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「ねぇあーくん」
「ん?」
今日は日曜日。俺と有馬、2人で外に出掛けている。
「……手、さすがにキツイんだけど、」
「そうか?」
ぎゅ、とずっと恋人繋ぎで手を繋いでいるからだろうか、さすがに少し痛そうだ。
まぁ、緩めはしないんだが
「、あーくん、私トイレ行きたいんだけど」
「じゃあそこにあるから、行ってこいよ。俺全然待ってるし」
「ん、ありがと」
少し名残惜しそうに、手を離す。
有馬はさっさと行ってしまったので、トイレの入口近くで待つ。
人が多い……。それに、最近は俺も有馬も名が売れて、たまに「星野アクアって___」だとか「有馬かなってさ______」だとかよく聞くようになって来た。
喜ばしいことなんだろうが、俺はあまりそう思わない。だって______
「そこのお兄さん」
「…俺ですか?」
「今からご飯行きません?」
知らない人……かと思ったが、よく見ればこの前ドラマで共演したモデルの女性。
共演したときもいつも言い寄られて、何度も断ったのにまだ来るか。
執拗い男は嫌われるだとか言ってたが、その言葉そっくりそのまま返してやりたい。
「ちょっと人待ってるんで……」
「今から連絡して取り消しとか、そういうのできるじゃないですか!1回、私とご飯行きません?」
本当に執拗い……というか、この頃どこに記者やらカメラマンやらが居るか分からないのにこの女のせいで有馬に嫌われるのだけは嫌だ。
ようやく全部終わって…普通の幸せを手に入れたのに。
それをこの女に妨害されるなんて、迷惑極まりない。
「あ、あーくん!待たせたわ、ね、、」
「有馬か。……ほら、行くぞ」
少し強引に手を引き、逃げる。
本当最悪だ。有馬が帰ってくるまでに撃退出来なかった。
無理やり追い払うのもダメだった。できるだけ関係は良好で居たいから。
「……あーくん、今の女の人、誰?」
「…あの時のドラマで共演した人。それだけの関係だ。」
ふーん、と言いながらじと、と目を細め、怪しがっているような仕草をする。
「……本当にだ。今は有馬しか見てない。」
「、ベタなセリフね。役者やってきたとは思えない」
「でも、こういうのも好みだろ?」
「分かりきったこと言わないで」
頬を赤くして、俯く。
かわいい、と呟くとうるさいわね!!と軽く引っぱたいてくる。
そういう所も可愛い。と言うと今度はガチで叩いてきそうなので、辞めておく。俺的にはそれでも良いがな。
「……あーくん、2人っきりになりたい。あんたの家行くわよ。」
「はいはい、」
ーーーーーーーー(有馬かな side.)
「……ねぇ、スマホ返して」
「まだ。仕事以外の男の連絡先消していいよな?」
「ダメ!!」
「は?なんで?」
2人っきりになりたい。そういったものの、アクアは2人っきりになるといわゆるヤンデレ、メンヘラになる。
付き合うことになった時。アクアがPDSD持ちのこと、目の前で大切な人が居なくなるのは嫌だから束縛してしまうかもしれないこと、また発作が起こる可能性も少なくないということ……全てを教えてくれた。
その時は嬉しかったし、悲しかったし……複雑だった。でも、全部教えてくれるくらいには、信頼してくれてたのが嬉しかった。
「……他の事考えてるだろ。今は俺の事だけ考えて」
「アクアのことしか考えてないわよ」
「…本当に?」
「本当よ」
何より、母親を殺したのは間接的に自分の父親である、というのがかなりアクアとしては心に来たようで、私の人との関係を全て管理しないと気が済まないらしい。
私をアイのようにしたくない、という思いがめちゃくちゃに伝わってくる。
でも、やっぱりアクアは、アイに固執しているのかな。時折寂しそうにする顔が、ずっと忘れられない。
「……アクア、1つ聞きたいんだけどさ」
「なんだ?」
「……隠し事、まだあるでしょ」
〜
『だんだんと、“僕”と星野アクアの境目が、無くなっていく』
ー
『“僕”は幸せになれないはずだから』
ー
『“僕”だから_______』
なんなのよ、いつも『俺』って言うくせに、たまに『僕』って言うのは。
厨二病かと思ってたけど、そうも思えない。
共演したときからどこか達観してて、不気味な雰囲気があった。
今も、『勉強が出来る』どころじゃないほど頭が良くて、ルビーとかが怪我した時の対処も、どこか慣れてる、?ような気がした。
その時、ルビーは何かアクアに『誰か』を見ているような感じがした。
「…有馬、そこまで感鋭かったんだな」
「あんたと出会って何年だと思ってんのよ。」
やっぱり隠してたか。
「…俺は…転生者だ。」
「……はぁ、?」
「信じられないファンタジー設定だが、マジだ。俺の前世のこと全部言ってやろうか?」
「いや、いいわよ、」
その場の雰囲気が少し和んだものの、アクアはまだ私のスマホをいじってる。
束縛、激しいんだか激しくないんだか。
ぼーっとしていると、いつの間にかアクアの目に吸い寄せられていた。
アクアの目、夜空みたいで、目の光が星みたいになってる。
キラキラしてて、とても……
「有馬」
「あっ、な、なに?」
「俺の顔がどうかしたか?」
「いや、その、、あんたの瞳、すっごい綺麗だから、、」
まぁ、当たり前か。アイの息子だし、目も遺伝かしら。
「…」
ぐい、と近付いてきて、キスしてしまいそうなくらいの距離になる。
「ちょっ、急に何よ!?」
下がろうとしても、真後ろには壁。
「…いや、なんでもない」
「………」
そういうくせに一切離れようとしない。
馬鹿じゃないの、私あんたの顔に弱いんだけど、
「有馬」
「なによ、」
手を握ってくる。
「ずっと一緒だ」
まるで私に逃げ場なんて無いって言ってるみたい
「俺の事、離さないでくれ」
大好きとか、言ってくれないくせに
「お願いだから、」
あんたばっかり、ずるいわよ
「…当たり前でしょ?」
まぁ、そういう所が好きなんだけど