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「一週間終わったぁ!」
千春はあれから毎日王族と夕食を取り、マルグリット王妃と温泉に浸かり帰ってグッスリ眠り早寝早起きを続けていた。
「おかえりなさいチハル、明日からお休みですよね?」
サフィーナは門の部屋にある日本から持ってきたカレンダーを見ながら言った、カレンダーには分かりやすく終わった日を塗りつぶし休みの日にはマークを付けている。
「そだよー、明日は土曜!出来れば街に行ってみたいなー。」
「街ですか、そう言えばまだ一度も行ってないですね、それ所か王宮からも出てませんものね。」
「うん、やっぱり一度は見てみたいし、どんな物が売ってるとか見たいからねー、そう言えば宰相さんから貰ったお金ってどれくらいあるの?」
そう言うとサフィーナはアイテムボックスから金貨の入った袋を出した。
「そうですね、金貨で100枚有ります。」
サフィーナは高級そうな袋を開けながら「数えます?」と聞いてきた。
「やだ、めんどくさい、金貨一枚ってどれくらいの価値なんだろう、それは知りたいなー、サフィーってお給料いくらなの?」
「私のお給金は大月(30日)で金貨4枚ですね。」
「私2枚です・・・」
2枚と言いながらショボーンとしているのはもう一人の侍女モリアンだ。
「同じじゃ無いのね。」
「しょうがないです、サフィーナさんは学園でも首席で卒業しましたし侯爵家令嬢で、侍女をしてるのが不思議なくらいの人ですから。」
「なんでそんな人が侍女なんてやってるのよ。」
「侯爵と言っても3女ですからね、お家を継ぐ訳でもありませんし王宮ですと高貴なお方と出会いが有るかもしれませんでしょう?」
サフィーナはクスクス笑う。
「私はもう諦めました、チハルさんのお嫁さんになります!」
こぶしを握り締め高々と宣言をするモリアン。
「女同士で出来る訳無いでしょ!何言ってんのよモリアンは。」
「え?出来ますよ?」
「は?うそん。」
出来ると言うモリアンの言葉にビックリする千春、そしてサフィーナを見る。
「はい、色々条件は付きますが同性婚は出来ますよ?嫡子に子供が出来れば三男か二女以降の子はある程度許されますね。」
「へぇぇ、でもモリアンはヤダ、苦労しそうだもん、それならサフィーと結婚するわ。」
「あら、嬉しいですわ。」
「なーーんーーでーーでーーすーーかぁぁぁ!」
喜ぶサフィーと不満全開のモリアン。
「まぁ冗談は置いといて話戻すけど金貨4枚って高給取りなの?」
「そうですね、一般兵士のお給金が金貨1~2枚、小隊長あたりだと3枚くらいです。」
「は?4枚は?」
「隊長あたりですかね、4~5枚くらいだったと思いますね。」
「サフィーって隊長クラスの給料もらってんだ、すごいね。」
サフィーナはそうですねと言う感じで微笑む。
「それはそうですよ、サフィーナさんは次期王妃か殿下の付き人候補ですからねぇ。」
「そんな人が付き人してたのか・・・良いの?」
「良いに決まってるじゃないですか、王女殿下。」
「あ・・・王女だったわ、実感わかないなぁ、でもなんでモリアンも一緒に居るの?」
「それはモリアンの実家、エルドール子爵から直々にモリアンを頼むと言われてるからです。」
「知り合いなのね。」
「はい、ファンギス侯爵家とエルドール子爵家は親戚になります。」
そうかー、大変だねと目でサフィーを見ればハイと言わんばかりに頷くサフィーナ。
「なんですか?無言で意思疎通してませんか?」
「そんな事ないよ?街の人のお給料ってどんくらいなの?」
「雇われの人だと小金貨4~5枚が相場ですね。」
「一番安い貨幣は?」
「銭貨が有りますがあまり使われませんね、銭貨が10枚で銅貨1枚、銅貨10枚で大銅貨1枚・・・・・・・」
そして色々と聞いてみて大雑把に貨幣の価値を計算してみた。
「えーっと・・・・
銭貨1枚 →1円
銅貨1枚 →10円
大銅貨1枚→100円
銀貨1枚 →1,000円
小金貨1枚→1万円
金貨1枚 →10万円
白金貨 →100万円、って感じかな~。」
(うわぁ・・・1000万円くらい貰ったって事!?)
