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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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ブゥゥゥゥン!!

「四郎!!」

六郎の叫ぶ声が車内にいる四郎に届いた。

四郎が停車している車の横に一郎と六郎がバイクを止めた。

一郎は被っていたフルヘイスを外し、車の窓を軽く叩いた。

トントンッ。

四郎は車の窓を開け顔を少し乗り出した。

「一郎と六郎か、遅いじゃねーかよ。」

「悪いな、これでも急いで片付けて来たんだよ。それよりもこの爆破騒ぎは?」

「コイツが暴走した。」

四郎はそう言って、自分の胸で寝ているモモを指差した。

「モモちゃんが?Jewelry Words か。」

「一郎の考えてる事で合ってるよ。モモのJewelry Words がいきなり暴走し出したんだよ。見境なしに暴れた訳。」

「そろそろ警察と消防が集まって来るみたい。」

一郎と四郎が話している間に六郎が入った。

「警察が来る前に離れるぞ。一旦、俺達のアジトに戻る。」

一郎はそう言って、再びフルヘイスを被った。

「了解。」

一郎と四郎、六郎は警察が到着する前にこの場を後にした。


四郎達がいなくなってから30分後ー

ウゥゥゥゥゥゥー!!

サイレン音がビル地帯の道路に鳴り響く。

到着した消防と救急車、警察達で人が溢れ返っていた。

「重傷者は直ぐに病院に搬送を!!」

「消防は消火に取り掛かれ!!」

「ここは立ち入り禁止です!!危ないですから離れてください!!」

道路を封鎖するように停車されたパトカーの前に、人集りが出来ていた。

慌ただしく走り回っている警官に男は声を掛けた。

「状況を詳しく説明してくれ。」

警官は振り返えると、男が立っていた。

光を当てたら青色に見える黒髪は短かめに整えられ左サイドに分けられていて、紫色の切長な目をした男が立っていた。

黒いスーツをビシッと着こなしている。

警官は男に向かって敬礼をした。

「お疲れ様です!!八代(やしろ)警部補!!」

「おい、俺もいるんだけど。」

八代と言われた男の後ろから、茶髪の短髪の男が現れた。

「櫻葉(さくらば)さん!!失礼しました!!」

「コイツの事は気にしなくて良い。説明を頼む。」

「はっ、はい!!最初の爆破が起きたのは15時30分頃です。一台の車を追っていた数台の車が突然、衝突し爆破しました。そこから数分に掛けて衝突や横転、爆破がありました。」

