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葛叶/くずかな

葛叶/くずかな

「葛叶/くずかな」のメインビジュアル

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episode.1

♥

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2023年02月21日

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画像

・葛葉が太陽の下を飛んだり歩いたりしてます。

・お題の奴の使い方間違ってるのは重々承知の上です。

・公式設定より、叶は記憶喪失です。

・叶はカントボーイです。




























飛べない鳥は不幸でしょうか。

死ねない吸血鬼は不幸でしょうか。

◆◆◇◇





























「……、はぁ……。」

今日、静かな青い空の下、僕は1つ、溜息を吐く。口からは全ての幸福が逃げていってしまいそうだ。

「…はぁ、」

本日2度目の溜息。頻度が多すぎないか?上を見上げてみれば僕の悩みなんて吹っ飛んでいきそうだ。今日も空が青い。

そんな世界の、そんな僕を構ってくれる奴なんてたった1人しか居ない。

「葛葉〜……。」


なんて、1つ、その名を呼んでみれば。


「どした、叶〜、」


なんて、1つ、返事が返ってくる。


「何でもなーい。」


今日も世界は平和で、今日も世界は静かだ。戦争なんて起きてないし、喧嘩も何も。僕と葛葉は今日も大きな空の下、今みたいな会話 話が出来ている。今日、僕は海に瓶を流してみる。その瓶の中に手紙を入れて。何処かの誰かが拾ってくれることを願って。

「葛葉、今日は一緒に寝よう。」

「唐突だな……。」

「別にいいでしょ?急にそうしたくなったんだもの。」

そんな会話を交わした後、僕は葛葉に連れられ海に着いた。青く、美しく煌めいている海を見ると、やっぱり僕の悩みなんて吹っ飛んでいきそうだった。

「ほら、流すんじゃねぇの?」

「うん、。」

小さな願いを乗せて、僕は海に瓶を流した。

「じゃあ、帰ろっか。」

「遊んだり、しなくていーの?」

「うん、なんかもう、あーあ、って思っちゃってさ」

「うっし、じゃ、帰るか。」














◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






















「葛葉、水あげる」

「お前は飲まなくていーの?」

「うん、僕は喉乾いてないしね」

「いや、俺は吸血鬼なんだけどなぁ、…〜。」

そうだった。彼は吸血鬼だったんだ。会話が普通のそれすぎて忘れてた。

そう、彼は吸血鬼。この地球にたった一人しかいないであろう、吸血鬼だったのだ。いや、こいつは吸血鬼のくせに、太陽の下を歩けるんだ。それなら忘れてしまったって仕方がない。第一、僕を見る目がとてつもなく優しい。吸血鬼とは信じられない程に。

