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「ねぇーえ、今日の放課後暇?」
と冬真とねいちゃんに聞くと、冬真は相変わらずの鬱陶しそうな表情を浮かべていた。でも、それがいいんだよね、と自分に言い聞かせながら、私は2人に笑みを浮かべた。
「ひまだよ。」「それなりに。」
と2人は返事した。
やった!と私は笑顔で返事をすると、冬真はいつもはだるそうに歩いていた。でも、今日は違う。何かが違うなって思って彼のことを見ると、彼は
「何しに行くの?」
と質問してくれた。その質問に嬉しくて、私の顔にはついに笑みがこぼれた。
「今日は弥音の誕プレ買いに行く!弥音の誕生日20日なんだー!」
と私は説明した。弥音とは、私たちの共通の友達で、私の恋愛相談相手だ。
「ふーん、でも今日暑いからやだなー」
と冬真が答える方を見ると、私は彼の綺麗な横顔に汗が滴っているのを見て、心臓が少し高鳴った。
「じゃ、じゃあアイス買うから!」
「チョコミントな。」
と待っていたように答えた。私は彼の扱い方が上手だと思ってしまった。
ほっぺたを膨らませる私を見て、ねいちゃんは笑った。
「んじゃ、後で。」
「うん!」「ん。」
そして、放課後になった。
「あっ、遅かった?」
「遅い。」
冬真とねいちゃんが話しているところに、急に声をかけた私には、2人が驚くのではないかと思ったが、全く驚かなかった。
「いや、冬真。時間には間に合ってるよ?」
「ねいちゃんの言う通りだよ!?」
そして、誰かが行こうと言ったわけでもないが、3人は歩き出した。
「誕プレ買えた!弥音喜んでくれるかな?」
私がにこっとすると、冬真が真剣な顔をして言った。
「アイスは?」
「あっ…早く行こう!」
アイスを買いに行こうとしたら、冷たい風が吹き抜けた。
「あっ…!」
帽子が高く高く飛んでいった。その帽子を取りに行こうと歩き出そうとすると、冬真が取りに行ってくれた。すると、冬真をめがけて、
キキーッ
トラックが冬真を轢いた。赤く舞った液体が私のほっぺたに当たって弾ける。冬真の身体が力無くその場に倒れた。
「えっ、」「は?」
「は、冬真…?」
「い、いやぁぁぁぁぁあああ!」冬真が死んだ。まるで全部夢だったみたいに、冬真の服の香りと血の匂いが私とねいちゃんを包んだ。その拍子に、私はその場に崩れ落ちた。
その後、夜まで病院で様々な話を聞かされた。即死だとか、運転手も亡くなったとか。私はその話を聞いている間、ずっと泣き続けていたねいちゃんを見て、自分自身も胸が苦しくなった。私のせいであの事故が起きたと思うと、身体の内側がすべて抜け落ちそうになってしまうほど、苦しい思いをしていた。
「…千花!」
自分の名前を呼ばれて、我に返った。ねいちゃんの目は、涙で赤く腫れ上がっていた。
「もう帰れる?1人で…」
「…大丈夫、帰れるよ」
帰る…?あ、もう門限を過ぎている。帰らなければ…?
「…そうだね、じゃあ…」
ねいちゃんは軽く手を振って歩き出した。その間、私は頭の中で冬真のことでいっぱいだった。周りに人がいないことに気づかず、目の前の景色を見ていなかった。
「…あれ…?」
こんな都会の中で、いつでも人はいるはずなのに、今私の周りには誰もいなかった。そんな中、私が立っていた近くに鳥居があった。
「こんな場所に鳥居があったっけ?…」
変わった場所に佇む鳥居は、私を呼んでいるような気がして、私は中に入ってみることにした。
「……」
中に入ると、そこにはただ広い空間が広がっていた。何も置かれてなく、人影もない。
「変な場所だな……」
戻ろうとすると、目の前に文字が突如現れた。そう、文字通り文字が現れた。
やあ。
「ひっ……!」
驚いた拍子に、私は尻もちをついてしまった。思ったよりも痛く、目を閉じると、今度は耳から脳に直接音が届いた。
ネガイはナニ?カナえてあげる!
脳が揺れるような感覚に襲われた。痛みではないそれに耐えられなくなった。
「あっ……!」
頭が処理をしていないことがわかる。しかし、まだまだ音は流れ続ける。
ネガイハ?ネガイハ?ネガイハ?ネガイハ?ネガイハ?
「う、うわっ!そ、そんなの……!」
「無い」と言おうとしたが、ふと、冬真の笑顔が頭に浮かんだ。
「と、冬真を返して欲しい!」
そう叫んだ瞬間、視界が暗くなった。
いいよ。その代わり……
もう意識を保てなくなる。霞む視界に最後に映った文字は、
キミのカンジョウをもらう
そして、足音が聞こえながら、私は意識を失った。