1. 平成化けモノ図鑑第1話 | 全16話 (作者:ゲスト)の連載小説 | テラーノベル

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平成化けモノ図鑑

平成化けモノ図鑑

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第1話

平成化けモノ図鑑第1話

1,235

2019年08月25日

#ファンタジー

#知識

#怪異

#怪奇

#不思議

長谷川也

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長谷川也

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とある日曜日の朝

母

マナミ、起きてる？

愛実

──なに？

母

さっきね

母

神社から連絡がきたんだけど…

愛実

神社？

母

ほら、例の件で

母

神主様に相談をしてたのよ

愛実

例の件って…

愛実

お兄ちゃんの部屋から

愛実

変な音が聞こえてくるやつ？

母

ええ

母

あんな怪奇現象が続いてたら

母

気持ち悪くて眠れないでしょ？

愛実

やっぱりあれ

愛実

怪奇現象なんだ…

母

それを確かめるために

母

ウチまで来て調べてくれるって

愛実

よかったじゃん

母

それがね…

母

今日の午後しか空いてないって言うのよ

母

それでダメなら

母

来週の日曜まで都合がつかないって

愛実

え、でも今日って

愛実

お母さんたちいないんでしょ？

母

そうなのよ

母

夕方まで帰れないと思うから

母

マナミが代わりに応対してくれる？

愛実

私が一人で？

愛実

そんなのムリだよ…

母

どうして？

母

お客様を迎えるくらいできるでしょ

母

もう高校生なんだから

愛実

だって…

愛実

怪奇現象のこととか

愛実

説明しなきゃいけないんでしょ？

愛実

なんて話せばいいの？

母

ありのままに話せばいいでしょ

母

夜になると、誰もいないはずの部屋から

母

変な音が聞こえて困ってますって

母

向こうもプロなんだから

母

それでわかってくれるはずよ

愛実

そうかなぁ…

母

それじゃ、任せたわよ

母

私はお父さんの着替えを出さないと──

愛実

ちょっと！

愛実

待ってよ…

数時間後

愛実

（もう1時か…約束の時間だ）

愛実

（なんか緊張するな…）

愛実

（神主様ってどんな人なんだろう）

ピーンポーン

愛実

はーい！

愛実

いま行きます

愛実

お待たせしました──

愛実

って…あれ？

リュックを背負った小学生

こんにちは

リュックを背負った小学生

牛島神社から参りました

リュックを背負った小学生

本庄道真（ミチザネ）です

愛実

え…？

愛実

キミが神主様？

道真

いえ、神主は外出できないため

道真

代わりの使いとして参りました

愛実

ああ…そうなんだ…　

愛実

困ったな…

道真

…どうかされましたか？

愛実

いや、だって

愛実

こんな子供が来るとは…

道真

…子供扱いすんな

愛実

え？

道真

子供扱いすんなよ！

愛実

ええぇぇ…

愛実

なんか豹変したんけど…

道真

オレだって

道真

来たくて来たわけじゃないんだからな！

道真

父ちゃんに頼まれて

道真

仕方なく手伝ってんだぞ！

愛実

ご、ごめんね…そうだよね

愛実

日曜日なのに

愛実

おウチのお手伝いして偉いね

道真

…わかればいいけど

愛実

ちょっとほめたら機嫌が直った…

道真

それじゃ

道真

さっそく調査をはじめるか

愛実

調査って？

道真

怪異の正体を調べるんだ

道真

どうせ、付喪神のしわざだろうけど

愛実

…ツクモガミ？

愛実

え、すごい！

愛実

なにそのタブレットPC

愛実

それでツクモガミを調べるの？

道真

ちがうよ、これで父ちゃんと

道真

オンラインで会話するんだ

愛実

すごーい

愛実

神社なのに進んでるね

道真

──父ちゃん、見えてる？

神主

「ああ、見えてるぞ」

道真

依頼人もここにいるから

道真

話を聞いてやってよ

神主

「ミチザネ…」

神主

「おまえ、もう素に戻ってるのか」

神主

「そっちに着いたばかりだろ…」

道真

うるさいな…

道真

もとはと言えば

道真

事故った父ちゃんが悪いんだろ

愛実

え…事故？

道真

バイクでこけて入院してるんだ

愛実

ええぇぇ…

神主

「いや、面目ありません」

神主

「足の骨をやってしまいまして…」

神主

「今日は病院のベッドからお届けします」

愛実

そんなy◯utuberみたいな…

神主

「しかし安心してください」

神主

「怪異の原因は必ずつきとめます」

神主

「なんでも、奇妙な音が聞こえるとか？」

愛実

はい…深夜になると

愛実

カタカタ、カタカタカタって…

道真

ラップ現象だ…

神主

「カタカタというのは…」

神主

「窓を揺らすような感じですか？」

愛実

…違います

愛実

ちょうどパソコンのキーボードを

愛実

叩いてるような音です

道真

誰かが夜中に

道真

パソコン使ってるだけかも

愛実

そんなわけない…

愛実

あの部屋は誰も使ってないし

愛実

パソコンだって置いてない

愛実

物音がするはずないのに…

神主

「聞こえてくる音は」

神主

「にぎやかで騒がしい感じですか？」

神主

「それとも、暗くて悲しい感じ？」

愛実

寂しそうな感じです

愛実

メソメソ泣いてるみたいな…

神主

「なるほど…わかりました」

神主

「おそらくそれは」

神主

「ツクモガミのしわざでしょう」

道真

ほら、やっぱり

愛実

…ツクモガミってなんですか？

神主

「古い道具に魂が宿ったモノですよ」

神主

「からかさ小僧はご存じですか？」

愛実

傘のオバケですよね

愛実

目がひとつで一本足の

神主

「あれと同じように」

神主

「長いあいだ放置されていた道具に」

神主

「魂が宿ってしまうケースがあるんです」

愛実

モノがオバケに変化するってことですか？

道真

まあ、そんな感じ

神主

「彼らは時代の流れとともに」

神主

「忘れ去られてしまった道具たちです」

神主

「その寂しさからときに」

神主

「迷惑なイタズラをすることがあります」

愛実

そう聞くと…

愛実

なんか可哀想ですね

神主

「最近、元号が変わりましたね」

愛実

はい、平成から令和に

神主

「こういう時代の変わり目には」

神主

「ツクモガミの動きも活発になるんですよ」

愛実

じゃあ…音を鳴らしてる犯人は…

道真

きっと、古いパソコンのオバケだ

神主

「いや…それは違うな」

道真

え…違う？

神主

「パソコンはまだ現役だ」

神主

「ツクモガミとなるには若すぎる」

神主

「おそらく、パソコンではなく」

愛実

パソコンではなく？

神主

「ワープロのしわざでしょう」

愛実

…ワープロ？