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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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『ん、終わったよ』

階段を降りると、兄はまだ椅子に座っていた

ジュニーもいつの間にか床から離れ

熱心に本を読んでいる

「なんの話だったんだ?」

『あー…』

「…さては母さんから何か貰ったな?」

私が口ごもった瞬間

兄から鋭い指摘を受ける

思い出した

兄はこういう人だった

『えっ?いや…違うし!ただの話だったよ!』

「それ、嘘だろ。お前嘘つくと分かりやすく声デカくなるからな。」

『うえー…なんでそんなこと知ってるの』

「何年お前と一緒にいると思ってんだよ。で?何貰ったんだ」

『秘密って言われたから言わない』

「…そうかよ。堅い奴」

私は兄が私のポケットを見ないか不安でいっぱい、という感じだった

なんせ手帳の上部ははみ出てしまっている

いや、見られてもすぐには手帳だと分からないだろうが…

それでも気がかりで仕方なかった

『もう良いでしょ、お父さんいる?』

「お前が離してる間に出ていったぞ。薪を取りに行ったか、魚を買いに行ったんじゃないかな…」

『そっか。…残念。まぁいいよ。見せたい物あっただけだし…』

「お姉ちゃん、もうお外行ける?」

『あっ、うん!行けるよ!』

その言葉にジュニーは目をキラキラさせ

読んでいた本を閉じて机の端に置く

ずっと待っていてくれたのだろうと、

申し訳無さと有り難さが微かに漂った

「外、行くんだな」

『うん。お兄ちゃんも行く?』

「いや、俺は良いよ。母さんにしっかりと兵士になる旨を伝えてこなきゃいけない」

一連の流れを眺めていた兄に尋ねるも、流石は長男と言った所だろうか

全く誘いには乗ってこなかった

帽子を被り、準備が出来たジュニーと共に

扉を開けようとした時

「待て」

と丁度、兄が静止した

椅子から立ち上がりこちらへ向かってくる

『なんだ、やっぱり来たかったのか』と思った瞬間

兄は私の乱れた上着を直した

『…?』

「服はしっかり着ていないと駄目だ。近所のガキにも舐められる。…母さんが言ってた」

『そうなんだ…ありがとう』

「ジュニーのも後で直してやれよ」

『うん』

兄は、ジュニーの上着を私が直したがる気持ちが判っていた

「今度こそ行ってきていいぞ。もう止めない」

軽く背中を押され、二つ返事を返す

私達が外に出ると

扉がガチャンと再び閉まった

なんとなく、今日は早めに帰ろうと思った


そして数ヶ月

兄は訓練兵になった

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