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ラゼク「…。」

???「あら?急に黙ってどうしたの?まさか、私の力を前に臆したのかしら?」

ラゼク「ふん。…貴様に祈りの時間をくれてやったまでの事。鎖金の魔封。」

???「!…あら?いつの間に。」

黄金の鎖が彼女の体全体を縛る。

ラゼク「貴様が聖王女でないなら用は無いが、あいにく妹を探している身でな。で、妹はどこにいる?」

???「さぁ。私は知らないわ。」

ラゼク「言葉には気をつける事だな。この鎖金の魔封が貴様を縛っている間は貴様は能力が発動できない。つまり無防備って事だ。」

しかし、彼女は焦る素振りを一切見せない。

???「殺りたければ殺れば?私にそのような価値など無いのですから。」

ラゼクはそれを聞いた途端、鎖金の魔封を解いた。

???「どういうつもり?」

ラゼク「…。ここで祈るなりなんなり好きにするがいい。もう貴様に用はない。」

???「いいの?鎖を解いても?」

ラゼク「殺れるならこの言葉を交わさずとも一目散に逃げるか、反撃してくるだろ。しかし、貴様は俺の妹を人質にもせず、そう言った時点で人質がここには誰一人いない事が分かった。」

???「そんな事で?」

ラゼク「十分だ。それに、俺の考えではどうやらここはタトスじゃないようだしな。」

???「…。はぁ。負けたわ。あなたの言う通りよ。ここはタトス本島ではないわ。ここはあくまでタトスの一部の領域よ。」

ラゼク「タトスの一部の領域?」

???「ええ。タトスは円形の領域で六人の魔女が本島を囲むように六つの島が繋がって領域の門番をしているの。私はその六人の魔女が一人ルルーシャよ。本来なら門番として侵入者を排除する予定だったけど…。」

ラゼク「…。」

ルルーシャ「あなたに手を出していたら…今頃私はこうして立っていられなかったでしょうね。」

ラゼク「…さっきの怒鳴りも演技という訳か?」

ルルーシャ「いいえ、あれは本心よ。聖王女様は私達の希望なの。」

ラゼク「…。」

ルルーシャ「あのお方が私に死ねと命じられれば私は喜んで命じられたまま自ら命を断つわ。」

ラゼク「…貴様と聖女王との間に何があるかは知らないが、奴が罪のない子供達を誘拐している事を知っていてもなお奴に従うという事か?」

ルルーシャ「ええ。私は聖女王様が何をされていても、あのお方にお仕えする。」

ラゼク「…。では、なぜ俺と戦わない?矛盾しているでは?貴様が聖王女に従うというなら、ここで命を捨ててでも俺を止めるだろ?」

ルルーシャ「確かに…。だが、情けない話だ。それは私が弱さが物語っている。今の私はあなたをここで止める事は出来ない。」

ラゼクは教会から出ようとすると、ルルーシャの方を向いて言う。

ラゼク「まあ、いいさ。貴様が聖王女じゃなければ、逃げるなり戦うなり好きにするがいいさ。」

ラゼクはそう言うと古城を後にする。次に向かうのはもちろんタトスの中心部の本島である。ラゼクは再び、そこへ向かう為その場から物凄い速さで本島へ渡り向かい始めた。


しかし、この時すでにタトス本島で事件が起きていた事はラゼクは予想していなかった。

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