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バタフライエフェクト

バタフライエフェクト

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バタフライエフェクト

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2023年11月07日

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「え、すっ…すぐる、?」

「夜那!心配したじゃないか!!」







ここはどこだ?私は夜那と共に人が突如として消える村へ任務に行っていたはずだ。こんな景色、知らないが。それより、夜那はどこに…?彼女は私の後ろに居たはずだ。どこに消えた?もしかして呪霊に攫われたのか?ここは一体どこなんだ。任務の場所じゃない。一旦高専に帰って悟を連れてこよう。


……?高専はこんな感じだったか?少し、変わったような。まぁ、先に悟の元へ行くとしよう。早く、夜那を探さねければ。

彼女は、……私の恋人なのだから。


「え、すっ…すぐる、?」

「夜那!心配したじゃないか!!あれ、なんか大人びているね」


ああ、なんだ高専に帰ってきていたのか。良かった、無事で。でも、なんだか髪が伸びているような。心做しか背も伸びて大人っぽくなっている。


「ほ、本当に貴方は、夏油傑….?私の、知ってる傑?」

「? 何を言ってるんだ、私は私しかいないだろう?」

「うぅ、あ….す、すぐるぅ……!!」

ぎゅ(っ´>ω<))ω<`)

「えぇ!?今日は積極的だね」


彼女は、恥ずかしがり屋だから自分からハグなどして来なかったが、任務で寂しくなったのかな?まったく、可愛い子だ。これからはもっと、甘やかしてあげよう


「あれ、…..夜那、その腕は….!?」

「あっ!気にしないで、任務で失敗しただけだから。(*^^*)」


夜那、キミの右腕が…..

いつ?どこで?誰に?私の愛しい夜那にどの輩が….!!


「やっほー!夜那ぁ、やっt……は?傑?」

「その声、まさか悟?うわ、随分デカいね。なんだい、その変なマスク」

「……..っはァーーーーーー!!!ビックリさせんなよ…」

「悟…これは、一体」

「なんらかの術式でショ?傑〜今何歳?」

「え?17だが」

「高専3の時かぁ… “ アレ ” が起きる前ね…」


アレ?術式?なんのことだ?それより、夜那も悟も、昨日までの姿と違う。こんな短時間でイメチェンしたのか?


「一体何が起きてるんだ?」

「こっちが知りたいっつーの。はぁ….クソっ」



3日過ぎたくらいだろうか。その3日の間に、私が何らかの術式により12年後の世界に来ていることが分かった。悟も硝子も夜那も居る。灰原は…..死んでしまったということも聞いた。私はさらに、夜那についても気づいたことがある。

彼女は、あんな目で…私を見ていただろうか?懐かしむような、悲しんでいるような…


「すぐる」

あぁ、また。どうして、そんな顔で笑うんだい。どうして、そんな声色で。


「すぐる、大好きだよ」

やめてくれ。私は夜那の明るく元気な笑顔が見たいんだ。




「悟、ちょっといいかい?聞きたいことがあってね」

「んー?いいよぉ?なに?ここに大人の傑が居ないコト?」

「っ…あぁ、それもある。それに、彼女は….夜那はあんな風に笑う子だったかな?」

「あーーーーーーーーー」


悟はそれ以外、何も喋らなかった。私はずっと夜那のことが気がかりがった。

私を見つめる目が、私に触れる手が、私に囁く言葉が。どこか可笑しかった。

最近は、その悩みのせいで夜も眠れない。いつの間にか寝てしまっても、夢で夜那が出てくる。その夢では、夜那が泣いているんだ。地面にうずくまり、声を押し殺して泣いている。

流れた涙を拭こうとしても、通り過ぎて触れない。私は、泣いている彼女の涙さえ拭くことが出来なかった。私は、彼女の彼氏なのに。私は、もっと君を知りたい。

嗚呼、もう限界だ。夜那に直接聞きに行ってしまおう。何故、右腕がないのか。何故、その笑顔で笑うのか。何故、泣いているのか。

夜那の部屋へ言っている最中、見てしまったんだ。愛しい夜那の苦しむ姿を_____


「ぅ、あ….、ぁあああぁあああッ!!….っく、あ…あぁっ、、!」

「夜那?よ、な…っ!どうしたんだい?右腕が痛むのか?」

「す、ぐる?すぐる、すぐるすぐる…..あ、ゔぁッ、!!ぁあああ、!!」


必死に私に体を寄せ、一つしかない左腕で右肩を押さえている。苦しみもがいている。一体誰がこんなことを…..。夜那は語ってくれなかったけど、私は気になるよ。だって私は、君の恋人だろう?


「っ、はァ、はぁっ!!ぁぁああっ、、はぁ、….」

「夜那、夜那….大丈夫、私が居るよ」

「っ、うそつき、….」


初めて、夜那に睨まれた。ぎらりと呪霊と対峙した時の眼光で私を見た。その後、ハッとした様子でいつもの優しい目に戻っていった。夜那、君は一体…私に何を隠してるんだい。