「よし!なんとなくわかった気がする!あとは街で買い物したらわかるかな!」
そして千春は立ち上がる。
「晩御飯食べに行こうか。」
「唐突ですね。」
「いきましょー!」
3人は仲良く王宮の食堂に向かう。
「こんばんわ~。」
厨房に着き声を掛けるとルノアーがすぐに来た。
「いらっしゃいチハルさん今日は何か作るのかい?」
この数日は王族と一緒に食べていた、調味料を幾つか教えたりはしたが、ルノアーや料理人が色々と教えた料理を研究し日々新しい料理が出来ていたのでそれを食べていた。
「うん、今日はハンバーグが食べたいから作ってもらおうと思ってね。」
「はんばーぐね、何が必要なんだい?」
「牛肉だけでもいいけど豚はオークだったよねー、猪でもいいか、それを挽肉にしてね。」
「どれくらいの量が要るんだ?」
「牛肉7の猪3で、あとは玉子とパン粉と牛乳は入れるパン粉が馴染むくらい、あとは玉ねぎ微塵切りね。」
「わかった、オークを使わないって事は王族の夕食用って事だな、それじゃ食堂で出す分は別に作ってオークを使おう。」
ルノアーはいつもの如く千春の料理は大量に作る、そして指示が飛び交う。
「最近は一つ言うと半分くらいは理解されてる気がするなぁ。」
「ルノアーさんもそうですが料理人の方が勉強熱心ですからね。」
千春とサフィーナは動き出した料理人達を見ながら感心していた。
「チハルさん味付けはどうしたらいい?」
「塩と胡椒だね、あまり濃くしなくていいよ、この前教えたケチャップを掛けて食べるし胡椒は後掛けでも美味しいから。」
ケチャップは思ったよりも簡単に作る事が出来た、シャリーちゃんに材料と作り方を教えたら次の日に出来ていたのだった。
「んじゃタネが出来るまでお茶でも飲んでようか。」
「それじゃ私は淹れてきますね。」
「私はー・・・。」
「モリアンは芋でも揚げてくる?」
「芋です?」
「うん、芋。」
「揚げ芋?」
「そう、フライドポテト、ケチャップ付けて食べたら超美味いよ?」
「揚げてきます!」
「それじゃぁ皮剥いたら、くし切りで8分割にして水につけてから揚げてね、分からなかったら野菜切ってる人に聞いてね。」
「はーい!」
モリアンはニコニコしながら厨房へ行った、マヨネーズに続きケチャップも大好きになっていた。
「ハンバーグの指示はもう終わりなの?」
「まだだよー、最後に大事な説明があるの。」
「そうなの?」
「うん、コレをしないと焼いたら割れたり崩れるの。」
「それは教えないとダメね。」
そしてその工程になる頃2人はまた厨房へ戻る。
「それじゃハンバーグの大事な作業を教えますー、これくらいの量を取ってー・・・」
千春はハンバーグを右手、左手とキャッチボールする。
「こうやって中の空気を抜いて形を作ります、因みにこれやらないと割れて肉汁が出たりします大事な作業です、終わったら焼いて終わりです。」
「焼き方とかはあるのかな?」
「うん、こうやって真ん中を窪ませて焼くの、縮んで丸くなっちゃうからね、あとは焦げ目が少し付くくらい焼いてひっくり返して最後は蒸し焼きにして下さい。」
「よし、試しに幾つか焼いてみよう。」
「それじゃぁ私は王妃殿下の所に行くので後はよろしくお願いしますね。」
「分った、それじゃ皆持ち場へ戻れー。」
「あ!モリアンが今作ってるフライドポテトは付け合わせで盛り付けておいてね、ソースはケチャップでお願いします。」
「了解!」
最後の説明まで終わり千春とサフィーナはいつものようにモリアンを置いてマルグリットの自室へ向かう、マルグリットの部屋の前に行けば侍女が待ち構えていた、そして何も言わず扉を開く。
「お母様ただいまもどりました。」
「おかえりなさいチハル、結局あれから毎日来たわね私も嬉しいわ、今日はお泊りで良かったかしら?」
「はい、出来れば明日街に行きたいのですけど大丈夫ですか?」
「ええ、その代わり護衛は付けさせて貰うわよ?」
「護衛いります?」
「要るに決まってるでしょう、何かあったらどうするのよ、あとサフィーナも一緒に行くように、そしてチハルから離れてはダメですからね?」
「はい。」
サフィーナは返事をし首を下げる。
「過保護だー・・・。」
「過保護なもんですか、この国は平和な方ですけど犯罪が無い訳じゃありませんからね。」
「はーい。」
そして夕食まで軽くお茶をしつつ街の話をし食卓へ向かう。
「おぉ今日も旨そうだな。」
陛下はハンバーグを見ながら笑みを溢す。
「はい、今日はハンバーグを作ってもらいました、胡椒を少し掛けて食べて頂くとさらに美味しいと思います。」
千春は胡椒多めのペッパーハンバーグが大好きだった、好みがあるので後掛けで説明する。
「チハルが来てから食事が楽しみでしょうがないぞ、それでは頂こうか。」
そう言って食事は始まった、そして案の定次男のライリーと三男フィンレーはひと口食べては美味しいと言ってくれた、そして食事が終わった頃マルグリットがエンハルトへ声を掛けた。
「エンハルト、明日はチハルが街に行くそうなの、一緒に行ってあげれるかしら?」
「はい、大丈夫ですが護衛を付けるのでは?」
「護衛がゾロゾロとくっ付く訳にもいかないでしょう?サフィーナは付けますけど、あなたが一緒にいれば悪い虫も寄ってこないでしょう、護衛は付かず離れず見守らせますから楽しませてあげて頂戴ね。」
「わかりました、そう言う事だチハル明日はよろしく頼む。」
「こちらこそご迷惑をお掛けします、よろしくお願いします。」
「・・・まだかたっ苦しいな、もっと気楽に話して良いんだぞ?」
「そう?それじゃよろしくーお兄様。」
「あぁ。」
クックックと笑いながら千春を見る、千春もエンハルトを見ながら笑っていた。
「さぁそれじゃぁ明日の準備をしましょうか、チハル行きましょう。」
「え?明日の準備って何ですか?」
「服とか色々あるでしょう?まさかその恰好で行くわけじゃないでしょう?」
そう、千春は今向こうの服装で、いわゆるジーンズにブラウスという普段着であった。
「あー!こっちの服持ってなかった!」
「でしょう?ちゃんと準備してあるわよ、街娘風からお忍びの貴族の服、ドレスも有るわよ?」
「(あー・・・・コレ着せ替え人形にされるやつだぁぁ!!!!)・・・・はい。」
「行くわよ?」
「はい。」
「まずは湯浴みで綺麗になりましょうねー。」
マルグリットはルンルンで千春に言う、千春はもう「はい」しか言葉が出なかった。
食卓に残る男4人は今から千春がどういう目にあうのか想像して苦笑いをしていた、三男のフィンレーまでもが。
「さぁチハル早くいきましょ!」
「はーい・・・・」