こちら、林檎様への作品となっております。
ぬふっ(?)
若干性奴隷感あります。
共依存系です。
地雷様はご注意を。
白さんside
「大好きだよ。」
過去の記憶がよみがえる。
「ずっと、ずっと、大好きだよ。」
これが夢だということは分かっている。
「愛してる。」
赤い髪の彼が持っている刃物。
それが、俺に向かって振り下ろされる。
「はっ」
目が覚めた。
視界に写るのは白い天井だけ。
周りを見渡すと、たくさんの人が自分の寝ているベッドの上に集まっていて、
俺が目覚めたことを知って喜んでいるようだった。
しかし、目の前にいる人たちが誰なのか全く覚えていなくて。
「…誰?」
俺が言葉を吐いた瞬間に周りの人たちの表情は凍り付いて。
青い髪の白衣をまとった人に聞かれた。
「ご自分の名前は憶えていますか?」
名前?…なまえ?
「…わかんないです。」
あからさまに残念な顔をする医者のような人を見て、思わず不快感を覚える。
「…目が覚める前のことは、憶えていますか?」
今度は横にいた桃色の髪の人に聞かれた。
「…幸せな夢を見てて。」
「幸せな、ですか。」
医師が俺の言葉を繰り返した。
…俺はなんで、あの夢を幸せだと思ったのだろうか。
赤い髪の誰かに刺されて、殺される夢。
どうしてそんな夢を幸せだと思ったのか。
それが分からなかった。
「…どうかしましたか?」
医師に聞かれた。
それは業務的な何かとしか思えなくて。
「大丈夫です。」
つい意地を張った。
そのあとに夢の出来事を話した。
「…赤い髪、ですか…。」
桃色の人が言った。
やけに深刻そうな顔をしていて、
不思議だった。
「…その赤い髪の人のことは憶えていますか?」
「いいえ、」
本当に覚えていなかった。
でも、
忘れてちゃいけない気がした。
「あなたはあの人のことを知っているんですか?」
桃色の髪の人は青い髪の人と顔を見合わせた。
なにか隠しておかなければならない事実があるのだろう。
暫く考えるようなそぶりを見せた後、頷いた。
「知ってます。」
「教えてください…!」
知りたかった。
あの彼は何者なのか、
そして少し感じたあの愛しさの正体を。
「…つらい話になるかもです。」
「別にいいです。」
そっけなく答えた。
「赤い髪の人はりうらっていう名前の人なんです。」
看護婦が話し始めた。
りうら_
その名前は妙に聞き覚えがあって、
「りう、ら。」
声に出すと少し懐かしい感じがした。
「その人、貴方のことを刺したんです。」
衝撃的だった。
「…ぇ?」
「りうら…、さんは、貴方と恋人同士だったみたいなんですけど。」
「……なんででしょうね。」
看護婦は不思議そうでもなく、淡々と事実を述べているだけのような感じがした。
「…俺は、」
「…なんでここに居るんですか。」
なんで刺されたのに、生きているのか。
「奇跡ですよ。」
奇跡。
聞きなれない言葉に動揺を隠せず、看護婦さんに訪ねてしまう。
「奇跡って…、どういうことですか?」
「本当は死ぬはずだったあなたは奇跡的に生き残ったので__」
「やめなさい!」
桃色の髪の人が冷静に説明してくれていたのを、青い髪の医師が感情的になってとめている。
その姿が、やけに新鮮だった。
医師がやっと落ち着いたようで、また話し始めた。
「…こんなこと、患者さんに聞くことではないのかもしれませんが、」
「…精神的ショックとかは、ないんですか?」
「…わかんないです。」
わからない。
俺には、わからなかった。
「…落ち着いたらでいいですし、ないとは思うけどりうらさんに会いたいとかあったら全然言ってください。検討しますので。」
完全に冷静を取り戻した医師が言った。
「わかりました。」
その返事を聞くと医師と看護婦は部屋から出て行った。
また俺は眠った。
目が覚めた。
「あ、おはようございます。」
目の前で桃色の髪の看護婦が、花を飾っていて、少し驚いた。
「…あの、」
りうら…?っていう人に会いたかった。
一度でいいから、会ってみたかった。
「りうらさんに会ってみることって、できたりしますか…?」
「…ああ、」
看護婦は一瞬俺から目をそらした。
が、すぐに笑顔に戻って言った。
「全然可能ですよ。」
「対談ですか?」
頷く。
「対談でしたらプラスチックの壁越しでの会話になりますが、大丈夫ですか?」
少し戸惑う。
頷く。
「分かりました。」
看護婦は一つ、頷くと無線のようなものを制服のポケットから取り出した。
それを使い、だれかと会話した後、振り向いて言った。
「では、ついてきてください。」
廊下のようなところを歩いた。
部屋から初めて出た。
