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「今日の依頼は、最近妙に強くなっているファデュイについての調査と討伐です。旅人さんには蛍術師をお任せしようと思います!」
「うん、わかった…。」
「旅人さん?大丈夫ですか?」
「あ…最近よく眠れてなくて…」
「…申し訳ありません旅人さん。旅人さんの意向に沿っているとはいえ、やはり多くの依頼をあなたに任せてしまっていますね。」
空はここ最近、いつもより多く依頼を自分に回してほしいとキャサリンに頼んでいた。
「俺が望んだことだよ。それにこの依頼が終わったら流石に少し休もうと思ってるし。」
「…それを仰ったの、もう何回目ですか。」
「そうだぞ空!無理するなよ!」
「あはは…でも……」
(でも……俺は…ずっと弱いままだ。)
空は焦っていた。自分が毎日悠長に暮らしている今この時にも、蛍が自分から遠ざかってしまうのではないかと。大切な大切な妹。空は、そんな蛍に見限られたくなかった。必要とされる存在になりたかった。
―蛍、俺をみて。俺はお前のお兄ちゃんだ。お前の力になれる。だから…俺と一緒に帰ろう―
そんな焦燥が空の原動力となる。己の肉体の疲労など二の次だ。会いたい。長い旅をともにしてきた、たった一人の妹。そしてこれからもずっと一緒に旅をする唯一無二の存在。
空は何度か魈からも、無理をしすぎだと言われていた。空は、魈に自分のことを心配されると弱いため、心配される度に心が痛かっただろう…