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真っ暗闇の中目覚ましの音が響く。今日も仕事が来たらしい。珍しく今回は期間が空いてないな、なんて思いながらカーテンを開ける。
いつものような景色…が広がっていると思っていた。しかし、そこはターゲットで溢れ返っていた。
rd「ど…ういうことだ?」
結構都会に住んでいる、と自覚はしていたが何故こんなにも人がいるのだろうか。いつも同じ道を同じように毎日歩いているニンゲン達が何故自由に歩き回っているのだろうか。
不思議な世界に取り敢えずカーテンを閉める。
rd「きょ…うはターゲットが多いのか…?」
なんて自分に言い聞かせてみるも全く納得がいかない。あんな多くのターゲットを生まれてこの方1度も見たことが無い。
困惑しながらも顔を洗い軽く食事を済ませた。
いつものように包丁を持って外へ出るとむんとするような蒸し暑さに驚く。いつもちょうど良い気温なのに…と不思議に思い服の袖を捲る。
rd「…流石に多すぎるだろ」
どこを見てもターゲットしかいない世界に目眩がしてくる。街もいつもより…いやいつもの何倍も賑やかだし祭りでもあるんだろうかなんて馬鹿な考えを繰り返す。
「…すいません、私こういうものなんですけど」
rd「…え?」
急に喋りかけられて目を白黒させる。警察手帳?と書かれた物を見せつけられるも喋りかけられたという事実に驚きでしかない。え?なんで?という意味の無い言葉を繰り返す。
「それ、よく見せてもらえるかな?」
そいつは包丁を指さした。成程、これで殺されるということが分かっているのか。
rd「…めんどくさ」
正直面倒臭い。何故こんなので絡まれているのだろうか。殺してしまうべきか?しかしこんなにターゲットが多かった事は今まで有り得ない。最悪の場合全員が敵に回る可能性だってある。迂闊に手を出すべきではない。
そう考えると彼は走って人混みの中へと紛れて行った。
「あ、ちょっと、待って!!」
そんな声が聞こえた気もするが今の彼にその声は届かない。彼の視線は目の前にいる人物で止まっていた。
その人物はこの世界で唯一目に光がない。いつも自分がいる世界で見る『ニンゲン』だ。しかし髪は夕日を思わせるような綺麗なオレンジ、目はとても美しい黄色をしていた。
rd「綺麗…」
彼は初めて、恋をしてしまったらしい。