「潔!危ない!」
聞き慣れた声が耳に届く。振り向こうと横を見た時にうつった車がこっちに進んできて、もうすぐぶつかってしまうだろうと冷静な頭で考える。
急いでブレーキを踏み、焦った顔でハンドルを握る運転手や全速力でかけてくる友人の顔が鮮明に脳裏に浮かんでくる。
悲鳴が聞こえ、生暖かいものが肌に当たる感覚と友人達であろう手に当たるぬくもりが自分の人生がどれだけ幸福だったと思い知らされる。
こんなに自分のことを思ってくれている嬉しさと、まだ世界一のストライカーになれていないという悔しさが溢れ出てきて起きなきゃ起きなきゃと心では思っているのに身体が動かないことがもどかしくて、ピーポーピーポーというサイレンの音を遠くに聞きながら俺は意識を手放した。
パチリ
目が覚めて上をみれば、見慣れた天井がそこにあった。
(俺は…どうなったんだ?)
確かに車にひかれたはずなのに意識があるということは助かったのだろうか?
でもここは俺の実家だと思うしな…
色々思うところはあるがとりあえず布団から出ようと思い上半身を上げると
「え…ち、縮んでる!?」
ドテッ
びっくりした拍子にベッドから落ちてしまった
「いった〜」
尻もちをついたので起き上がろうとすると目の前にある姿見が目についた
(これ、やっぱり4、5才の体だよな…)
突然のことに驚くも、まだ夢を叶えるチャンスがあるんだという事に気分が高まっていくのがわかった。
(まだ諦めなくていいんだ!俺は世界一のストライカーになれるんだ!)
と、いわるゆ逆行?をしてしまった不安や疑問はあるものの前世で叶えられなかった夢を叶えられるという希望の元、俺は今世を生きていくことを決めたのだった。
そうと決まれば即決行!
俺は階段を降りて母さん達に挨拶し、服を着替えてサッカーボールを持ちすぐに近所の公園に向かった。
…そして今、糸師兄弟にプロポーズをされています。
色々思った事はあると思うがとりあえずこの数分で何があったのかを説明しよう
まず、ここは俺が前世で住んでいた場所じゃないという事に気づいた。そしてなんか来たことがあるきがして記憶を巡っていたら糸師家のある鎌倉の可能性が高いということがわかった。だからなんとな〜く場所を把握していて、公園があるところまでたどり着き楽しくサッカーをしていたのだが…
どうにもそこが凛と冴もいつも使っていた公園らしく、ばったり鉢合わせしてしまったというわけだ。
そして、一応は前世で青い監獄が終了してからBМでサッカーをしていたプロということもあり普通の子供よりもうまいのは当たり前の事。
来たときは人がいなかったから今自分がどれくらいできるのかを試すため、全力でサッカーしていたので今凛と冴は大人顔負けのエゲツなサッカーをする子供に出会ってしまったというわけだ。
勿論このときからサッカーバカな冴がそんな俺を見過ごすはずもなく1or1を申し込まれ、断ろうとしたけど圧に負けた俺は手加減するのもあれだしな〜と全力を出したところ
「お前、俺の嫁になれ!」
「ずるい!俺のお嫁さんになってよ世一!」
と幼いのでまだまだかわゆい二人にプロポーズされてしまったということだ。
「兄ちゃんの言う事聞けないのか凛!
「世一は別腹だよ!絶対絶対俺のお嫁さんにするだ!」
うん、とりあえず助けて欲しい
実は俺は今この二人の真ん中で腕を引っ張られている状態でしてね、すごく痛いんですよ
「ま、まぁ二人共落ち着いて。ていうか俺はどっちとも結婚しないからな」
「お前の意見はどうでもいいんだよ、俺がお前を嫁にすると決めたらそれで決定なんだよ」
「世一は何も考えなくていいよ!俺が全部やっといてあげるから」
え〜なにこの人の話全く聞かない人たち〜(泣)
結局この戦いはお昼ごはんが出来たと俺を呼びに来た母さんによって一時休戦となった
ガチャリ
「ただいま〜」
「「お邪魔します」」
「は〜い、いらっしゃい」
あの後母さんが「二人共うちでお昼ごはん食べていく?」と二人を誘ったことにより糸師兄弟が潔く家に来ることになったのだ
「今日はね、オムライスにしたのよ!二人共好きかしら?」
「はい、好きです!」
「俺も好きです!」
「あらあら良かったわあ。よっちゃんもオムライス好きだものね」
オムライスが好きなら俺の方を見ながら言わないでほしいんだが…
まあその後オムライスにハート描いて!とか色々大変なこともあったがなんとか食べ終えることが出来た
そしてお茶を飲みながら一段落ついていると母さんが口を開いた
「…あのね、実は私公園での会話を聞いちゃってね…、、」
「ん?」
なんだなんか雲行きが怪しくなってきた気が…
「よっちゃんには幸せになってほしいの…だから…ご飯を食べた後1時間は寝かせないでね、歯磨きは仕上げに磨いてあげて、後きんつばは1日一個よ?食べ過ぎたらだめだからね、それと…」
「ちょ、ちょっとまって母さん!」
「よっちゃんは寂しがりやさんだから夜は絵本を読み聞かせしてあげてね、うっこんな早くにお嫁さんに行くなんて…寂しいわ」
「大丈夫です、お母さん!絶対に幸せにします!」
「世一の面倒は俺が見ます!」
「え、え」
「そう…二人になら安心してよっちゃんを任せられそう、良かったわ」
「任せてくたさい」
「頑張ります!」
「だから俺はどっちとも結婚しないっていってるでしょ!!」
今回は見てくださりありがとうございます
初の潔愛され作品なので誤字・脱字などもあると思いますかま暖かい目でみてくださると嬉しいです。
今はまだ凛と冴しかでていませんが後々ドイツのお二方や青い監獄なども書いていきたいと思っていますのでぜひとも気長に待っていただけたらと思います。
次回もお楽しみに