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第2話 現実


寒い大地を一歩ずつ噛み締めて歩く。

辺りは吹雪が舞い、視界がとても悪い。

放射能の検出器がじりじりと音がなる。


外へ出るのは最初怖かったが、見たこともない景色に嬉しさも感じていた。

世界の広さに圧倒され、寒さは既に忘れていた。

周りを見ても凍りの大地で埋め尽くされ、何もない景色が広がっている。

煌々と太陽が照り付ける。

初めての大地に心が躍る。



カミラにいいものを渡したい。その一心で歩き続ける。

1時間くらいだろうか、歩き続けると廃棄された車らしいものを見つけた。


嬉しさのあまり走り出す。

しかし、車内は荒らされた後。車のドアは剥がされ、内部のパーツもない。シートすらなかった。

きっと他の者が取った後だろう。


それから何時間も歩くが、1つのスクラップさえ見つからなかった。全部取られた後だった。


外に出たら、何か変わると思っていた。

理想と現実は違うものだ。


歩き続けて4時間。

凍りついた岩に座って少し休む。

マスクのフィルターを交換し、携帯していた栄養注射器を打つ。

すぐ帰れると思っていた。

注射器は4本しか買えず、残りは3本。

帰りたいと共に手ぶらで帰れない気持ちが葛藤する。


(あと少しだけ、探索しよう)



ふと、横をぼーっと見ていると小さな洞穴があった。僕は洞穴に引きずられるように進んでいった。


そこには、白骨化したバラバラになった人?がいた。


僕はびっくりして腰が抜けた。

尻もちをついて後ずさりしていると手に、

何かがあたり、カラカラと音を立てる。

「スクラップ!?」

そこにはこの人が集めたであろう

腕時計や指輪や放射能インジケーター、高価なものがあった。


そうか、この人はスカベンジャーだったのか。色々と旅をしながら物資を調達していたのか。


「感謝します」


僕はそう言って物資をポケットにいれ、Cブロックに帰ろうとする。



その時

「・・・・キリキリ・・キリキリ・・・」


何かの音が洞穴の奥で鳴り響く。

動物らしきもの気配がする。

こちらに近づいてくる。


暗闇の中で黄色く光る目が見えた。


(まずい!プラウラーだ!)


感染動物に嚙まれたら、お終まいだ。


走って洞穴から出る。奴も追いかけてくる。


八つの黄色い目を持ち、皮膚は赤く、

鋭い牙。

まるでトカゲが変異したみたいだ。



必死に外にでた。途中岩で脚に切り傷を負う。


外には人がこちらを覗く姿が見えた。


「助けてください!!!」

僕はそう叫ぶ。


彼は静かにこちらに銃を向ける。


「・・・・バン!!!」


弾丸は僕の後ろを通過していった。

後ろでプラウラーが弾け飛び、緑の体液が飛び散る。


「坊主、ここで何してる?その恰好はスカベンジャーには到底見えないが」


「はい・・・・・助かりました。僕はネロって言います。ラビエンスのCブロック出身です。」


「あの終末のラビエンスか!?!?・・・・いやなんでもない。怪我はないか?」


「はい、大丈夫です。でもどうしてここにいたのですか?」


「ここには相棒を探していて来たんだ。俺はレミーってんだ。ここから遠いブロスタ出身のスカベンジャー。」


「レミーさん、よろしくお願いします」

僕は安堵した顔でほっとつく。


彼は、長髪で眼帯をし、ずっしりとした体格をしている。


「ネロ、プラウラーの体液がかかってんぞ。くせーな笑」

陽気にレミーはゲラゲラ笑う。


「ほんとだ・・」

僕もつられてクスクス笑いをする。


「ネロ、なんでここにいたんだ?洞穴に入るのは自殺行為だぞ?」

まだ笑っている


「これを集めていました」

僕はさっきの、スクラップを出す。

「お礼にどうぞ受け取ってください」

僕は全て差し出した。


「ネロ、お前、スカベンジャーのルールしらねーな?」


「ルールその1:追い剥ぎは、抗争相手のみ。ルールその2:スクラップは初めに見つけたものに所有者がある」


「とっておきな。いるんだろ?」

まだにやけている。


(もう井の中の蛙ですよ、僕は。。)


「はい!ありがとうございます!!」

僕はすっと立ち上がる。



その時レミーは急に真顔になる。

「ネロ、その脚はどうした?」

なんだか目が怖い


「岩で切っただけです。大丈夫です。」

ニコリとする。


「坊主、いくつだ?」

レミーがやけに質問責めをする。


「16歳になりました!これから恩人にこのスクラップを届けてきます!!」




「・・・・ネロ・・・・・・おまえの傷にはプラウラーの体液がかかったはずだ。・・・」



レミーは涙目をしている。




「・・・え?・・・え」



僕は状況が吞み込めていない





僕の頭に銃口が向いている




「すまない・・・・・ネロ・・・ごめんな・・・」




レミーはそう言って引き金に手を伸ばす。(続)

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