「たった数分で?!」

櫻葉と呼ばれた男は警官の話を聞いて驚いていた。八代は冷静に状況を分析していた。

「つまりは、爆破の始まりは追っていた車が衝突し起こった事で、そこから次々に他の車が衝突した…。衝突の衝撃で爆破が起きた可能性が高い。」

「巻き込まれ事故って事か?」

「その可能性は高い…が、数分の間で起こるのは…。」

「海外の映画じゃあるまいし…。日本でこんな事が起きるのが異例だよ。」

八代の話を聞いていた櫻葉は、周りを見渡しながら言葉を放った。

「被害が多過ぎるな。死者が出た報告がないのが幸いだな。」

「何か、4年前の事件みたいな事にならなきゃ良いけどな。」

「4年前のあの時も、街中で爆破事故があったな。」

「でもあれは、ヤクザ同士の抗争だったんだろ?丸暴(まるぼう)が管理していた事件だから俺は詳しくないけど…。」

櫻葉の言葉を聞いた八代は溜め息を吐いた。

「暴力団関係の話は俺達、警務課に情報が来るのは事件が終わった後だしな。4年前の事件の発端はJewelry Pupil だったからな。」

「もしかて、今回の爆破事故も?」

「あぁ、一台の車を追っていた車の事も気になる。」

「また、暴力団絡みかよ。」

「馬鹿、あくまで可能性の話だ。」

「お前の予感は当たるんだよな…、和樹(かずき)。」

櫻葉はそう言って、八代和樹の肩を叩く。

ブー、ブー。

八代和樹のスマホが振動した。

手慣れた手付きで操作をし、通話ボタンを押した。

「もしもし、八代です。」

「八代警部補、こちらの裏道に入った所に男の死体がありました。」

「状況は。」

八代和樹の電話の相手は、八代和樹の部下の刑事だった。

「はい、服装からして暴力団関係者だと思われます。ただ、顔が潰されていて身元が分からない状態です。それと歯が全て抜かれていて、指の指紋部分が潰されています。」

「何だって?」

「おい、どうしたんだよ和樹。」

櫻葉は不思議そうな顔をして八代和樹を見つめていた。

「分かった。俺も直ぐにそっちに行く。ここからそんなに遠くない裏道だな?」

「分かりました。こちらも引き続き捜査を続けます。」

八代和樹は電話を切り櫻葉に視線を向けた。

「裕二(ゆうじ)、裏道で死体が発見された。身元不明だが服装からして暴力団関係者のようだ。」

「死体…って、マジかよ。」

「俺達も現場に向かうぞ。」

「了解。」

八代和樹と櫻葉裕二は車に乗り込み、死体が発見された現場に向かった。



CASE 四郎


ブー、ブー。

アジトに向かう途中、インカムが振動した。

俺は運転しながらインカムのスイッチを押した。

「はい、こちら四郎。」

「俺だ。」

インカムからボスの声がした。

「ボス、お疲れ様です。」

「今、乗っている車でビルに戻るな。」

ボスの言葉を聞いてすぐに言葉の意味を理解した。

警察がこの車の事を察知したのだと。

「警察がもう、捜査を始めたんですか?」

「あぁ、あの爆破事故だったからな。防犯カメラを見て四郎の乗っている車の車番が割れたんだ。」

「分かりました。モモが眠ってしまっているのですが、一郎に渡しても?」

「一郎はバイクに乗ってるだろ、寝てるモモちゃんが落ちたらどうすんだ。」

「分かりました。」

「そっちに爺さんが向かってる。オンボロの車が見えたら爺さんに渡してくれ。」

闇医者の爺さんが?

