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ー男同士ー
「おっとぉ?これは…プライベート中に失礼しました。」
ドアを開けたのは、赤髪の青年、ローレン・イロアスだった。彼は何やら面白いものを見たかのような表情でニヤニヤと笑っている。
「ろれっ、これは誤解だ!違う!えっと…」
イブラヒムは慌てて弁明しようとするが、焦りすぎて口調がしどろもどろしている。
「俺がこの人を無理矢理こうさせたんですよ。それより、急に入ってくるだなんて。プライバシーの欠片もない。」
エクスがイブラヒムの肩を抱き寄せて言う。表情は冷たく、ローレンに対して腹を立てているようだ。
そんなエクスに、ローレンは嘲笑を交えながら答える。
「ハハハッ、ノックならしましたよ。てか、そもそも砂漠から宮殿まであんたを運んだのは俺ですから。」
「それは感謝しなくては。どうもご丁寧に。」
エクスのふてくされた表情は、どう見ても礼を言っているようには見えない。
ローレンは終始エクスを見下すような目で嘲笑している。
そんな2人を見て、イブラヒムは溜息をついた。
「はぁ…2人とも私を呆れさせないでくれ。もういい大人だと言うのに、お互いに名を名乗ることぐらいしても良いのではないか?全く…」
「エクス・アルビオだ。」
「ローレン・イロアス。」
自己紹介も名前だけで、2人ともおとなげない。
「エクス、なぜそんなにも不機嫌なんだ?先程までは笑顔だったではないか。」
イブラヒムがそう尋ねると、エクスは間髪入れずに答えた。
「だってこいつ、ヘラヘラと笑ってます。俺を下に見て…癪に障る。」
指を指されたローレンは、目を見開いた。しかし何かを言い返すわけでもない。
イブラヒムは当然のように呆れ返った目でエクスに言う。
「そりゃそうだ。男同士であのように戯れていたのだからな。」
「いえ、イブ様が楽しそうにしていらっしゃるのが珍しく、微笑ましいなと思っただけです。それに…おかしくないです。男同士でも。俺も…そうでしたから。」
ローレンが俯きながら答える。哀愁の漂う表情からは、先ほどの笑みは感じられなかった。
イブラヒムは、聞いたことがない話に疑問を抱いた。
「ん?ろれ、それはどういう…?」
「さ、この話はまた今度。とりあえずお2人とも、大広間へ移動しましょう。お食事を用意しました。」
ローレンはそう言うと、颯爽と部屋から出ていった。