかすら未確認の、露の国に密かに眠る、第4の命を求めて。