「葛葉、僕っていつまでこの生活送るのかな、」

「いつまでだろうな…。」

「…………。」

「少なくともお前が死ぬまでは続きそうだな」

「…………。」

「ま、そんな心配すんなって」

「なんで?」

「俺が飽きるまでは一緒に居てやっからさ」

「じゃあ、葛葉が飽きて、居なくなったら、僕は1人なの?」

「いや、1人じゃないだろうな。他にも動物はたくさん居るし。」

「でも、!」

「大丈夫。」

本当に吸血鬼なのかと疑ってしまう程の優しい目と口調。僕の生きる、この世界には葛葉しか話し相手はいない。

色々話してる内に、夜が来た。生まれて何度目の夜なんだろう。数え切れない程の夜が僕を飲み込む度にいつも不安になっていた。明日、僕は消えてしまうのではないかと。








__










夢から目を覚まし、横を見る。葛葉はご飯を食べていた。

「ん、叶、起きた」

「うん、今、起きた」

そんな、何の変哲もない会話をするだけで、いつも僕の心は少し救われる。

「飯、いる?」

「うん、お腹空いた!」

「ほら、」

差し出される焼き魚をむしゃりと頬張る。そのまま 僕は葛葉と談笑をしていた。晩御飯も終わり、睡魔が僕を襲ってきた時だった。

「おい、叶。なに寝ようとしてんだ」

「……、?」

「おいおい…?叶くん???さっきのお約束忘れたの??」

「あ、……」

そういえば忘れてた。一緒に寝るっていう約束。あれは僕等の中では今日はそういう気分だからしよう。ってな感じに使われている。

「うん、良いよ、シよ?」

「お前煽った事、後悔するぞ」

「葛葉となら何だって後悔しないよ」

「……っ、まじお前さ、、」

そのまま僕らはベッドに身体を沈めた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇
































◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「は、…ぁ、♡、くずは、…くずは、…っ、♡♡」

「…っ、叶、」

「すき、すきだよ、…っ♡♡」

「っ、おれ、も、」

「ねぇ、すきって、…♡いってよ…ッ♡」

「っ…、す、き、、、、…。」

「ふふ、くずは、てれてるねぇ……♡」


とちゅっ、とちゅっ、♡


「ひ……ッ!?♡♡くずは、♡♡まって、まって♡♡」

「やだ、待てねぇ」


ごちゅん♡♡ごちゅんッ♡♡


「ォ”ぅ”ッッ、?!♡♡♡♡」

「やだ、♡♡まって、♡ォ”ッ、あ”、♡♡♡これ、きたないこえでる……ッ♡♡でちゃ、から、♡♡」

「もっとだせよ……。ききてぇ、」

「あ”、ぁ、”ッ、ッ♡♡♡」

僕と葛葉はベッドに倒れ込んだ後、不純異性交友………じゃなくて、不純同姓交遊、まあ、セックスをしていた。ちなみに僕は人間の中で、特殊な身体の構造をしていて、身体や、自分の思う性も男なのだが、性器だけは、女性器なのだ。だから、最初にする時はとてもビックリされたし痛い事も無かった。

「しんぢゃ、ぅ、♡♡」

「ぼく、しんぢゃうから…♡♡くずは…ぁ、♡」

「大丈夫。んな簡単に死なねぇから」

くちゅ、くちゅ、♡

「ひ……ッッ!?♡♡♡♡」

「ぁ、ぁ、♡あ、…〜ッ、♡♡」

前も後ろも一気に攻め立てられる。

だめだ。これ、僕死んじゃうよ。本当に、

「きもちぃ?」

「ぁ、♡はぁ、…ッ♡♡きもちぃよ、?♡♡」

僕の口の隙間からは色を含んだ艶っぽい声が漏れだしてくる。やっぱり彼の抱き方は、とてつもなく優しい物だった。吸血鬼、じゃないよな、これ。ていうか、僕、1回も噛まれた事ないし。吸血鬼じゃないんじゃないの?でも、羽生えてるし……。

「おい、叶、何考えてんの?」

「…♡なんだとおもう……?♡」

「セックス中に上の空は酷くね?」

「ん、じゃあ、…ッ、♡なにもかんがえられなくなるくらいに、ぼくのことばかにしてよ……♡」

にへっと笑い、僕は快楽に身を任せた。

































「_体調は?」

「うん、大分いいよ」

「ん、腰は?」

「まだズキズキするけど、葛葉が近くに居てくれるんでしょ?」

「……、」

ベッドに横たわる、その横でバツの悪そうに目を逸らす、その横顔が好きだ。吸血鬼なのかと疑うくらいに優しいその性格が好きだ。僕の我儘をいっぱい聞いてくれる、彼が好きで。

これは叶わない恋なのだ。

















_______




















僕らはそれなりの歳だし、そういう相手がいないと、性欲を持ち余してしまう年齢だし。

色々と言い訳を並べていた最初の頃は、葛葉は只の、所謂、[セックスフレンド]というものなのだ、と自分に言い聞かせていた。でも、最近になって気付いてしまった。

ツンデレ(?)だったり、ニンニクも十字架も鏡にも映るのに吸血鬼だったり、本当は優しいかったり、褒められ慣れてなかったり、男にしては睫毛が長かったり、偶に意味分かんないこと言ったり。全部、目で追ってしまって。



