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「こっちですわ、ルウィルク様」
私は洗濯物を干し終わった後、彼を連れて伯爵邸の裏にある森の中を歩いていた。
因みに、ここは領地内なので、残念ながらあの家から脱出できたわけではない。
しばらく進んでいると、木製の小屋が見えてきた。
「あれか?」
ずっと黙っていた彼が口を開いた。
私はにこりと笑い、彼に向かって頷く。
そうしている間に小屋の前に着き、扉を開けた。
するとそこには、びっしりと本が詰められた本棚が並んでいた。
私は中に入り、少し暗かったので、入り口にあったろうそくに、一緒に置いてあったマッチで火をつけた。
私は壁際の床に腰掛け、中に入ってきょろきょろしている彼に微笑む。
「隣にどうぞ」
「……じゃあ遠慮なく」
恐る恐る私の隣に座る彼に私は笑みを深め、座ったまま棚から本を取り出した。
本を開き、読み始める。
それは魔法について書かれた本だった。
そういえば、私も昔は魔法が使えたな。私も七歳までは治癒魔法が使えた。
しかし、伯爵邸に来てからは一向に使えなくなった。多分伯爵家の人に何かされたのだと思うが、少し残念だ。
両親に、外では使うなとこっぴどく言われていたっけ。だから外では使ったことないはず……って……。
……あれ?私、何か忘れてる?
外で使ったことがあるような無いような……。まあどっちでもいっか。重要なことでは無いだろう。
そして私は本を読み進めたのだった。