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翌日の夕方に約束の食堂に行くと、卓の隣から、頭のはげた中年男が立ち上がった。羽田氏だった。

「僕も仲間に入れてもらったんだ、いいだろ」

ダメといいたくても、理由が急には思いつかない。

四人がけにしては狭いテーブルに餃子、レバニラ、麻婆豆腐、ライス、瓶ビールがぎっしり並んでいる。安いところとは言ったものの、この皿数では結局、財布が痛んでくる。そんな俺の不安も知らずに、卓は「早くこれ済ませちゃえよ」と、頼んでもいないレバニラを大皿ごとこちらによこす。彼らにしては学生街の中華料理屋の皿かしらんが、こちらにしては外食すること事体が貴族的生活だ。それに、人をわざわざ呼び出しておいて、彼らは仕事の話ばかりしている。関東地区店舗の売上げ、チューリッヒ事務所の担当がなんたら、サンクトペテルブルグの商社マンがどうのこうなどという話ならば、俺をわざわざ呼ぶなっていうんだ。こっちは決戦前で、ただでさえ気持ちが高ぶってるというのに。ビジネスマンとは、人のことを全く意に関しないで生きている人種だ。また注文しやがった。

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