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ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。『蒼き怪鳥』との取り引きを済ませた夜、私は指定された郊外にある森へとやって来ました。ちなみに服装は普段着として使ってる真っ白なワンピースにしました。
「お嬢、分かってると思うがちゃんと大声を出すんだぞ」
ベルが心配してくれます。
「分かっています。ベル達もタイミングを間違えないようにしてください」
「ああ、任せろ」
「この先に小屋がありました。そこが取り引きの現場なのでしょう」
先行していたシスターが戻ってきました。
「ありがとうございます、シスター。それで、人数は?」
「十人前後と言ったところでしょうか。剣で武装していますね」
「剣か、なら都合が良いな」
「シャーリィ」
「何ですか?ルイ」
「その、気を付けろよ?ちゃんと叫ぶんだぞ?な?」
「分かっています。ルイこそ先走らないように。取り逃がすわけにはいきませんから」
「ああ、ちゃんと我慢する」
「大丈夫さ、お嬢。俺がルイを見とくよ」
「お願いします、ベル。では、行ってきます」
「お気を付けて、お嬢様」
セレスティン達に見送られて森の中を進むと、小屋を見付けることが出来ました。周りには、如何にもな風体の男性が数人立っています。
「お嬢ちゃん、こんな夜に出歩くのは感心しねぇな?」
「『蒼き怪鳥』の者です。お届け物を持参しました」
「ああ、なんだアンタが。ほら、中に入りな」
「失礼します」
小屋の中に入ると、中には更に数人の男性が待ち構えていました。
「なんだ、お嬢ちゃんが遣いか」
「はい、ボルガ代表から此方を渡すようにと」
私はリーダー格の男性に小包を手渡しました。
「ん、確かに受け取った。足りねぇ分はいつも通り徴収する」
「足りない分?」
「へへへっ!頭ぁ!早くしましょうや!こいつガキだが、かなりの上物だぜ!」
周りの男達がジロジロと私を見てきます。うっ、不快ですね。気持ち悪い。
「聞いてないって顔してんな、お嬢ちゃん。ボルガ代表との取り決めでな、足りない代金として遣いの奴を好きにして良いって話になってんだ」
「そんなの聞いてないです!」
「言ってないんだろ。それが分かってて来る奴なんて居ねぇからな。まっ、運が悪かったって諦めてくれよ。下手に抵抗されると俺達も乱暴にしなきゃいけなくなるからな」
周りを見ると男達が私を取り囲み、入り口も塞がれていました。不快です、不愉快です。なにより。
「このっ、下衆め!」
こいつらの性根が気に入らない!こんな小悪党な真似をして、弱者を蹂躙することしか出来ない卑怯者!
「威勢が良いお嬢ちゃんだ。いつまで持つかな?」
リーダー格の男性が合図をすると、周りの男達が一斉に私に触れてきました!気持ち悪い!
「触らないで下さい!」
「ちっ!抵抗すんなって!」
「大人しくしろ!諦めろよ!てめえは今から俺達と楽しいことするんだからよ!」
気持ち悪い!不快です!こんなに触られるのが嫌なんて!
「止めてください!」
「止めねぇよ!」
「へへへっ!綺麗なもんだなぁ。今から汚しまくってヤれると思うと興奮するぜ!」
「こんなもん要らねぇだろ!」
「やめっ!」
ビリリッッ!っとナイフで乱暴にワンピースの上側を切り裂かれ、私の上半身が露出します。
「ちっ!こっちはガキかよ」
あっ…見られるより………ルイに買って貰ったワンピースが…私が迂闊なばっかりに……。
「ん?おい、泣いてるぞ?」
「怖くなったんだろ、珍しいことじゃない」
「だな、んじゃお楽しみといきますか」
ああ、駄目だ。涙が止まらない。抵抗できない……ああ、私はやっぱり無力な…。
「おい!」
「んあ?ぐべぁあっ!!?」
今まさに私に襲いかかろうとしていた男の顔面に拳がめり込み、壁まで殴り飛ばしました。
「なっ!!」
「もう我慢ならねぇ!てめえら、シャーリィを泣かせやがったなぁ!!ぶっ殺してやる!!」
「ルイ!」
止めないといけないのに、嬉しくて…私は止められませんでした。
「このガキ殺せぇ!」
「後ろがお留守ですな、未熟者が」
