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覚えているよ。ずっと

覚えているよ。ずっと

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1

覚えてるよ。ずっと

♥

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2023年03月30日

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※これはらっだぁさんの二次創作です苦手な方は見ないことをおすすめします

本人様とは違う口調かもしれませんがご了承ください


ねぇらだ男は何時からここで苦しんでたの?

ふと誰かがそんなこと聞いていた

顔を上げると今まで誰も居なかった白い白い空間に彼がいた

お前なんでここにいる

そう言おうとする前に彼は俺のすぐ隣に座った

俺は彼のことを知らないのになんで彼は俺の名前を知ってるんだ

ふとそんな疑問が頭をよぎった

どんどん疑問が疑問を生み出してく

なんでお前はこの空間にいる

なんでお前は俺の事を見ることが出来る

なんで…

「俺さぁ配信つけようとしただけなんだよね」

アイツは何も言ってないのにいきなり語り始めた

「そしたらなんかここに居てさ。暫くじっとして待ってたんだけどなーんにも起きなくて、しょうが無いから探検しよーって思ったわけ」

彼は止まることを知らないのかどんどん語り続ける

「んでずっと歩いていたらお前見つけて、話しかけようかどうか迷ったんよね〜けど話しかけないとここから出れないような気がしたから話しかけたんだよ」

そんな事はどうでもいい

どうせお前もここから消えるんだよ

ここから排除する

ここに居るのは俺だけでいい

ずっとずっと俺だけでいい

「それでさ〜」

と言いながら話を続けていく

いい加減黙れよ…

そう言いたくなるレベルだ

話続ければいつか黙るだろう

そう思っていた矢先

「お前はなんか無いの?話すこと」

と聞いてきた

「は?」

話すこと?

なんで何も知らないお前如きに話さなきゃいけないんだ

どうせここの事なんて忘れるだろ

どうせ…

「俺はいわゆる実況者ってやつやってるよ。マインクラフトってゲームをみんなで遊んで動画を撮って編集してもらって投稿する」

「リスナーに色々文句言われたり言い返したり、同じ実況者の仲間を煽ったり煽られたりちょっと困ることだってあるけどな」

そう言いながら彼は少し困ったように笑う

あぁ…知ってる。その笑い方は嬉しい時の笑い方だ

天乃と喋っている時、生徒と一緒に馬鹿なことした時

俺が良くしていた笑い方だ

「なぁ…」

「なんでお前、俺の名前知ってたんだ?」

彼は俺が話しかけたことに驚いたのか目を大きく見開いていた

なんだよ、あんだけ喋っといて俺が話しかけたら黙るのかよ

この場所にずっと一人でいたせいか思ってた以上にひねくれてしまったらしい

こんな姿アイツらには見せられないな…

「なんでだろ〜な俺も良くわかんね。けどそんな感じがしたんだ。らだ男」

「お、は多分男って書いてらだ男って感じする」

そんなことないだろうけどとか言って男はケラケラ笑っている

「当たってるよ」

「へ?」

「俺はらだ男、猿山らだ男だ」

「ハ!俺てんさーい」

なんだろう凄いムカつくな

「俺もあだ名でらだおって呼ばれることもあるよ」

「へぇ〜」

「その声全く興味無いよな?」

「そんなことないですよ〜」

「絶対うそ絶対うそ」

そんな会話をしてると思わず笑ってしまった

そんな俺を見てか彼も笑い始める

「お前笑うんだな」

笑いすぎて出た涙を拭いながら彼はそんな言葉を口にした

「俺だって」

人間だぞ。そう言おうとして言葉が詰まった

人間…?

生徒を殺そうとして、親友すら殺そうとした俺が?

もう現実世界には存在すらしない俺が?

