この物語はフィクションです。

実在の人物、団体、事件等には一切関係ありません。

注意：残酷、残虐なシーンがあります。

　念のため、靴も靴下も脱いだ。この方が気配を殺せる。

　何度かゆっくりと息を吐き、ジャックの動きを想像する。

　駆け寄って扉を越した辺りで、僕はジャックを見なくてはならない。

　その時にジャックも僕に気がつくはずだ。

　正確には「誰かの視線」を感知するはずだ。

　そしてジャックが振り向くまでの一瞬。

　それしかない。

　僕はもう一度上着を着て、フードをかぶった。ほんの少しでも、ジャックが僕を認識するまでの時間を稼ぎたかったからだ。

　左手にモップの柄を握り、もう一度床の上でルートを確認する。

（……ごめん）

　ぐっと腹に力を入れると、鋭く一度だけ息を吐いて一気に走りだす。

　まっすぐにドアへ。

　ジャックを見ずに＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

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