もしかしたら、一郎がボスにさっきの事を報告したのかも。

「一郎から聞いたよ。モモちゃんのJewelry Words の力が暴走したらしいな。」

「はい。」

「爺さんに診察して貰おうと思って俺が連絡をした。四郎はその車から指紋とドライブレコーダーを処理してから戻ってくれ。車はいつもの場所に。」

「分かりました。」

「俺が戻るまでに頼むぞ。」

「はい。」

俺がそう言うと、インカムが切れた。

プッ、プ。

目の前からクラクションの音がした。

視線を向けるとボロボロの車がクラクションを鳴らしていた。

座席には爺さん、助手席に三郎がいた。

「おーい、四郎。」

車から降りて来た三郎は俺に向かって手を振って来た。

「は?三郎?何でここに?」

「コイツがお前の所に行くって付いて来たんじゃよ。わしの所で治療しててな。」

爺さんに言われて俺は三郎の体に視線を向けた。

三郎の右手に包帯が巻かれ、頬にはガーゼが貼られていた。

「お前が怪我すんの珍しいな。」

「あー、今回は急いで終わらせたから。四郎が心配だったし。」

「心配…って、ただの集会だったんだから…。」

「四郎に怪我がなくて良かった。車を置いてくるんだよね?」

「あぁ。」

俺はそう言って、助手席のドアをロックを開けた。三郎は助手席のドアを開けモモを抱き上げた。

「じゃ、また後で。」

「うん。」

俺はドアにロックを掛け車を走らせた。

走り去った車を三郎はいつまでも見つめていた。

「おい、三郎!!さっさと車に乗らんか!!」

「あ、あぁ…。」

闇医者の爺さんの指示に従うように、三郎は車に乗り込んだ。

「全く、お前さんの四郎への想いが爆発しとらんか。」

「四郎が心配なのは当たり前だよ。こないだの大怪我を見た時、ゾッとしたよ。」

「今までも死にのそうな目に遭ってるじゃろ四郎は。」

その言葉聞いた三郎は窓の外に視線を移した。

「ボスと一郎が何か隠してる。この子に関してね。」

三郎の言葉を聞いた爺さんはピクッと眉が反応した。

「その反応って事は、爺さんも一枚噛んでんのか。」

「何故そう思うんじゃ?」

「ボスはモモちゃんがJewelry Pupil だから特別扱いしてるのかと思ったけどさ。モモちゃんを普通の子供がやるような事をさせたがってる。それと四郎を世話係にした事も。」

爺さんは黙って三郎の話を聞いていた。

「お前さんはどうするんじゃ?」

「俺?理由が何だって良いよ。だけど、その理由が四郎を危ない事に巻き込む事だったら…。」

三郎の目がスッと変わった。

その変化に爺さんはすぐに気付き、三郎に視線を向けた。

「ボスだとしても俺は殺す。」

「どうして、四郎に執着する。」

「理由なんてないよ。四郎は俺を助けてくれたから、俺も四郎の為に動きたいだけ。」

「…、お前さんが一番、おっかないよ。」

「アハハハ!!そうかな。」

三郎は笑った後、再び何かを考え始めた。


CASE 四郎

東京港車区 廃墟工業ー

港区にある数年前に廃墟になった工業の中に入っていた。

人の気配がしない廃墟工業は、昼間なのに不気味さを感じさせる。

この廃墟工業は兵頭会が買っていて、表向きは廃墟工業だが裏では廃棄する車やらの処理をする場所だ。

俺は車を止め、指紋を拭くためにマイクロファイバーを取り出した。

ハンドルや窓、触った部分を念入りに拭いて行く。

ドライブレコーダーを取り出しポケットにしまう。

煙草の匂いを消す為に小瓶に入れてある消臭剤を車に撒いた。

「よし、これで良いな。」

しかし、この廃墟工業はいつ来ても不気味だな。

まぁ、人が来ないようにしてるみたいだし不気味に感じるのも仕方がないか。

警察が動き出した以上、消せる証拠は消す。

俺達の存在を気付かせてはならないからだ。

さてと、車のキーをどうするか。

スッ。

背後から人の気配がした。

俺は素早くトカレフTT-33を構え、振り替えた。

そこにいたのは黒いスーツを着た茶髪の男が立っていた。

コイツ、気配がなかった。

同業者か。

「俺の気配に気付きましたか。」

「アンタ、ここに何の用?」

俺を付けて来たのか?

それともここで待ち伏せしていたのか?

黒いスーツの胸の所に赤い椿のバッジが目に入った。

「えぇ、君に用がありましてHero Of Justice のメンバーである君に。」

「お前、何でHero Of Justice の事を知ってる。どこの組織の者だ。」

Hero Of Justice の事を知ってる同業者に初めて会った。

単独の殺し屋じゃない。

組織で動いている殺し屋だろう。

どこかで俺達、Hero Of Justice の事を調べて来たのか。

「椿会に所属、また、Judgement(ジャッチメント)の嘉助と言います。」

Judgement ?

聞いた事もない組織だ。

それに椿会?

ヤクザか何かか?

「同業者が俺に何のようだ。」

「こちらを渡すように申し付けられたので。」

嘉助はそう言って、俺に1枚の手紙を渡して来た。

「これは?」

「招待状です。」

「何の。」

「Jewelry Pupil の賭博のご招待です。」

Jewelry Pupil の賭博…だって?

「何で俺にこれを渡した。目的は何だ?」

「貴方はJewelry Pupil のパートナーに選ばれたからです。」

そう言って、嘉助は俺の顔ジッと見つめた。

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