思わず自嘲してしまった

そっかァ…

俺はもう人間じゃなくなったのか

生徒を殺そうとしたあの時から俺は、もう…

「どうかしたのか?」

何も言わなくなった俺を不思議に思ったのか彼が首を傾げながら顔をのぞき込む

「なぁもし」

「もし、俺が人間じゃないって言ったらどうする?」

半分笑っているような声でそんな言葉がこぼれた

「は?」

アイツから間抜けな声が聞こえて思わず笑ってしまう

「俺は、教師だったんだんだよ」

「6年生の担任で色んな生徒を教えていた。特に厄介だったのがいて、鳥井に鬱島に捏島に桃瀬に呂戊太。桃瀬は良い奴だけどコイツらと良く一緒に居るからか皆からやばいやつっておもわれてるんだよな」

あぁ…懐かしい

「鳥井はまじの問題児で何か言ったらすぐ反抗する生意気な奴だった。運動神経だけは良くてな、そこも含めて少しウザイやつだったよ」

迷彩色のフードを被りいつも不敵な笑みを浮かべる彼の顔を思い出す

「鬱島は特にこれと言うような問題児では無いけど鳥井と一緒になってイタズラしたり何か頼んだりすると色々ミスしたりするんだ。それとちょっと怖がりでな、けど親友を、桃瀬を助けるために一生懸命頑張ってくれたんだ」

白いシャツの上に紺色の服と小学生にしてはしっかりしている格好をしている彼の姿を思い出す

「捏島はちょっと親が仲悪くてないつも喧嘩しているらしい。俺を罠にはめたり煽ったりするが本当は良い奴なんだ…今回の件も親を思ってのことなんだ」

彼の豪快な笑い方とその彼特有の人懐っこさを思い出す

そして俺を封印する時の少し悲しそうな、けれど覚悟を決めたような顔を思い出してしまった

「俺は、そいつらを、殺そうとした、」

思わず声が震えてしまう

あんなに大切にしていた生徒を俺はこの手で…

軽蔑されるかなと思いながら彼の顔を見ると何か真剣に考え混んでる様だった

「らだ男はそいつらを殺したいほど憎んでたの?」

「そんなわけないだろ」

「じゃあなんで」

「ここから先は言いたくない」

彼の言葉を遮るようにそう伝える

この物語は幕を閉じたんだ

もう知らないことにしたいんだよ

天乃のこともアイツらのことも

「そっかぁ」

なら俺にはどうすることも出来ないな

と彼は言った

元々お前一人でどうこうできる問題じゃねーんだよ

この問題は解決してる

俺がここにいることこそが解決だ

「俺らってなんか似てるよな」

彼は急にそんな事を言い始めた

「どこが?」

「見た目とか喋り方とか性格とか」

ぽんぽんと彼は例をあげていく

「俺もさ鳥井くん?みたいな人と会ったことあるんだよね」

「そいつ俺見つけたらすーぐ追いかけてきて殺そうとしてくるんだよね。らっでぃー!って言いながら」

そう言って彼は少し嬉しそうに笑う

「鬱島くんと似てる人も居たなぁ」

「その人は俺の中ではビビりってイメージはないけど凄いガバガバなんだよねたまぁに有能になったりするけど何時も何かデカいミスをする」

あとタバコめっちゃ吸ってると彼は付け加える

その目はどこか懐かしむような懐かしんでいるようだった

「捏島くんは一緒かもしれないな」

「名前も一緒コネシマ。あの人はねぇマジでうるさい、親がちょっとあれでよく弄られてるね。親おるわ!居場所もわかってんねん!って毎回言ってたな」

とケタケタ笑っている

「全員ネットで会った人達だけど仲良いんだよな。グループだって違うし多分年も違うだけど良くゲームしてたまにリアルで会って話して、まぁゾムにはまだ会ったことないけど、なんかずっとこのまんまなんだろうなって思う」

