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【BL】隣りの2人がイチャついている!

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第42話 有夏チャンのこっちのおクチはウソがつけない(1)

2023年12月02日

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今更であるが、プラザ中崎は1Kの物件である。

キッチンスペースを広くとってあるものの、居室はせいぜい8畳程度。


2階の端から2軒目の幾ヶ瀬家にも、こじんまりとした家具が置かれていた。

テーブルは1つ。長方形の座卓だ。比較的大きめサイズではあるか。


そこに、無数の料理が並んでいた。


シェフ(見習い)だからこその大皿が数枚──普通、ひとり暮らしの若者はこんな宴会用の大きな皿は持っていない。

更に小皿、鉢、椀がびっしりと。


「さぁ、食べて! 有夏、沢山食べて!!」


「は?」


「ただいま」と言う間もなく、有夏は部屋の入口で立ち尽くしていた。

「おこしやす」と書かれたTシャツに短パンという気楽な服装だ。財布も持っていないのが分かる。


「コンビニでヤンジャン立ち読みしてたんだけど……」


その間に、幾ヶ瀬がおかしくなってしまったと言外に戸惑いをにじませて。


「誰かの誕生日かなんかだっけ」


「誰かのって何? 違う違う! 誕生日でも記念日でもないよ。有夏と初めてキスした記念日は1週間後だって!」


「キモっ……」


「さぁさぁ、手洗ったら座って! たくさん食べてね。本当に食べてね」


やけにテンションが高い。


肉じゃが、牛肉と野菜の炒めもの、牛肉の野菜巻き、牛丼、青椒肉絲、牛肉とごぼうのしぐれ煮……。

似たような色合いのメニューが食卓に乗り切らず、床にまではみ出ている有様。


「肉ばっか!」


「肉といっても牛肉だよ! 有夏、好きでしょ。牛だよ、牛!」


「いや、スキだけどさ……幾ヶ瀬がキモいわ」


卓の前に腰を下ろしながら不審気に見やると、幾ヶ瀬の目はグルグルと泳いでいた。


「レイゾウコガ……」


「は?」


「レイゾウコガコワレタンダヨッ」


「レイゾウコガコワ……冷蔵庫が壊れ……ウソッ!?」


「嘘つくわけないでしょ」


「んじゃ、有夏のアイスは!?」


「アイスなんて知らないよっ! 勝手にドロドロになってるよっ! 急いで冷凍室の食材を救出して、とにかく調理したんだよ。あのままじゃ駄目になっちゃうから」


「や、でも、さすがシェフだよな。こんなにたくさん料理……って、こんなに食えるかっ!」


「いや、そういうのいいから。食べて」


有夏、渾身のノリツッコミをあっさり流した幾ヶ瀬。

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