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いつも通り電車を乗り継ぎ、大学の最寄り駅で降りて、大学の正門を少し通り過ぎ

コンビニでココティー(心の紅茶の略称)のレモンティーとミント味のガムを買い

大学の正門から敷地内に足を踏み入れる。

結果から言うと3限は妃馬さんと同じ講義ではなかった。

講義中にした妃馬さんとのLIMEのやり取りで判明したが

妃馬さんは水曜日、そもそも3限に講義は取っていなかった。

しかし、これまた講義中にした妃馬さんとのLIMEのやり取りで判明したことだが

4限は取っているらしい。ドキドキしながら講義名を聞いたが


「それは実際に講義室行ってからのお楽しみということで( ¯▽¯ )ニヤニヤ」


と言われてしまった。ドキドキは治ることなく

前の席の人に聞こえてしまうんではないか。と思うほどにドキドキは増していた。

3限の講義は終わったが、なぜかすぐには次の講義室に移動はしなかった。

スマホで次の講義室を確認して4限の講義が始まる5分前に移動を始めた。講義室前に着く。

講義室の扉は前後共に開け放たれており、僕はいつも通り後ろの扉から入った。

入ってすぐ左、扉側の壁側のテーブルに妃馬さんの顔が見えた。

妃馬さんもこちらを向く。目が合う。

胸の高さくらいまで手を挙げ、笑顔で控えめに手を振ってくれた。

僕も同じように胸の高さまで手を挙げ、控えめに手を振り返した。振っていた右手を下ろす。

妃馬さんがいたことが嬉しくて、下ろした右手を握りしめる。

僕は窓側のテーブルのイスに座る。

テーブルは壁側、真ん中、窓側と3列あって、横の列は妃馬さんと同じ列の席に座った。

真ん中のテーブルに誰も座らなければ、もしかしたら講義中に

妃馬さんと目が合うかもしれない。そんな気持ち悪いことを考えていたら

心の中に住む住人が「キモいぞー!」とか

「真ん中誰か座ってー」とか「妃馬さんを救ってー」など

様々な言葉の書かれたプラカードを持って僕の気持ちを観察していた。

スマホの電源を点ける。妃馬さんからのLIME。


「同じでしたね!(∗˃̶ ᵕ ˂̶∗)」


そのメッセージの後に猫が「イエーイ!」と飛び跳ね、喜んでいるスタンプが送られていた。

僕は左手で口元を隠す。鼻から深呼吸をする。

顔文字、スタンプ。可愛すぎだろ。そう思い口元がニヤけそうになる。

妃馬さんのほうを向きたくなるのを必死で堪えて、妃馬さんからの通知をタップし

妃馬さんとのトーク画面に飛び、返信を打ち込む。


「同じでしたねw顔文字可愛いっすねw」


その後にフクロウが目をハートにし「可愛い!」と言っているスタンプを送った。

スマホの画面を下にして置く。両手で顔を洗うときのように顔を覆う。


可愛いって送ってもうた。あぁ、たぶんもう既読がついてる。

…いやでも「顔文字」だから。「顔文字が可愛い」だからセーフでしょ。


となにがセーフでアウトなのか、自分でもボーダーラインもわからず、でも納得する。

顔を覆う手の指の間隔を空け、できた隙間から前を見る。講師の方が入ってきた。

まだ講義が始まる時間ではないが、僕はイヤホンを外し

流している音楽を止めようとスマホを持ち、画面を点ける。妃馬さんからの通知。


「えぇ〜可愛いだなんてぇ〜(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)テレッ」


そのメッセージの後に猫が照れているスタンプが送られていた。

僕はスマホを置き、後頭部を包み込むように手で覆い、指を組む。

背もたれに寄りかかり、少し上を向き

「ふぅー」

と口から息を吐く。体勢を戻し、スマホを手に取り

とりあえず音楽アプリで今流している曲を止める。

そして、最近使ったアプリ一覧からLIMEのアプリを開く。

そして妃馬さんとのトーク画面に飛ぶ。


「えぇ〜可愛いだなんてぇ〜(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)テレッ」


このメッセージになんて返信するかを考える。

「えぇ〜。では時間も過ぎましたので、えぇ〜っと?3回目?かな?2回目かな?

