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10年。

その時間を短いと思えるほど、俺は大人じゃない。

でも、その決して短くはない時間で。

君の何が変わったっていうの?

放課後、静かな北校舎の空き教室

目の前を舞った、小さな薄紅色

ｶﾞﾁｬｯ

※教材庫

誰からも弱く見られたくなくて、自分を覆い隠した

確かに弱く見られることはなくなった、けど。

「弱さ」に蓋をしても、どうしても自分には見えてしまう

その先の言葉は、

ああ、また泣いてる。

君が今までどれだけ泣いたのか、泣くのを我慢してきたのか。

俺はそれを知らないけど。

「だいじょうぶ？」

「だいじょうぶ？」

重なる。

ｷﾞｭ

ﾄﾞﾝｯ

なんで。

なんで今更。

ずっとずっと、恋焦がれていた。

でも、もう再会は叶わないと思っていた。

だから、諦めようとしてたのに。

ずっとずっと、想っていた

けれどもう、心の底では諦めていた

それなのに、君はいた。

…もう一回、

隣に、いさせて

ー泣いてる。

泣きじゃくる君は、あの時より少し頼りなく見えて。

伝えなくちゃいけないことが頭の中をぐるぐる回って、

やっと出てきた言葉は、どうしようもないくらい単純だった

ずっと隠して見えないようにしていた

でも、君なら

また、泣いてる俺を

助けてくれるよね

さっき、君が自分の中に押し留めた言葉

だって君は、

あの時からずっと、

泣き虫な、俺のヒロイン