嗚呼。そうか。僕、葛葉の事好きなんだ。


嗚呼。そうか。僕、葛葉に恋してるんだ。



叶わない恋を、しているんだ。

僕の[叶]は、叶わない叶なのか。

叶って欲しかった。

僕の叶は、葛葉が新しくつけてくれた名前だった。































その場所が、何処かも分からずに、名前も、何もかも忘れてしまった僕は、ロトだけを抱えて立っていた。静かな廃墟に僕はひっそりと住んでいた。


「……僕、死んでもいいんじゃない……、?」


微笑しながらボソッと呟くその声に、反応してくれる者は誰一人として居なかった。そんな僕の横顔を、ロトはじぃっと見詰めていた。



























いつもと同じように、寝床について、僕は静かに目を閉じた、その時だった。

とっ、

久しぶりに聞く、足音が聞こえた。

「…、誰?」

「ん〜?暗くてよく見えなかっただけで人間、居たのか……。」

「あ、俺は葛葉。吸血鬼。よろしく。」

「は……?」

あの日から、僕と葛葉の、ヘンテコで、だけど楽しくて仕方がない、そんな日々が幕を開けた。ある日は山に行って、ある日は海に行って、ある日は洞窟に潜ってみたり、ある日は高い高い空に飛んで行ったり。僕の何に対しても無頓着だった生活は、葛葉の手によって、塗り替えられてしまったんだ。



いつもみたいに、普通じゃない冒険をして、帰宅路の途中、……道じゃなくて空だから帰宅空?まあ、帰っている途中、上空3000m程の場所で僕は聞かれた。ああ、ちなみに葛葉は吸血鬼のくせに変な術みたいのを使えるから僕は空に行っても呼吸はできるんだ。

「お前さ、名前、なんて言うの、」

「僕?僕の名前は……。」

鹿にだって、熊にだって、鳥にだって、吸血鬼にだってある筈の名前が、僕には無かった。だって忘れちゃったんだもん。

「名前、無いの?」

「いや、あった筈なんだけどね……。」

「よし、じゃあ俺が考えてやるよ。」

「え?葛葉に考えられるの?」

「はん、俺にもそんくらいできるよ」

「そう?」

「……、かなえ。」

「……かなえ?」

「おう。お前の名前は今日からかなえ。叶うって書いて叶だ。これから2人で色んな事を叶えてこうぜ!」

吸血鬼で、太陽は効かないとは言え、苦手なくせに。太陽みたいな笑顔で僕に笑いかけてくる葛葉は、本当に優しくって、僕には勿体ないくらいに眩しかった、

「叶……。うん。僕の名前は今日から叶…!」

その後は叶、叶、ってノリノリで帰った。率直に、嬉しかったんだ。名前を付けてもらった事で、僕は僕の存在意義を見いだせたような気がした。

「葛葉、ありがとう……!」

「はっ、だから言ったろ?俺にもそんくらい出来るって」

「……。」

「んだよその反応…!?」

「いや、そのくらいで調子乗るのは大人気ないなと思っただけ」

その子供っぽい反応も、葛葉らしくて僕は好きだけど。





今も、セフレの関係は変わらない。恋情を抱いているのは僕だけだろうし。





そう、悟った、ある日の朝。葛葉はぐっすりと眠っている。





人類が消え去った世界で僕は今日も1人、静かに呟くのだった

「……こういう夜行性な所とかはやっぱり吸血鬼だな。」



やっぱり今日も空が青い。





















________

最後まで読んで頂き有難う御座います!

ふがし。と申します。初めての方は以後お見知り置きを〜!


伏線回収みたいなのをしてみたくて……。出来てるかは分かりませんが!2回目を見てみたら、意味深な所とかは、あってくれるかと思っております!!


例えば、

「明日、僕は消えてしまうのではないかと。」

という文章は、人類が消えたから、自分も消えちゃうんじゃないかな、みたいな感じですかね……()

何故、叶はたった1人で生き残ったのか、何故葛葉は叶に目を付けているのか、等は今後の話で公開予定です!是非コメント、♡、よろしくお願いします!


NEXT→♡100


(今後、どろどろになる可能性があります。バドエンになったら、ハピエンver.も出そうと思っております。)

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