講義を始めたいと思います」

講師の方が講義を始める合図を出すが僕は気にせず考える。


「妃馬さんじゃないですよーw」


これは妃馬さんに失礼か?


「まぁ妃馬さんも可愛いですけど…」


これは踏み込みすぎ踏み込みすぎ。これは引かれるわ。

じゃあ、最初のパターン?いや、2つ目?いやいや…いや。


頭の中に住む住人が会議をしているように複数人から意見が出て

複数人がその意見に賛否を言い、複数人が頭を抱えている情景が容易に想像できた。結局


「ん?なんのことだと?ニヤ(°∀° )ニヤ」


という相手任せのメッセージを送信して

その後にフクロウが誤魔化すように口笛を吹いているスタンプを送った。

もちろん正解などないのだが、送ったメッセージが正解かどうかわからず

スマホの画面を下にしてテーブルに置き、一度頭を抱える。すぐに頭を抱えるのをやめ

バッグからサティスフィーを取り出し、ゲームを始める。

3限の講義であつまれせいぶつの森の日課はこなしてしまったし

特にすることがなく、さらに先程送った妃馬さんへのメッセージのリアクションが気になり

妃馬さんのほうに視線を向けたくなるがグッっと堪える。

すぐスマホに手を伸ばしたくなるのもグッっと堪える。

ただ手元のサティスフィーの画面内でやることのない僕の分身である主人公キャラクターを

クルクル回しているだけだったので


これは確認したくてしょーがなくてスマホを手に取るんじゃなくて

ただやることがないからスマホで意味がわかると怖い話を読むためにスマホを手に取るんだ。


と誰になのか謎の言い訳をして、サティスフィーの電源を切る。

「講義中なのに「やることがない」というのはおかしいのでは?」

「講義を聞くという大元があるのでは?」

という質問は受け付けていません。

サティスフィーをバッグにしまい、なぜか肩周りを動かし

スマホを裏向きのまま体に近づけて、意を決して表に向け、ホームボタンを押す。

妃馬さんからの通知。息を飲む。


「意地悪ですねρ( ̄ε ̄。)」


そのメッセージの後に猫がいじけて小石を蹴っている背中のスタンプが送られていた。

なんとも言えぬ感情になる。もちろん正解などないが

結局僕の返信は合っていたのか、間違っていたのか。僕は話を逸らそうと

妃馬さんからの通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面に飛び、返信を打つ。


「ちょwその顔文字w妃馬さんがその顔してるって考えたら…ww」


その後にフクロウがお腹を抱えている大笑いしているスタンプを送ろうとしたがやめて

フクロウが「ぷっ」っと吹き出し笑いをしているスタンプを送った。

僕はそのままスマホで意味がわかると怖い話を読み始めた。

1話読み終えて考えているときにスマホ上部にLIMEの通知が届いた。

嬉しくて読みたかったが、ちょうど考えている部分に通知が重なり「んなっ!」ってなった。

結局、簡単な問題だったが正解の部分ががわからず1話を終えるのに結構な時間がかかった。

LIMEのアプリを開き、妃馬さんとのトーク画面を開く。


「ちょwやめてくださいwあ!ダメダメ!想像禁止!w想像するなら٩(´꒳`)۶これで」


そのメッセージの後猫が「お願いします」とお辞儀しているスタンプが送られていた。

僕はニヤけそうになる口元を左手で隠し、返信を打ち込む。


「わざわざ可愛い顔文字探してきたw」


その後にフクロウが驚いた様子のスタンプを送った。

結局4限の講義中ずっと妃馬さんとLIMEをしたり

意味がわかると怖い話を読み、解いたりして過ごした。

結局4限の講義に鹿島と匠が姿を現すことはなかった。

「はい。今回の講義はここで終わります。お疲れ様でした」

と淡白に終わりを告げて、講義室にいる誰よりもはやく講義室を後にした講師の方。

僕は講義が終わったという事実で気が抜けたのか

ふと無意識に妃馬さんのほうを見てしまった。

すると妃馬さんもこちらを向き、目が合った。

パッっと色鮮やかに、パッっと華やいだ気がした。妃馬さんが口パクで何かを伝えてきた。

「お つ か れ さ ま で す」