あぁ…いいな

羨ましい

俺もそんな世界で生きたかった

きっと生まれた場所が違かったら

きっと猿山家じゃなかったら

幼少期の頃、この世の真理を知らなければ

今頃こんな所には居なかったのかな

今頃警察官になってみんなを守っていたのかな

今頃生徒の卒業式でも見ながら泣いていたのかな

今頃天乃と一緒に酒を呑みながらバカしてたのかな

今頃俺もお前みたいになれたのかな…

「らだ男?」

「お前みたいになりたかった」

ボソッとそう呟いた

「え?」

本当に小さく呟いたはずなのに彼は何故かその声を聞き取っていた

「お前みたいになったら俺も今頃幸せになっていたのかな…」

みんなと楽しく遊んで笑って生きていけたのかな

みんなの記憶に残れて居たのかな…

「ここから出ればいいんじゃないか?そしたらお前も幸せに…」

「あはは」

彼の言葉に思わず笑ってしまう

俺の笑い声はどんどん大きくなって腹がよじ切れそうになる

「ダメだよ。俺がここにいなきゃまた誰かが犠牲になる。俺はここに居なくちゃいけないんだ」

「そう、なのか」

「ありがとう、俺のために考えてくれて」

そう言うと彼は悔しそうな顔をした

「どうにか出来ないのか?お前をどうにかして救いたい」

「ねぇよ、お前ができることは何一つ」

笑いながらそう言う

本当にないんだ、だけど

お前に会えてよかったよ

寂しかったんだ。こんな年にもなって…

ずっとずっと寂しかったんだ

さて、そろそろこいつを現実に帰してやらねぇとな

現実に戻るときっと俺の事を忘れてしまうだろう

それでいい

お前は優しすぎるんだよ

俺並にな

お前はどうにかして俺を救おうとするだろう

そしたらお前が危険な目に会うのかもしれない

だからどうか俺を忘れてくれ

まぁそう願わなくても忘れてくれるだろう

忘れて現実世界を楽しんでくれ

ずっと笑っていてくれ

現実世界の扉が開く

きっとあそこに行けば全部元通りだ

「おい」

「ん?」

「あの扉をくぐれそしたら元の世界に戻れる」

「まじ?」

「あぁ」

「おっけー」

そう言って彼は扉に近ずいていく

じゃーなもう二度とこんな所に来るんじゃねぇぞ

「なぁ」

気がつくと彼は扉の前で足を止めて俺の方を見ていた

「もしここから出たら俺はどうなる?」

「どうって全部元通りだよ。お前は配信をつけようとする時に戻る」

「そっか…」

「この場所のことって覚えてるのか?」

「え?」

なんでお前がそんなこと…

「お前さぁ気づいてないだろ」

そう言いながら彼は笑う

「お前が生徒の話をする時悲しい目してたぞ。もう会えないからかなって思ったけど俺がここ出ていこうとしたらまた悲しい目をしてたんだよ」

ここから出たらなんかあるんじゃないか?と聞いてきた

敵わないなぁ…

「あぁ、この世界の記憶が消える」

ただそれだけだ

「へぇ〜」

彼は少し考え込んで

「じゃ俺ここにいるよ」

と言い出した

「はぁ?!戻れよ配信があるんだろ?!それに一緒にゲームする仲間がいて楽しいんじゃねーのかよ?!」

思わず怒鳴ってしまった

けど事実だろうお前がここに残ってもなんの得にもならないぞ

早く帰れよ…

「楽しいけどなんか、お前ほっとけないんだよ、冗談で言ったけど本当に似てる気がするんだ」

似てるだけで?それだけで?

なんで、そんな事するんだ

なんでそんな優しいんだよ…

「頼むいってくれよ」

「だから俺がいなくなったら、悲しく、なる、だ、ろ、」

彼の言葉が途切れ途切れになっているのがわかる

何故?なんて言葉は出ない

理由は分かりきってる

俺が泣いているからだ

「行ってくれよ、頼むから」

「俺の事なんて忘れてくれ」

嫌だ本当は忘れて欲しくない

「この世界なんて知らずに幸せになってくれ」

俺が頑張っていることを知っといてくれ

「ずっとずっと笑っていてくれ」

俺の事を思い出して偶にでも俺を思ってくれ

「早く帰れよ!」

ずっと一緒に居たいよ

そんな俺を見て呆れたのか

「わかった」

そう言って彼は扉をくぐろうとする

あぁ…やっぱり行っちゃうよな

それが正解だ。これが正しい判断だ

暫くしたらまたこの寂しさにもなれるよ

一緒に居てくれてありがとう

楽しかったぜ。ばいばい

「俺はお前のことをずっと覚えている!」

彼は突然振り返り笑顔でそう宣言した

「どうやってだよ…」

ここからでたらどうせ忘れるんだよ…

この世界も俺のことも

「配信でみんなに俺が伝える!そしたらきっと」

「ネットの中で記録に残る永遠に誰かの目につくことが出来る。よく人が本当に死ぬのはみんなから忘れられた時だって言うじゃん。お前は生き続けられる誰かの記憶に残っていられる」

