初めに
・ドロドロ…かと言われたらうーんって感じの作品です
・初めめなので、ご本人様の言動や性格とは異なる部分がある可能性あり
・キャラ崩壊
・今回はめめ視点です
・以上が大丈夫な方のみ
蓮の彼女の××を繰り返す
「〇〇」 『🖤』
冬も終盤に差し掛かった2月
息が白くなりつつ、2人が走っている
「ねぇ、待ってってば笑」
『遅すぎ笑』
『ほら、こっち!笑』
俺には彼女の〇〇がいる
世界で1番好きな人
彼女は、とある事故で足を痛め、しばらく入院していた
そして今日、退院出来た
事故の詳細は、単なる信号無視
仕事帰りの〇〇は、その車に跳ねられた
最初は記憶すら無くなっていた
病室に入った時、最初に言われた言葉は
「どなたでしょうか?」
だが、奇跡的にも、記憶は戻ってきた
少しづつではあったけど
それでも、これは神様のおかげだと、俺は思った
記憶が無くなって戻る確率なんて、ほんの少しだけと聞いていたからだ
一時期は〇〇のことを思って、別れることも考えていたくらいだった
好きでもない人と恋人でいるのは、〇〇を苦しませる1番の理由だと考えたから
そして、別れを告げようと病室に入ったら、勢いよく抱きしめられて、
名前を何度も呼んでくれた
思い出したのだ
全部は思い出してないけど、ちょっとずつ、思い出が蘇って来たのだという
最初は疑った
俺を悲しませないように、思い出したフリをしてるんじゃないかって、
でも、話していくうちに、異様に話が噛み合っていることに気づいた
何もかも、俺との思い出が共有されているかのように一致していた
本当に思い出したのだ
その日は病院に泊まり込んで、ずっと思い出話に浸っていた
そしてあれから1年
ようやく退院出来た
記憶は、もう完璧に取り戻した
1年という長い期間、ずっと闘い続けて、ここまで思い出せた
強い子だ、〇〇は
「ねぇ、蓮?」
『どうした?』
「今日は、ちょっとわがまま聞いてもらってもいい?」
珍しい
『珍しいね笑』
『いっつも、お願い事がある時に許可は取らないのに』
「だって、迷惑かもしれないこと、頼みたいんだもん」
『いいよ、なんでも聞くよ』
退院するために1年も闘ったんだ
朝から晩まで歩くためのリハビリ
病院から出る食事は、決して美味しいと言えるようなものではなく、
骨を強くするためのカルシウム多めの食事
間食はもちろん無い
毎日毎日、歩く練習
そんなことを1年も続けた彼女にご褒美のひとつくらいあげても、バチは当たらないだろう
『何したいの?』
「今日は、お花見に行きたいの 」
「ほら、あの動植物園のとこのお花!」
「実はね、あそこね?」
「私の病室からいっつも見えてたの」
「退院したら、蓮と行きたいなーって思いながら、いっつも窓から見てたの」
『いいよ、行こっか!』
「ありがと!」
「私、お花好きなんだー」
愛おしい
どうしてこんなにもいい子が、事故にあったんだ
俺は確かに芸能関係のお仕事をしてる
それを知ってから異様に狙う女もたくさんいた
それなのに、〇〇はお金のことも、仕事のことも、何もかも隠した状態での俺を好きになってくれた
お金があるから好きになったんじゃない
芸能関係の仕事してるから好きになったんじゃない
本当の俺を好きになってくれたんだ
そんな彼女を、初めて好きになった
俺は最初、自分の仕事と収入の話をするのが怖かった
今までの女たちと同じように、俺のお金を集り始めないかなどが心配で仕方なかった
〇〇が、そんな女性と決めつけてる訳では無い
だが、お金を手にした瞬間人は変わると、先輩から聞いたことがあったから、話すのがほんとに怖かった
そして、話すタイミングを探っていた時、2人で同棲の話が出てきた
俺は凄く嬉しかった
仕事のせいで会うのが週1くらいの頻度で、寂しい思いをさせてると自覚はあったから
やっと毎日会える環境が作れると思い、俺は賛成した
そして、不動産屋に行く日程を決めてた時、思ったんだ
やっぱり隠してはいられない、と
不動産屋に行くとなれば、自分の収入に見合った部屋を探してもらうことになるため、収入を伝えることを避けることは出来ない