周りを見渡すと研究所か何かの様で、
俺は3号室に眠っていたようだった。
他の部屋の前を通ると、悲鳴が聞こえたり、何かを殴るような音が聞こえたりした。
看護婦さんは、しばらく歩くと急に止まった。
部屋番号を見ると、1号室と書かれてあった。
看護婦さんはゆっくりとノックした。
「失礼しま~す。」
扉を開けるとそこには、
__夢で見た通りの彼がベッドの上で本を読んでいた。
「…ぁ、」
途端に記憶がよみがえる。
りうちゃんに、俺、殺されかけたんだっけ。
俺たち、恋人同士で…、そっか。
頭の中で何とも言えない感情が渦巻く。
途端に頭痛がして。
「まっ…て…、!」
頭の中が渦を巻いて、
パチンという音とともに意識が途絶えた。
「これは、愛情表現といえるでしょうか。」
起きた瞬間、知らない人の声が聞こえた。
俺はベッドに寝かされていた。
周りを見渡すため起き上がると、隣のベッドにりうちゃんが居た。
そしてその横には、電子黒板のようなものと黒と金髪が混ざったような髪の色の人が居た。
「…あ、しょーちゃん起きたんだ。」
「おはよう。」
そう吐き、微笑む君を横目で眺めながら、電子黒板を見る。
電子黒板には愛情表現の方法が書かれていて、殴ったり蹴ったり刺したりすることは愛情とは言わないと。
…そう書かれていた。
「…くだんな。」
思わずそう吐くと、金髪っぽい人が驚いたように振り向いた。
「何言ってるの?」
りうちゃんも驚いたような顔で俺を見ている。
「え?下らないって要素あったっけ?」
電子黒板を見なおす彼。
「…え、?」
前の彼はこんな人では無かったはずだ。
思わず目から涙が零れ落ちる。
「え、あ、大丈夫?」
心配そうに駆け寄る彼。
「僕に、暴力は一番の愛情表現だよって、そうやって教えてくれたんはりうちゃんやん…!」
「なんで、僕のこと壊して堕としたんやから、だから責任取ってよ…!」
「しょーちゃんごめんね。」
笑顔でつぶやいた。
「俺、間違ってたみたいなんだ。」
違う、違う。
りうちゃんは間違ってなんか…!
「ここにいるいっぱいの人が教えてくれたんだ。」
違う。その人たちは間違ったことを言ってる。
「愛情を表すのに一番最適なのは、好きって相手に伝えることなんだって。だからね、」
騙されないで。りうちゃん…!
「好き。」
「え?」
嬉しい。混乱。
そんな感情が入り交ざって。
「僕も好き。」
答えた。
「でも、」
「?」
こんなの…!
「一番の愛情表現は殴ったりすることでしょ!」
「だから、違うんだよ。」
りうちゃんはまた微笑んだ。
どこまでも明るい笑みで、
前のりうちゃんの暗い微笑はどこへ行ったのか疑うほどで。
「ちょっと、あの、いいですか?」
黒と金髪の人が間に割り入ってきた。
「一旦落ち着きませんか?」
「…いい。」
りうちゃんは、冷たくなった声で言った。
「あにき、席外して。」
あにきと呼ばれたその人は焦ったように頷き、電子黒板を引きずり部屋の外へ出た。
再びりうちゃんを見ると、前のような暗い微笑みを浮かべていた。
「しょーちゃん、暴力こそが愛情表現だと思う…?」
頷く。
りうちゃんは一度上を見て、俺の耳元で言った。
「…りうらもそう思う。」
いつにも増して魅力的な笑顔をしていて。
「俺、最近めっちゃここの人たちの信用高いんだ。」
「…抜け出しちゃう?」
そんなことが出来たのか。
頷いた。
そこからは早かった。
りうちゃんは自分の学習用タブレットにナビのソフトを追加し、現在位置を調べ記憶した。
俺はどこか抜け出せる場所がないか懸命に思い出していた。
準備が整った。
抜け出した。
「はーッはーッふぅ…、」
走ってきたせいか、呼吸がとても乱れたが、
達成感により気力がどんどん回復される。
しばらく歩くと見たことのある道が見えた。
「あ、ここ」
「うん。」
家へ着いた。
久しぶりに入った家はどこか血なまぐさくて。
昔のような嘔吐物の匂いがした。
「今度は誰にも邪魔されないように。」
りうちゃんが振り向いて言った。
俺は頷いた。
首輪をつけて、バニー服を着せて、
四つん這いになって、
りうちゃんに指を突っ込まれて、
嘔吐して、
まるでペットや奴隷を扱うようにされる。
____幸せないつもの日常が始まった。
おわりです。
コメント
2件
んわぁぁあ … 😇 🫶🏻️ 💕 読み 入って しまいました … ストーリー性が 性癖すぎます 😭 愛情表現 … このお2人 、 暴力が 愛情表現 だったんですね 、やばい 好きです 🤧💞 最終的に また 堕ち合うんですね 、、好きです🥹💖 有難うございました 😭💕