「だから、ここから出たら、お前は、」

「覚えてる。絶対、絶対」

「覚えられないよ、そう決まってる」

「大丈夫だよ、俺を信じろ」

あまりに真剣に俺を見るから

あんまり本気で彼が彼自身を信じてるから

彼なら本当に出来るかもしれない

そう思ってしまった

俺をずっと覚えていてくれるかもしれない

そんな希望を抱いてしまった

「お前名前は?」

「らっだぁ、まぁ配信名だけどな」

「らっだぁ、覚えとくよ」

「またな!らだ男!」

「またね、らっだぁ」

もう二度と会えないだろうけど

それでも…

「覚えようとしてくれてありがとう…」

例えそれが無理だとしても俺はお前のことをずっとずっと覚えてるよ





目を開けると元の世界に戻っていた

伝えなきゃ伝えなきゃ伝えなきゃ

みんなに俺のリスナーに

らだ男のことを生徒思いの優しい教師がいた事を

よく分かんないけど1人で苦しんでることを

ずっとずっと独りで寂しくあの空間にいる彼のことを

「伝えなきゃ…」

配信ボタンを押そうとした瞬間強い眠気に襲われる

なんで、

時計を見ると8時だったはずがどんどん時が戻っている

7時59分50秒から49、48、47

1秒戻るにつれて眠気が増えていく

カーソルがズレて上手く配信が開始できない

頼む…

頼むよ…

このままじゃダメだ

必死に何かに残そうと周りを手探りで探すとペンを見つけた

書かないと…書かないと…書かないと!

その一心でペンを握り彼の名前を書く

さるやま らだお

そう書いた瞬間

無理すんな、らっだぁ

彼の声が聞こえた

そして俺はその言葉を合図に意識を手放してしまった

「ん?」

今何時だ?

時計を見ると7時58分になっていた

「やばい!」

配信8時からだった!

急いで配信画面に近づき配信をつける

「ふぅー危ねぇー」

なんとかギリギリで付けることが出来た

画面にはいつもの、わこらだの文字で埋めつくられる

「ん?」

ふと机に目をやると何かを書いたような跡があった

なんか俺落書きしたっけなー

けどそんな事してたら覚えているはず…

どうでもいい事とか?

そう思いながらもそれを見ると何かを忘れている気分になる

何か大切なことを

配信画面を見るとどうした?何かあったか?などの心配している言葉でいっぱいだった

「なんか机に落書きした跡があるんだよなぁ、俺なんかしたっけ」

そう言うと次々と、とうとう老けたか、そんな事するなんて行儀悪っ、と言うような貶す言葉があふれていく

「いや、ちみらだってよく机に落書きとかして同級生に見つかってバカにされてただろ?」

と聞くと確信を打たれたかのようなコメントが流れる

ぽまえだってそうだろ?

そんな言葉が見えた

「俺はね〜あんまり落書きとかはしなかったかな」

そう言うと

はい嘘おつー

と煽る言葉であふれかえる

無理して強がんなよ、らっだぁw

そんなコメントが一瞬目に映った

「無理、すんな、らっだぁ…」

何故か分からないけどボソッとそんな言葉をつぶやく

誰かが俺にそう言ったような

誰かが…

身近にいる人だった気がする

とても優しくて…良い奴…

「無理すんな、らっだぁ」

らっだぁ、らっでぃ

らだお

「らだ男?」

らだ男だ…!

生徒思いで優しい教師

自分を犠牲にみんなを守ろうとしたかっこいい奴

そしてずっと独りぼっちで苦しんでる可哀想な奴

覚えていると言っただけで喜んでる悲しいヤツ

あんなに良い奴なのに…

あんまり可哀想な奴だからあんまりかっこいい奴だからあんまり悲しいヤツだから俺たちで救おうじゃないか

「なぁ聞いてくれないか?」

「らだ男って不思議な奴がいたんだよ」

また会いに行くよ、らだ男

お前はそこから出ることは無いだろうから

俺が俺のリスナーが俺の仲間がお前の所に行って寂しい思いをさせないようにするよ

だから

幸せになろうな。らだ男

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まってまた泣きそう(ガチ)

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