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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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お待たせ致しました…。

終わり方が少し物足りない感じになってしまいまい、あまり良い小説とは言えませんがご了承くださいm(_ _)m


⚠腐

⚠色々と重い守若ニキ


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓










カタカタカタ…

俺を含む数人しか居ない静かな一室で、キーボードのタイピング音が響く

「…よっしゃぁ!終わったぁ…」

守若の兄貴の元を離れて数時間、画面とにらめっこをするように作業をし、提出時間ギリギリの所でようやく終わった。

他の作業をしている人の邪魔をしないようぐーんと腕を上に伸ばした数秒間、吐息が滲み出るほどの背伸びをした。

「渡しに行くかぁ…」

重い腰をぐっと上げ資料を手にする。

少し休憩もしたいが俺も成長した。

やるべき事を先にしたほうがいいと!

その理屈を信じ、いざ久我の兄貴の居る場所に

資料を持ち足を運ぶ。




✳✳✳


なんか…、周りの様子がいつもと違う…?

向かう途中数人とすれ違ったが俺の事を見るたび、ぎょっとしたり、二度見されたり、面食らっていたり…。本当に様々な反応をされた。

いつも合コンであまり上手くいっていないような俺だからこんな注目される事は初めてで、だが、格好良いとかそういうのでリアクションされた訳では無いことは流石に分かる。

後で久我の兄貴に聞いてみよう…。


✳✳✳


「久我の兄貴!書類を提出しに参りました!」

「お、佐古。出来……は?」

案の定、全く同じリアクションをされた。

眉をしかめ口元を引き攣かせた、どこか引いているような哀れみを込めているような、そんなこっちも心配するような不安な表情。

「あ〜…さっきすれ違った人にも同じリアクションされたんですよ…。兄貴ぃ、俺どこか変ですか?」

「…お前、さっきまで守若の兄貴と一緒にいただろ」

「え?あぁ、そうですけど…。なんで知って…

あっ、もしかして俺が守若の兄貴の足で寝てるの見てましたか?恥ずかし〜…」

あんな所を見られたと思うと、今まで何も意識しなかったが相当照れくさい。他にも誰かに見られたんだろうな…。

だが、久我の兄貴から思いもよらない言葉が返ってきた。

「いや、見てないけど分かる。書いてあるし…。」

「見てないんですか?てか、書くって…?何の事でしょうか…」

「…ちょっとトイレで鏡見てこい。そうしたら分かるから」

「…?

了解しました!」




「…俺から言ってやりたいが…。直接伝えたら俺の命が無くなる気がするしな…」





鏡を見てこい…?

恐らく今までの反応を見るに、゛顔゛に何か異常があるのだろう。

もしかして…。守若の兄貴に何かされた…!?

そうだ、絶対そうだ。俺もなんで信じてしまったんだろう。人間を刺身に平気にするような人の言う事なんて真実なのか分からないじゃないか…!

だけど、もし顔とかが傷つけられていたら流石の久我の兄貴ももっと心配するはず。

なんか、もっとこう…、

「あぁ、ご愁傷様」

って感じの反応だった。しかも、俺自身変な違和感なども一切ない。一体何なんだ…

…何か落書きされたとか?




「…着いちゃったよ。」

そんな雑な考察を繰り返していると、トイレの入口付近に着いた。

「ええい!腹を括れ佐古大和!」

覚悟を決め、勇気を振り絞りいざ、足を空色の

タイルに踏み入れる。


「は…。え、えっ、」

「…マジ、か。これ…守若の兄貴しかいないよな…。うん…」

手洗い場の壁一面の鏡に立ち、俺は驚愕した。

右頬にどデカく書かれ、鏡文字になっている

「守若冬史郎」という名前。

変に綺麗でその反面、幼さも感じる字体は、守若の兄貴の筆跡と瓜二つだった。

「なんで俺の頬なんかに…。本当何考えてんだ…?」

刃物で傷を付けられていたり、髪の毛を毟り取られたりしているのかと生きる心地がしなかったが、まるで子供の可愛い悪戯のような事をされていたのでまだ生きている実感が湧いた。

