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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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アクアside


そういえばまだあれを用意していないと思っていたら、リビングの扉が勢いよく開いた。


アイ)アクア、ルビー!


ルビー)どうしたのママ?


ルビーはスマホから目を離し、アイの方に視線を送る。アイはいつも以上に笑みを絶やさずにニヤケている。もう顔で語っているようなものだ。


アクア)ヒカルの誕プレを買いに行くんだろ


アイ)なんで分かったの!?


アイ)もしかしてエスパー?


アクア)そんな訳ない


ルビー)買う!買う!早く行こ!



ルビー)お買い物だー!


アイ)いぇーい!


ドン引きである。こんなショッピングモールのど真ん中で叫ぶのはアイとルビーくらいだぞ。


アクア)ルビー、母さんも静かに。アイがいることがファンにバレるだろ


アイ)はーい


ルビー)あれ、私とお兄ちゃんは?


アクア)知名度と実績がない


ルビー)ぐふぅ!


『何言ってんだコイツ』みたいは冷たい視線を送ると、ルビーは胸を抑えるて苦しむポーズをした。思っていたより大ダメージである。反応面白いな。


アイ)今年はどんなお酒が良いかな〜?


アクア)あまり度数が高いのはやめてあげてよ。父さん、酒に弱いんだから


ルビー)初めてパパがお酒飲んだ時は凄かったよね!バターンって倒れてさ〜!


アクア)20歳の誕生日の時だっけ。…何年前だ?


ルビー)11年前!


アイ)ぐふぅ!


何故かアイにもダメージが。


アイ)私もおばさんになったもんだよ……


ルビー)ママは綺麗だから大丈夫だよ!


アクア)おばさんって言葉を否定してあげろよ


流石にアイが可哀想だぞ。


アイ)もういいもん!私探しに行ってくるから!


ルビー)あっ、待ってママー!


爆速で走っていくアイを慌てて追いかけるルビー。俺は反対方面に歩みを進め、他人のフリをする。流石にもう数人にバレてるだろうと思うが、まぁ……うん、見捨てるか。悪いな2人とも。ヒカルの誕プレをゆっくり探してくるから、その間は犠牲になってくれ。



今年のプレゼントは前から決めていた。ネットで買おうと思ったが、ルビーがそれで痛い目をみたことがあったからなしになった。


アクア)おっ、ここか


前世でよく来ていたアクセサリー専門店。あの頃は付き合っていた歴代彼女にあれこれ買ってたが、まさか今世では実の父親にとは思いもしなかった。リニューアルしたのか、場所が少し変わっていたのには探す手間が増えたが、まぁそこは良いだろう。


アクア)あの、すみません



ゆきside


やばい…やばいやばい……!


アイ)あっ、これとか良いかも!


ルビー)量多っ!これが大人ってヤツか……!


ルビーちゃんとアイさんがいるー!!!!!え、本物のルビーちゃんとアイさん可愛い。声も可愛い。スタイル良い。カミキさんへのプレゼントかな。確か今日、誕生日だよね。家族愛じゃん…尊い。


ルビー)それ、パパが飲んでも大丈夫なの?


アイ)えーっと…アルコール12%


アイ)全然だいじーぶ☆これくらいなら3杯くらいは飲めるでしょ!


……え?なんて?


ルビー)なら大丈夫だね!


いや何も大丈夫じゃない!!!!!え、どうしよ。ううん、止めるべきだ!よし、行こう!


ゆき)あ、あの───


アイ)良い感じにラッピングして貰ったね〜!


ルビー)パパ喜んでくれるかな?


アイ)きっと喜んでくれるよ!


ゆき)……


お、遅かった〜!ごめんねカミキさん…骨はアクアに渡しておくよ。


ゆき)…久しぶりにあかね達に会おうかな


主にアクア。誕生日パーティーなんて面白そうなこと聞かなきゃ損でしょ!



カミキside


アクア)ヒカル、誕生日おめでとう

ルビー)パパ、誕生日おめでとう!

アイ)ヒカルくん、誕生日おめでと〜!


毎年恒例のクラッカーを楽しそうに鳴らすアイ達をみて、僕もつられて楽しくなる。


カミキ)ありがとう。今年も祝ってくれて嬉しいよ


アイ)まずはご飯食べよっか!


ルビー)今年もアクアが作ってくれたんだよ!


アクア)なんでお前が自慢げに言うんだよ


テーブルの方をみると、美味しそうな料理が沢山並べられていた。申し訳程度に野菜があるのはみなかったことにしよう。野菜は苦手だ。


カミキ)あはは。ありがとう、アクア


アクアの頭を撫でると、忽ちに顔が赤くなった。昔からこうすると可愛い反応を返してくれるから僕もアイも、なんならルビーも良くやっている。


アクア)な、撫でるなよ……


ルビー)お兄ちゃんってば、パパにもママにもこうされるの慣れないよね〜


アクア)うるさい


アクア)冷める前に食うぞ



ルビー)ふぅ、食べた食べた〜!


アイ)やっぱりアクアのご飯も美味しいね☆


アクア)なんでヒカルより多く食ってんだよ……


カミキ)うぐぅ…食べすぎた


アクア)倒れないでくれよヒカル


アクアが優しくさすり続けてくれたおかげで、気持ち悪さが少しマシになった。え、凄い…前世医者でもしてたのかって思うくらいに凄い。


アクア)まだこれからプレゼントを渡すんだからな。ここで寝るなよ


ペチペチと頬を叩かれる。うぅ、痛気持ちいい。


ルビー)そうだプレゼント!


アイ)どこに置いたっけな〜


それぞれのプレゼントを探しに行ったのか、2人とも階段を上がって行く。


え、そんなことある……?


