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「お前ら何してんだ」
「マァーイッカ?」
数日後の放課後。
教室で二人勉強していた雪乃と美希に、五十嵐とマーイーカが話しかけた。
「見ての通り勉強ですけど何か?」
「何でキレてんだよ」
「五十嵐こそ、こんな時間まで何してるの?」
美希が聞くと、「さっきまでサッカー部に顔出してた」と爽やかに答える五十嵐。
「んで、これからバトルの特訓行ってくる。な、マーイーカ」
「マァ♪」
「いやー元気だなぁ。部活にも顔出してバトルの特訓もして、忙しそっすね」
雪乃が頬杖をついて指でペンを回しながら横目で五十嵐を見る。
「部活はもう引退してるけど、後輩が来てくれって言うからさ。大会の方は明日からトーナメント始まるし、気合入れていかなきゃな」
ほんとにこの五十嵐という男はストイックで努力家で、困っている奴を放っておけないみんなに好かれる明るくてムードメーカーでいい奴なのだ。
誰にでも平等で臆せず話しかける、怖いもの知らず。
最初はうざく感じていたが、知れば知るほどこの男を嫌いになれなくなる。
「そっか、明日からだっけ。がんばんなよ」
「決勝までいったら応援行くわ〜」
ノートに視線を落としたまま、緩い声で五十嵐に言う雪乃。
「あったり前だろ!絶対応援来いよな!てか明日からの戦いも応援してくれよ」
「どーせ勝つから大丈夫でしょ、いいから早く特訓行きなよ」
雪乃の何気ない言葉に五十嵐は一瞬固まる。
そしてニシシッと笑った後、
「お前も進級できるように頑張れよな!」
と悪びれなく言って去っていった。
マーイーカも楽しげに笑って五十嵐について行く。
「あいつ絶対わざとだよね、絶対最後悪意のある発言だったよね」
「そう?私はあんたの方が怖いけど」
この天然タラシ、と美希が心の中で呟く。
「え?何が?」
「別に。そういえば決勝って中央スタジアムでやるのよね」
学園の中央には大きなスタジアムがあって、何か大会など開かれる時はそこで行われる。
観客席もあり、本格的なポケモンバトルが経験できるのだ。
「らしいよー。準決勝まではグラウンドとか体育館でやるんだってさ」
「風紀の仕事はいいの?」
「いや、決勝だけは警備するらしいけど、後輩らが主体で頑張ってくれるみたい」
「そう。なら安心して応援行けるわね」
「今回もなんか購買部が美味しいもの売り出してくれるかな〜」
「あんたそれが食べたいだけでしょ」
「食べながら応援すんのがミソなんでしょ」
ほんと食い意地張ってるわ、と呆れる美希だった。