「取り敢えず久我の兄貴の所に戻るかぁ」

久々にこの空っぽな頭で探偵のような一つの予想や事実から案を捻り出す考察をしたので、それだけで体力を使ってしまい頭もパンクしそうになる。

「もう少し事務作業頑張ろ…」

と、足取りが定まらないまま兄貴のデスクに向かった。

「久我のあにきぃ〜…見てきました、って…」

憂鬱な気分で部屋に入ると、何故かそこには先程までタイピング音が聞こえるぐらいの静けさを放っていたはずの空気はどこにも無く、聞き覚えのある複数の声が騒がしさの原因だと言うことが分かった。

「あ、どうだ?分かっただろ。」

「うおッ…佐古くん…。大丈夫ですか?」

「プッ、本当に書かれてんじゃん。ドンマイ佐古」

「一条の兄貴…笑わないでくださいよぉ…。結構本気で困ってるんですからね…」

「てか、守若も名前書くとかセンスあるなぁ」

「あ゛っはははッ、ヒッ〜、おもしれぇ〜!」

久我の兄貴のデスク周りに一条の兄貴、仙石の兄貴、浪岡に海瀬の兄貴と色々な顔が揃っていた。

反応も多種多様で、浪岡の場合、あの兄貴からの悪戯ということで結構心配してくれた。流石俺の同期と今すぐ褒めたい。

が、それ以外のメンツは完全に面白がっていて馬鹿にした態度で大爆笑したり嘲笑されたりとした。

正直心底腹が立ったけど、流石に兄貴分に怒鳴りは出来ないとそっと怒りを胸にしまい何とか耐え抜く事が出来た。

「あ〜っ、もう!笑わないでくださいって!

…これ洗って落としてきます。」

「あっ、ちょっとま、…行ってしまった…。」

「どうした?浪岡。」

「あれ…多分油性ですよ…。結構擦って洗い流しても完全に消えるのは数日かかります…。」

「…」

「「…ご愁傷様、佐古」」





ただただ水道から水が流れ出す音が洗面所の空間に響く。

本当は、勿体無いという思いから直ぐにでも止めてしまいたいがそれは出来ない。

なぜかって、それは…。

ペンで書かれた守若冬史郎という字が全く消えないからだ…!!

浪岡に油性だと指摘された時に悟ってはいた。

皮膚が剥がれるんじゃないか心配する程、頬を何度も擦り続け、手洗い石鹸を泡立たせそれで再度何度も擦っても全く落ちない。

兄貴…、まさか本当に油性だなんて…

「どうしたものか…、マスクしてやり過ごすかぁ…?」

「化粧でいい感じに隠せるかな…。高砂の兄貴に交渉してみよ…」

どうにかこの状況を隠し通す術は無いかと試行錯誤している時、背後でふと、足音が聴こえてきた。

誰か来たなと思ったその時、何故か嫌な冷や汗が止まらなくなった。

それに、この後何か不吉な事が起こると第六感が頭の中で警報を鳴らしている。

ヤバい、ヤバいぞ…コレ。

今日はなんてついていない日なんだろうか。

「あ、佐古」

俺が振り返るのと同時に、光を通さない暗闇の瞳とぱっちり目が合ってしまった。

「ヒッ、も、守若の…兄貴…」

無意識なのか目を見ると魂を抜き取られてしまいそうで、勝手に脳が目を合わすなと指示した。


守若の兄貴と見事に鉢合わせしてしまったようだ。

俺を探していたようで目があった時、心做しか本物の笑みを浮かべたように見えた。

その調子でこちらにぐっと距離を縮めてくる。

「…あ?佐古ぉ、何落そうとしてんのぉ?」

「そういう事はやっぱり守若の兄貴が書いたんですねコレ!!油性のペンで書いたでしょう!? 全く落ちな、ムグッ!?」

「だめだろぉ、俺が折角書いた名前が薄くなっちゃうじゃんか〜」

「ヘ?なにいっへ…」

いきなり頬を、俺よりも一回りも大きい手のひらで掴まれてしまった。

先程の機嫌の良さそうな顔は何処にも見当たらず、兄貴の顔に貼り付けられていたのは、見たら失禁してしまう雰囲気を纏った猛獣のような顔だった。

この数十秒間で何をしでかしてしまったのか検討もつかず固まっていると、黄土色のハーフパンツのポケットから油性のペンを取り出した。

まさか、まさかまさか!!!