だろうか。最初の口パクではなにかわからずに

2回で恐らく「お疲れ様です」だと読み取れ、妃馬さんは微笑む。僕も口パクで

「お つ か れ さ ま で す」

と返す。すると妃馬さんがまた微笑む。そんな妃馬さんに心拍数が速くなっていると

妃馬さんの肩に両手を置き、妃馬さんの背中側からひょこっと顔が出てくる。

音成さんだ。音成さんが僕に控えめに手を振ってくれた。僕も音成さんに手を振り返す。

なぜだか音成さんの顔を見てから心拍数はゆっくりになり始めた。

僕はスマホを手に取り、電源を点ける。妃馬さんからの通知。


「正解です!お疲れ様でした」


そのメッセージの後に猫が腕で大きく丸を作っているスタンプが送られていた。

僕は通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面に飛ぶ。

「正解です!」というセリフと猫のスタンプの可愛さが相まって顔がニヤける。

すぐに手で口元を隠す。すぐに返信を打ち込む。


「良かったw合ってたw妃馬さんもお疲れ様でした」


その後フクロウがお辞儀をしているスタンプを送った。

トーク一覧に戻り、先程目が合って手を振り合った音成さんへもメッセージを送る。


「お疲れっす~。来てたんだね、気づかなかった」


出だし、敬語になりそうだったが直接話すときはタメ語で

LIME上では敬語だと気持ち悪いので無理矢理にでもタメ語にした。

電源を消そうとトーク一覧に戻った瞬間、妃馬さんの名前が一番上に来る。続けて

「スタンプを送信しました」の文字。

僕はすぐに妃馬さんの名前をタップし、妃馬さんとのトーク画面へ入る。


「良かったら、一緒に帰りませんか?恋ちゃんも一緒に」


そのメッセージの後に猫が「行こう!」と荷物を持ち

どこかに出掛ける様子のスタンプが送られていた。

サッカーでゴールを決めたときのように両手で大きく、思い切りガッツポーズをしたくなった。

その気持ちをグッっと堪え、妃馬さんが見えないであろう

妃馬さんの死角であろう左太ももの左側で左手に力を込めて握りしめた。

僕は左手に嬉しさを込めながら右手で即座に返信を打ち込む。


「もちろん!お家まで送らせていただきます」


その後にフクロウが執事のようにお辞儀しているスタンプを送った。

僕はトーク一覧に戻り電源を切ろうとした。すると今度は音成さんの名前が一番上に来る。


「おぉ〜お疲れ〜。ひどない?」


返信しようとしたが、音成さんに返信したら

今度は妃馬さんからメッセージが来て、また返信してと、ループしそうだったので小声で

「無限ループって怖くね?」

と呟き、音成さんには返信せずにスマホの電源を切り、ポケットに入れて

荷物をまとめて立ち上がる。講義室の後ろの扉に近づく。

必然的に妃馬さんと音成さんにも近づく。

なんて話しかけようと短距離、短時間で考える。しかし結局考えがまとまらず

「お疲れ様です」

と恐らく一番無難な言葉をかけた。すると妃馬さんは笑顔で

「お疲れ様です」

と返してくれた。すると僕から見て妃馬さんの左側から

「お、お疲れっすー」

と音成さんが顔を出す。

「お、おぉ、お疲れぇ〜」

タメ語で距離が近づいたような気もしたが

僕も音成さんもどことなく、まだ距離があるように感じる。

「あ、そういえばこの後もう講義ありませんでした?

なんか勝手に帰りましょって言っちゃいましたけど」

とハッっとした顔で聞いてくる。

「あ、あぁ、ないっすないっす。帰りましょ。あ、音成さんは?この後ないの?」

となんの気なしに聞いたが、もしかしたら妃馬さんと2人で帰れる?という期待と

妃馬さんと2人はまだ緊張するから音成さんもいてくれ!という願望がせめぎ合い始めた。

「ないよ。また送ってくれんすか」

「ないよ」と言われた瞬間、残念な気持ちと安心した気持ち、2つが同時に湧き上がった。

「あ、えぇ。送らせていただきます」

と軽く執事になり言った。妃馬さんはそれに気づいたのか少し笑い

妃馬さんと音成さんも荷物をまとめて、僕と一緒に講義室を出た。

猫舌ということ。

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