アクアはは自由すぎる2人に少し呆れた表情していたが、何故か少し嬉しそうにもみえた。


アクア)じゃあ、最初は俺からだな


あぁ、1番最初にプレゼントを渡せるのが嬉しいのか。お可愛いことだね


アクアから渡されたのは、小さめなブランド物の箱。高校生になったばかりの子供に貰う物じゃないと若干冷や汗をかきながらも、恐る恐る箱を開ける。


カミキ)ブレスレット…!うん、綺麗だ


殆ど無意識にそう呟くと、アクアは嬉しそうにはにかむ。


アクア)ヒカルは俺とルビーが小さい頃から綺麗なものが好きだったからな。毎年はきついけど、たまには良いだろ


カミキ)うん。ありがとう、アクア


アクア)…どういたしまして


───やっぱり、聞いた方が良いのかな?


カミキ)…これ、いくらしたの?


アクア)プレゼントにそういう話題はご法度だぞ


カミキ)いたっ


軽くチョップされた。反射的に声が出たが痛くない。それよりも、綺麗なブレスレットに目を奪われていた。


カミキ)これ、スターサファイア?


アクア)あぁ。本当はアクアマリンにしたかったけど、スターサファイアの方がしっくりきたから


『アクアマリン』


アクアの名前と一緒。アイがどうしても付けたいと言って譲らなかった名前。


『愛久愛海』


カミキ)じゃあ、アクアの誕生日の時はアクアマリンをプレゼントするよ


アクア)冗談でもやめてくれよ?自分の名前がついた宝石を渡されてみろ。メンタルがやられる


カミキ)えー


わざとらしくぶすくれると、アクアはおかしそうに笑った。



アイ)あった!!!!!

ルビー)あった!!!!!


ウトウトし始めた頃を見計らっていたかのように、アイとルビーがリビングに駆け込んできた。


アクア)近所迷惑だろ。静かにしろ


アイ)はーい


ルビー)全く、お兄ちゃんってばそういうのにうるさいんだから


アクア)何か言ったかルビー


ルビー)なんでもなーい


アクアとルビーの微笑ましいやり取りを眺めていると、ルビーが僕の方に近づいてきた。


ルビー)パパ!プレゼントだよ!


カミキ)ありが───ん?


ルビーの手に持っている物をみて、固まった。


アクア)ルビー、それは……


ルビー)パパ専用にオーダーメイドしたアイドル衣装だよ!


アクア)やりやがったなお前!!!!!


やられたぁ……。


ルビー)パパ、どう?


可愛く首を傾げるルビーに絆されそうになるが、手に持っているのは『僕専用の』アイドル衣装だ。


カミキ)う゛ん…良いと思うよ……


ルビー)やったー!


嬉しそうに飛び跳ねるルビーと可哀想な人を見る目で僕の方を向いているアクアに心がやられる。


アイ)やーいひかるくんのんでるー?


カミキ)んぐぅ!?


いつの間にか背後にいたアイに抱きつかれ、目の前には見覚えのない瓶があった。お酒特有ほ匂いに目眩を起こす…お酒?


カミキ)え、アイ、ちょっと待っ───


無理やり瓶に口を付けられる。抵抗しようとするも、体制が相手に有利過ぎてもはや抵抗らしい抵抗が出来ない。ガンガンと痛む頭とふわふわして来た意識を、アルコールで強制的にシャットダウンさせられた。



アクアside


アクア)なんだ、あの大量の空き瓶は……


ざっと数えて10本はある瓶。そのうちの1瓶のラベルに目を通すと、飛び込んできた数字に驚きを隠せなかった。


アクア)アルコール度数12%!?


ルビー)え゛っ、もしかして高いの!?


アクア)高い!!!!!飲める奴は飲めるけど、よっぽど強くないと飲めないぞ!


ルビー)ママは高くないって言ってたもん!


アクア)アイを基準にしたらダメだろ……


俺もついていけば…いや、辞めておこう。どっちにしろ俺に被害がくるならこっちの方がマシだ。多分。


もう完全に寝落ちしたであろうヒカルにそっと視線を送っ───


アイ)ヒカルくんの髪の毛…いい匂い……♡


アクア)……


ルビー)お兄ちゃん?


アクア)…なんでもない


あれは見なかった事にしよう。うん。


アクア)ルビー、今日は一緒に寝るぞ


ルビー)えっ、お兄ちゃん犯して欲しいの?


アクア)なんでそうなる。明日学校だぞ


こいつはいつからそんな言葉覚えたんだ。お兄ちゃんはお前のこれからが不安だぞ。


ルビー)…お兄ちゃん


アクア)なに


ルビー)宿題まだ終わってない……


アクア)…今年もか


思わず天を仰いだ。これくらいは許して欲しい。ヒカルの誕生日は良くも悪くもサプライズだらけだ。


ルビー)手伝ってねお兄ちゃん!


アクア)風呂入ったらな


ルビー)はーい!


階段を駆け上がっていくルビーを見送り、リビングの方をもう一度見る。


アイ)かぁわいい…♡


アクア)…アイ、ヒカルを頼む


アイ)言われなくても☆


良かった。ちゃんと返事はしてくれるんだな。早く終わらせて寝よう。








誕生日の翌日、アイとルビーが度数の高いお酒を買った瞬間をネットに上げられ、世間が大騒ぎになったのだが、ここでは詳細を割愛させていただく。






髪の毛のキス『貴方を愛おしく思っています』






終わり

この作品はいかがでしたか?

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コメント

6

ユーザー

最高( ゚∀゚):∵グハッ!!(尊死)

ユーザー

えもえもです。この風景を見たかったです。仲のいい星野家は健康にいいですね🥺💕

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