そうなると、やはり〇〇は職業を知りたがるに違いない
だから、2人で行く日程を決めたあとに夜道を散歩しながら、ようやく打ち明けることにした
最初、〇〇は凄く驚いていた
自分が働いている場所の給料とは比にならないほどの額だったからだろう
でも、〇〇からの返事はとても軽く、やわらかい言葉だった
「蓮、そんなにお金あったの?」
「だからいつも、デート代をずっと出しててくれたの?」
「私ね、このまま蓮に、お金のこと頼りっぱなしは良くないと思って出してもらってた分貯めてたの」
「いつか蓮が本当に困った時に、あの時はありがとうって、渡そうと思って」
「なぁんだ、そういうことだったんだ笑」
「私の彼氏、芸能人さんだったんだ笑」
「びっくり笑」
そう言って、くすくす笑う〇〇を見て、変わって欲しくないと、ずっと願った
『ごめんね、隠してて』
『それに、お金貯めててくれたんだ』
「うん!だって、よく蓮は男の俺に奢らせてとか言うけどさ、古いじゃん!笑」
「そんなの、笑」
「今は女の私が出すのだって普通のことだし!」
『…うん』
『ねぇ、それよりもさ、テレビとかで俺に似てる人いるとは思わなかったの?』
「私、基本テレビ見ないんだよね、」
「あ、でもね、目黒蓮っていうアイドルの人がね、蓮に似てるとは思ったよ笑」
「この前久しぶりにつけたテレビに出てて、同姓同名!しかも顔もそっくり!って思って、1人で盛り上がってた笑 」
なんて言うんだ
「でも、私って馬鹿だよね笑」
「何故かね、目黒蓮よりも彼氏の蓮の方がかっこよく見えてたから、たまたま同姓同名ってだけで、別人だと思ってたの」
「同じ人なのに、なんで蓮の方がかっこよく見えてたんだろうね笑」
そう言って、頬を赤く染める
そうしてにこっと笑う〇〇のことを更に好きになった
俺が今度はお金で困った時は、今まで奢ったお金で助けようとしてくれてたこと
俺の仕事を知ってからも、いつも通り接してくれた事
そんな事実を知って、お金や知名度に執着しない性格に、なお一層惚れ直した
だが、それでも、〇〇のことを試すようなことを言ってしまった
悪い事だとは思ってる
分かっているが、どうしても気になる
この問いかけで全てを終わらせるつもりで聞いてみた
『〇〇、何か欲しいものある?』
「え、どうしたの?」
「誕生日も記念日も近くないのに、私になにかくれるの?」
『んー、こんなにお金あるし、ちょっとくらいいいかなーって笑』
「だめ、蓮は芸能人さんなんだよ、」
「もっと自分磨きのために使って!」
「私なんて、お金のことも助けて貰って、毎日のようにお見舞いにも来てくれて、助けて貰ってばかりだったのに、今更おねだり出来るような立場じゃないの」
『…でもさ、〇〇のために使いたいなーって』
「じゃあさ、」
俺は身構えた
「お花…欲しいな」
「同棲開始のお祝いってことで笑」
『花…でいいの?』
「お花”が”いいの!」
『バックとか、アクセサリーとかいらないの?』
「いらない、私、ブランド品似合うような人じゃないもん」
確信した
〇〇は心の底から、俺の中身を好きでいてくれている
『ごめんな』
「え、何?」
『ううん、じゃあさ、お花買って帰ろうか』
「うん!」
そうして始まった同棲生活
だが、その生活も、半年もたずに途中で終わった
〇〇が事故にあったのだ
俺は毎日、仕事を巻いて帰り、病院へ直行した
最初は俺という存在が記憶から無くなり、こんなにも大切なものを簡単に失ってしまうのか、と家で一人で泣いた夜もあった
そして記憶が戻ってからも、少しでも辛くないように、と、毎日お土産を買っていった
たまに、怒られる日もあった
「毎日、お土産ありがとう」
「でもね、蓮」
「前も言ったけど、私は大丈夫だから」
「蓮が頑張って稼いだお金は、蓮のために使って欲しいの」
「私だって一応働いてるし、お金が無い訳でもないからさ、」
「あ、でも、お土産が嫌って訳じゃないの」
「私は忙しい中蓮が来てくれるだけで嬉しいっていうのに、こんなに豪華なお土産を毎日貰ってたら、嬉しすぎて泣いちゃうかも笑」
〇〇は俺を傷つけないような言い方を考えていつも伝える
だから、それ以降お土産は持っていかなくなった