「夜那……」

「………」


そんな私たちの姿を見ていた人影を、知る由もなかった。

悟も硝子も、夜那も…誰も今のことを教えてくれないから自分で知ることにした。

過去、12年の記録を探すため資料庫に来ている。




















そこで見つけた。
























呪詛師、夏油傑の資料を。
























「は、?なんだ、これ….」

「あーらら、こんなとこ漁っちゃってぇ〜」

「さとる…これは、」

「それが真実。 “ お前の人生、お前の生き様、お前の最期 ” 」

「……私が、112人の非術師を殺した、?なぜ、そんなことを….」

「猿を皆殺しにする計画」

「え?」

「オマエが計画したソーダイな未来だよ」

「わたし、が…..計画した?」

「知られちまったのはしょうがねぇし、語ってやるよ、今までを」


それから悟に聞いた話は、今の私にとって到底考えられることではなかった。

星漿体護衛任務、伏黒甚爾、等級違いの任務での後輩の死、呪詛師化、百鬼夜行


「っ!!じゃあ、夜那は……」

「アイツはこっち側だったよ、お前とは敵同士。夜那は絶対言わないと思うけど、

夜那の右腕、アレはお前との戦闘の末の傷。百鬼夜行で戦ったんだ、傑と夜那は」

「そんな、…….私が、夜那の腕を….」

「さとる!!!!」

「あ、見つかっちゃったぁ☆」


君はどんな気持ちで、私の隣を….私に向かって微笑みかけてくれたんだ、?

君の腕を、なくしたのは私なのに。私は、君を….!!!


「っ、夜那。こっちにおいで」

「あっ!すぐる!」

「どうして話してくれなかったんだ!!私が呪詛師に堕ちたことも、君の腕も…!!!」

「君って呼ばないで、夜那って呼んでよ、傑。….久しぶりに、聞けたんだから」

「よ、な….」


夜那、夜那、夜那。私は、きっと….いや絶対、とても辛い思いをさせてしまっていた。私が呪詛師に堕ちるなんて到底思い浮かばない。だが、私がコッチへ来て初めて会ったときも、二人は平気なフリをして内心動揺していた。悟の態度、夜那の視線や笑顔、そしてこの資料。認めざるを得ない。

たった一人の親友である悟を、

たった一人の恋人である夜那を、

…….置いて逝ってしまった。


「ごめんね、ごめんね傑。気づけなくて、止められなくて、苦しませて」

「夜那のせいでは!!」

「ごめっ、んね….ご”め”ん”、うぁ、ひっく…..ご、めん…..

置いてかないで、傍に居てよ、いつもみたいに….微笑んでよ、」


あぁ、そうだ。彼女は泣き虫なんだ。私は馬鹿だな、彼女を泣かせるなんて。今回は君の涙を拭ってあげられる。夢と同じようにはさせない。


「あぁ、ああっ….すまない、すまない……」

「すぐるの、ばか….」

「ずっと君たちと一生に居るよ、…..ずっと。」


























「ほら、■■■行くよ!」

「もう少し待ってくれ」

「もー、置いてっちゃうよ! “ すぐる ” !」

「今行くよ。もうそろそろ、私の “ 生徒たち ” に会えるね」


バタフライエフェクト。それは “ 小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事につながること ” を意味する言葉。

あの出来事で、夏油傑の運命は、大きく変わった。


〜END〜











おまけ

五条悟side

「はぁ、あぁ、ゔァ、….っく!!」

真っ暗な廊下から聞こえた、聞き覚えのある声。夜那だ。夜那はああやって、月に一度の頻度で幻肢痛を引き起こす。無くなった右腕に激痛が走り、ああやって苦しむ。僕も硝子も、見かけたら傍に寄り添い背中を撫でることしか出来ない。僕は、今日も夜那の傍に居ようと駆け寄ろうとした……..が、親友の声が聞こえた。


「ぅ、あ….、ぁあああぁあああッ!!….っく、あ…あぁっ、、!」

「夜那?よ、な…っ!どうしたんだい?右腕が痛むのか?」

「す、ぐる?すぐる、すぐるすぐる…..あ、ゔぁッ、!!ぁあああ、!!」


すぐる、と連呼する彼女。はぁ、傑オマエ、悪ぃ奴だな。本当は、俺も言えた立場じゃねぇけど、連れてってやれよ。それか、非術師より恋人(夜那)を取れよ。何も思わなかったのか、いや….オマエなら思っただろうな。

でもな、傑。言ってくれなきゃ分かんねぇよ。俺や硝子、夜那にでもいいから言えよ。分かんねぇよ、言ってくれねぇと。俺はオマエの親友で最強だけど、心なんか読めねぇよ。それは、夜那も一緒だ。本音を吐き出せば良かっただろ。呪術師だけの世界を作るなんてソーダイなこと、出来るわけねぇだろ。

オマエが言ったんじゃねぇか、「呪詛師に農家が務まるかよ」って。それなら、俺も言わしてもらうわ。「呪術師に農家が務まるかよ」ってな。考えただろ、俺らの服も食べ物も非術師が作ってる。成り立たねぇんだよ!!そんな呪術師だけの世界は!!!俺より賢けぇ頭は分かんなかったのかよ!!!冷静になれよ!!なぁ、夏油傑!!!!



ま、こうやって頭の中で妄想に浸ってる僕も冷静じゃないか。



傑。オマエは罪深い男だよ。だから、償え。俺の六眼は捉えた。ここでの生活は、記憶から消えない。つまり、過去に戻ってもここでの記憶は残る。オマエが変えろ、こんなクソッタレな世界。傑が居ねぇ世界を変えろ。出来るだろ、夏油傑、俺のたった一人の親友サマよ。託したぞ、お前に。呪術界も夜那も。変えて見せろ、期待してる。



⚠︎︎幻肢痛=手や足を失ったり、手や足の神経が損傷して感覚が全くなくなったりしても、障害された手や足が未だあるように感じられること。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

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ハートよりもコメントの方が私は嬉しさ増し増しです!

それでは、次の物語で。(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪

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