こんにちは
早速どうぞ
⚠注意⚠
何でも許せる方のみどうぞ
カランと扉を開けると、ベルがいつもと変わらない音を鳴らした。
「いらっしゃい」
ちょうど、机を拭いているバーのマスターが、優しい笑顔で迎えてくれる。その、優しい音声は、人の疲れを吹き飛ばしてくれる。
「こんにちは」
土曜日の夜。普通の会社なら、休みがあるが、あいにく私は休日出勤を余儀なくされていた。
いつもの事だと、思いながらカバンを机の上に置き、そのまま流れる様に座る。
「はい。水だよ」
グラスに入っている水を口の中に入れ、身体中に行き渡るのを感じた。
バーに来たのだから、酒を頼むだろうと思うかも知れないが、私は酒が飲めん。なら、何故此処に来たかと言うと、此処は私の祖父の家だ。
小さい頃に、通り魔に父親を殺され母親は精神が不安定になり、高校の頃家で首を吊って亡くなった。一人になった私は、祖父母の家に連れて行かれ、数年間お世話になり、今は立派な社会人になっている。
ほっと息を吐いてグラスを机に置く。
「仕事はどうだ?また、残業を押し付けられたのか?」
「順調だよ」
私が、そう言うと、マスター…祖父は心配そうな表情を浮かべた。
「本当か?隈が凄いし…無理はするなよ」
有り難い言葉だ。実を言うと、私はかなり無理をしている。
「大丈夫だよ」
グラスに手を添えた瞬間、またカランと言う音が聞こえた。
誰か客が来たのだろうと、後ろを振り返ると高身長男性が、立っていた。
「……マスター、いつもの」
祖父は、カウンターで酒を取り出しシャカシャカとグラスを上下に降る。いつものと言う意味が、分かるのなら結構な頻度で通っている客なのか?
初めて見た客だが、身長が高いな。
「お待たせ」
差し出された、Cocktailをクイッと片手に持ち、口の中に入れ、喉を潤す。
余り、見ていたら何だこの人と思われるよな。
視線を窓の方に見ると、ポツポツと雨が降っていた。最悪だ。今日は、天気予報では晴れだと言っていたのに。
通り雨だと、良かったのだが雨はどんどん強くなっていき、ザーザーと言う激しい音が室内の音楽を掻き消す。
「ご馳走様でした」
タクシーを拾って帰ろうかと考え、店を出ようとすると。
後ろから、グイッと手を引っ張られ、思わずよろめきそうになる。
「!?」
「日帝!?」
誰だ…?この人は…。
見ると、高身長で黒髪のシークレットパーマヘアーの、黒いスーツを着ている男性が、何やら驚いた顔をしながら、突然喋り掛けた。
いや、待て。何で、私の名前を知っているの?
「えっと…どちら様…?」
コレが私とあの人の_____
最初で最後の初恋の話。
読んで下さり有り難う御座います
それでは、さようなら