…それでまた書くつもりでは!?

「ちょ、あにひッ!やめへくらはい!」

「これぜんぜん落ちないんですよ!?こんなのほかの組員にみられたら…」

「 良いじゃーん、別に見られたってさぁ。

俺の佐古に変な虫も集ってこなくなるしぃ。」

「は…俺の佐古ってなんなんれ、」

「だから書くぞぉ!」

「えっ、あにひっ、ギャッ!」

俺の僅かな抵抗も虚しく、いつ蓋を取ったのか分からないペンを俺の頬に当て、なぞっていく。

冷たいペン先がするすると頬上を通る度にくすぐったく、もどかしい感覚で脳が溢れた。

「ん…、あ、あにひ…。」

「あと5画〜♪」

「…よし、出来たぞぉ!」

この声を合図に、中々強い力で掴まれていた頬が解放された。ヒリヒリした痛みの波が両頬を襲う。

瞑っていた目を開くと、目の前には数分前の機嫌の良さそうな表情の兄貴が満足そうに鼻歌を歌っていた。

「もう…落ちないですよコレぇ…。

というか!何で文字のチョイスを守若の兄貴の名前にしたんですか!」

「ん?嫌なのぉ?じゃあ刺身包丁で書い、」

「ヒッ!いや、そういう事ではなく…、なんていうかそのぉ…。は、恥ずかしいじゃないですか…!上手く言葉には出来ないですけど…」

「ふーん…」

興味の薄そうな返事をされた。

言うのも結構勇気出したんですけど!?その反応は何なんですか…。

やっぱり兄貴の異常な気分屋レベルにはついていけない。これからも慣れそうになる兆しが見えなかった。

…この文字どうしようかな。



「…ねぇ佐古、こっち見て」

「はい?なん、」

鏡に映る頬の文字を憂鬱な気分でまじまじと見つめていると、ふと名前を呼ばれた。

後ろを振り向くと待っていたのは、少し屈んで俺と同じくらいの背丈になった守若の兄貴の整った顔だった。

そのまま1秒足らずで、唇に柔らかい感触が襲う。

一瞬で脳内にあらゆる情報が流れ込み頭がフリーズした。きっと今、凄く間抜けな顔をしているのだろう。だが、だんだん顔が熱くじんわりとしていく感覚が俺の思考を働かせる。

「…へッ、は、あぁ…っ?」

「な、ななな何してッ!?」

「んふふ、やっぱり佐古の反応は良いねぇ。

名前描いて正解だったよ」

「あ、あにき…?」

異質な落ち着きのある声でそう囁くと、俺より11cm差以上もある巨体で身体が優しく割れ物を扱うように包まれた。

「最初はさ、油性はやり過ぎたかな〜って反省したんだ。けどね、今の顔見たらそう思わずにはいられなくなっちゃった。」

「え…何言って、」

「なあ佐古ぉ。お前は可愛くて、無垢で、無防備だからさ、これから俺がずっ〜と守って愛してやるからな。」

「佐古は、俺のモノ」

「あ…ぁ」

落ち着く声で耳が溶けるような、身体の芯が疼くような、何か変な気持ちになる。

どんどん四肢の力が抜けて頭が幸せでいっぱいで何も考えられなくなる。

何なんだ、なんだこれ…

耳元で囁かれただけなのに…、なんかヤバい。

「ね、今からサボってさ、俺んち行こう?」

「で、も…まだ仕事が…」

「そんなんさ、さぼっちゃっていいよ。ほら、早く行こ」

「…兄貴が言うなら…、行きます…」

何時もなら必死に拒否してるかもしれないけれど、今はなんでか行きたい気分になっている。

俺の耳横で何かの話を続けると、力の入らない俺を支えて歩き始めた。






ごめんね、佐古。

ちょっと我慢できなくなってさ…。

軽いキスされただけで涙目になっちゃって、おまけにさっきの溶けきった顔はダメだよ。

そんなんだと他の奴にも取られそうだし……。

これは必要なこと。

今日から毎日欠かさず名前を描いて、本当に一生消えないくらい刻んであげる。

ねぇ、佐古…、愛しているよ。





終わり


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コメント

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愛が重いのも好きです😊最高です!

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