その事で、態度が変わったこともなかった
本当に優しい子だった
そして、ついに退院の日が来た
俺は〇〇のご両親と一緒に荷物をまとめて、病院を後にした
ご両親には家の合鍵が渡してあったから、その鍵で同棲していたあの家に荷物を届けてもらった
そしてそのまま俺たちは動植物園に花を見に行った
本当に花が好きなんだな、と改めて思った
足はまだ完全に治ったわけではないため、時々躓きそうになる〇〇を支えながら花畑を歩く
時間はあっという間に過ぎた
動植物園を出る頃には、もう夕日すら沈みかけ、もうすっかり夜が近づいていた
「楽しかったね、蓮」
『うん』
「今日は付き合ってくれてありがとう」
「荷物まとめも手伝ってくれて、本当に助けられてばかりだね、私」
『俺だって、毎日その笑顔に助けられてるよ』
『だからお互い様』
そういうと、恥ずかしそうに顔を手で覆う
本当に可愛らしい
いつまでもこの子を守り続けたいと、強く願った
「蓮、まだ寒いね、夜は」
昼間はかなり暖かくなってきた方
「ね、蓮?」
『なに?』
「はいこれ、お誕生日おめでとう、いつもありがとう」
「私ね、蓮と出会えて幸せだよ?」
「蓮がいなかったら、きっと、毎日落ち込んでばかりで、毎日泣いちゃってたかも」
「ほんのささやかな気持ちだけど、受け取って」
そう言って渡された一つの紙袋
中にはマフラーがあった
「病院で毎日退屈だったから、初めて挑戦してみたの」
「これから夏が来るから、タイミングはあんまり良くないけどね笑」
『ありがとう』
『毎日つけるよ笑』
「(*´ ˘ `*)♡エヘヘ」
『なぁ、〇〇』
「なに?」
『…今日さ、わがまま聞いてあげたから、俺のわがままも聞いて欲しいな』
「私に出来ることなら!」
『俺たち、結婚しよう』
「えっ…」
「私で…いいの?」
『〇〇がいいの』
「はい、!」
そのまま2人で抱き合った
満月の光が照らす場所で
そう、今日は俺の誕生日
誕生日に〇〇は退院した
本当に、神様には助けて貰ってばかりだった
こんな嬉しい日に、また嬉しい日が重なって、さらにまた嬉しい日が重なって、今日は幸せで潰されそうな日だった
そう、今日は、退院記念日、誕生日、そして、プロポーズが成功した日
『寒いし、帰ろっか』
「うん!」
2人で並んで、帰った
2人で手を繋いで
2人の住む家へ
1年近く俺が1人で住んでいた
あの家へ
その瞬間
幸せな何かが壊れる音がした
俺は後ろから何かが強く当たり、勢いよく飛ばされた
右手に強い痛みが走る
繋いでいた〇〇の手は、今、俺の手の中に無い
痛みで起き上がれない
やっとの力で開けた目の中に映りこんだ景色は、真っ赤な世界
前がすごく凹んだ大型トラック
凄い勢いで炎が上がる
ガソリンが漏れていたのだろう
すごい勢いで周りまで火が移る
そして、必死に〇〇の名前を叫んで辺りを探す
見つからない
辺りに人はいるが、〇〇じゃない
救急車の音
パトカーの音
人のざわつき
色んな人が集まってきている
だが、〇〇がいない
どこまで突き飛ばされたんだと思い、ちょっと離れたところまで行こうとするが、足も痛めているようだ
だが、自分の足なんてどうでもいい
引きずりながら、奥まで行く
だが、いない
もう一度、トラック周辺を探そうと戻る
そして、見えた
通りで見つからないわけだ
トラックの下敷きになっていた
足だけがトラックから出ている
助けなきゃ
でも、自分も血を流していたからか、クラクラする
出血多量だろう
目の前が真っ暗になって倒れ込んだ
『ハッ…』
荒い息と共に目覚める
時計を見れば、まだ5時半
朝まで寝るには少ししか寝れず、起きるには早すぎる時間
時計の下には、〇〇の仏壇
あの日以降、
毎日あの瞬間を
夢の中で繰り返している
そして今日もまた、
夢の中で〇〇は亡くなるんだろう
コメント
3件
うわぁもうほんと最高です🥺💕
うぁ 〜 、、目から水がw;꒳; 切ない 、、🥺 今日 、12月中旬から忙しかった事が終わり(これからも忙しい時あるけどw)疲れてたけど主さんの作品が2個も新しいの見れてとっても幸せです´˘` 🫶🏻💕︎︎