「げっ!」
セレスティンが一人の首を極めます。
「しょうがねぇ、プランBだ」
「なにがっ…ばっっ!」
更にベルが二人纏めて大剣で真っ二つにしました。
「てめえらぁ!!地獄で後悔しやがれ!」
ルイも短めの手槍を振り回して大立ち回り。
「なっ!なっ!なっ!畜生!こんなの聞いてねぇぞ!?」
「動くな」
逃げようとしたリーダーの後頭部に、シスターがゴツいリボルバーを突きつけます。
「!?」
「今すぐにぶっ殺してやりたいところですが、お前には利用価値があるのでね。そのまま動かないように」
ものの数分でリーダー以外のゴロツキは全員呆気なく討ち取られました。うちのメンバー強すぎです。
「シャーリィ!っ!」
ルイが駆け寄って、私に上着を被せてくれます。
「ごめんっ!ごめんなっ!俺がもう少し早かったら!怖い思いさせちまった!」
なんでルイが謝るんですか。私が迂闊なばっかりに…。
「ルイ…」
「なんだ?どうした?」
ああ、でも…。
「ワンピース…駄目になっちゃいました…ルイが買ってくれたのにっ!」
だめ、悔しくて悲しくて涙が止まらない。
「ワンピースなんかどうでも良い!また買ってやる!それより、お前が無事で良かった…」
あっ、私ルイに抱きしめられてる……暖かい。
「マジで、こんなのはこれっきりにしてくれ。生きた心地がしなかった、心臓止まるかと思ったんだからなっ!」
ルイも……震えてる…心配させちゃった…。
「…善処します」
「いや、そこは…まあ、それがシャーリィか」
失礼な、最大限の譲歩です。でも…。
「ルイ」
「ん?」
「もう少し…このままで」
「ああ」
ルイは優しく抱きしめてくれます。ああ、温かくて…安心する…。
よう、ベルモンドだ。お嬢とルイが良い感じになってるから邪魔しねぇように後始末をやってる。
「つまり、これまで代金として送られた女で良い思いをして、しかもそれを使って脅してたと。予想通りの下衆野郎で安心したぜ」
「そんな連中と裏で繋がっていた。『蒼き怪鳥』も大概なクソヤロウでしたね」
「ああ、うちのお嬢に手ぇ出そうとしたんだ。普通なら今すぐにぶっ殺すところなんだが…なぁ?」
「へっ、へい!」
「俺達の言うことを聞くなら見逃してやる。どうだ?」
「もっ、もちろんだ!なにをすれば良い!?」
見逃すわけがねぇだろ、バカが。でもまあ、こんな小物の方が扱いやすい。
「いつも通り仕事は終わったと『蒼き怪鳥』に伝える、それだけで良い」
「わっ、分かった!じゃあ、カメラで証拠を!」
「カメラ?なんだそれ?」
「その場にあるものを絵にする機械です。ライデン社が売り出したもので、大変高価な品物ですな」
「へぇ、そんなのがあるのかよ」
最先端技術って奴か。
「じゃあ、そのカメラって奴で証拠を残しとけよ」
「そっちのお嬢さんの写真が要るんだっ!その、証拠のために!」
「あ?」
「つまり、犯した姿を記録すると。やっぱり殺しませんか?」
「落ち着けって、シスター。今やったら台無しになる。ほら、写真ってやつをやれよ」
「へいっ!」
また大きな機材を用意しやがったな。こんなので何が出来るんだ?
「ほら、シャーリィ。写真とやらを撮るみたいですよ」
「なんだ、危なくねぇのか?」
「変な真似したらすぐに殺すからな?」
「分かってる!」
「ほら、ルイ。ちょっと離れろ」
「シャーリィ、大丈夫か?」
「ん…少しだけですよ…」
あーあー、お嬢もすっかり弱りきってんなぁ。無理もねぇけど。
「それっぽくしますか。シャーリィ、上着を外して。男共、後ろを向け。そして、やり方を教えなさい」
「へっ?」
「分からねぇのですか、シャーリィの裸を見せたくねぇんですよ」
シスターなりの親心かね。写真とやらは、上手くお嬢の顔や胸とかを隠しつつまるで事後みたいな感じに撮れた。すげぇな、絵なんか比じゃねぇ。現実を切り抜いたみたいなもんだな、写真って。
「良し、引き上げるか。おい、ちゃんとやれよ。見てるからな」
「へっ、へいっ!」
もう一度脅しておく。逃げられねぇようにな。
「シャーリィ、もう平気か?」
「もう少し…」
あー、青春やってんなぁ。まっ、お嬢のことはルイに任せるか。
二人を温かく見守りつつ後始末をする大人達であった。