コメント
0件
気がつくと俺は何も無い、真っ暗な世界にいた
ここは何処だと思い、辺りを見渡しているとひとつの光を見つけた。
あの光は何だ?
ただそう思って俺は怪しんだりするような素振りを一切せず
その光に向かって足を動かしていた。
近づくにつれて光は次第に大きくなり、俺はその光に飲まれた。
真っ暗だった世界は一変し、目を開くことすら難しい真っ白な世界になっていた。
眩しいな、
鋭い光を放つ真っ白な世界
俺はその光に堪ず目を強く瞑っていた。
目を瞑っていたが、次第にに光が弱くなっていく事が分かった俺はゆっくりと目を開け
驚いた。
少し錆びた鉄棒に古びたシーソーとジャングルジム
その3つに似合わない真新しいブランコに滑り台、少し離れた場所には砂場と手洗い場がある。
それぞれの遊具からそう遠くない場所には石造りのベンチが置かれている。
ここは…
俺は何故か、子供の頃よく遊んでいた公園にいた。
懐かしいな…
公園のそばを車が通るだけで、人の気配を感じない。
そうだった、ここの公園は人が少ないんだった
住宅街にある公園のはずなのに人気がなくいつも静かな公園。
本当に懐かしいな、まだここの公園はまだ残ってるのか?
と思いながら色々歩いて見て回る。
どの遊具も小さく見える。
鉄棒もシーソーもジャングルジムもブランコも滑り台も
子供の頃は大きく思えたものが今は小さく見えて仕方がない。
懐かしい…ん?
あれは…
思い出に浸っていると、公園の端っこにしゃがみこんでいる子供の姿が目に映った。
黒いランドセルを背負い、うずくまったままじっとしている男の子
…俺だ…
それは小学校時代の俺だった。
子供の頃の俺はすぐに泣いていた。
転校してきたばかりで友達が出来ないで、不安で、怖くて、寂しくて泣いていた。
もうこの前ずっと一人ぼっち何じゃないかと泣いていた。
その様子を見て、俺は何故か切なくなってしまった。
自分の情けない子供の頃なのに、
懐かしいよね、あの頃の『僕』は本当によく泣いていたよ
頭の中に直接響くように、俺であり『俺』じゃない声が聞こえた。
今『僕』たちが見ているのは昔の記憶。
『君』が忘れてしまって、
『僕』が忘れもしない記憶…
この後、何があったか覚えてないでしょ?
…確かに、覚えていない。
この後、何が起こった?何があった?
…分からない。
でも、何か大切な事だった気がする。
覚えていないのは『君』が『僕』を心の奥深くに閉じこめたから
『君』が思い出したくない、忘れてしまいたいと強く思ってしまったから
『君』が『僕』を作った瞬間だから…
『俺』が『お前』を作った瞬間…
その言葉を聞いた時、俺は何かを思い出しそうになっていた。
そうだ、この後は確か…
結局、俺は思い出せないまま目を覚ました。
いや、今は何を思い出そうとしていたのかすら覚えていない。
何か長くて懐かしい夢を見たとしか曖昧に覚えていなかった。
今日もバイトか…早く準備をしないと…
そう思い身体を起こした時、顔に違和感を感じた。
その違和感が何なのかを確かめるため、ゆっくりと手で顔に触れてみる。
…え?
俺は何故か、
泣いていた。