君だけは、無理なんですっ！！

第10話

君だけは、無理なんですっ！！

7,717

2019年11月05日

#恋愛

#学園

#青春

ましゅ

虹野夢菜

うーん…このぐらいでよかったかな。

虹野夢菜

いきなりお父さんお使い頼むんだから、焦ったよ。

安藤千尋

………おや、夢菜さんじゃん。

虹野夢菜

千尋くん…。

虹野夢菜

……前のお見合いの時、勝手に抜けて帰っちゃって、すみません。

安藤千尋

いや、大丈夫だよ。焦ったっちゃ焦ったけど。

安藤千尋

何か急ぎごとでもあったの？

虹野夢菜

……え、いや…その……。

虹野夢菜

はい、少し急ぎごとがあっちゃって…すみません。

安藤千尋

…………。

安藤千尋

ね、今何してんの？

虹野夢菜

お父さんから頼まれたんです…買い出し。

虹野夢菜

今からレジに行こうとしてたんですけど、千尋くんは何してきたんですか？

安藤千尋

俺は散歩。面白そうな店があったから寄ってみたんだ。

安藤千尋

俺はしょっちゅう家しかいないからさ、こう言うところに来るのは新鮮で。

安藤千尋

ここすごいね、たくさん商品が並んでいるから。見てるだけで楽しいよ。

虹野夢菜

ふふ。千尋くんはこういうところになかなか来ないんだね。

虹野夢菜

すごい案内してあげようか？

安藤千尋

え、いいの？じゃあお言葉に甘えて。

虹野夢菜

よし、買い出し終了！

虹野夢菜

千尋くん長らくスーパーの中見学してたよね。

安藤千尋

うん！やっぱこういうのすごくなって。

安藤千尋

…おれ、普通の男子高校生でもないからこういうのはほとんど見れないから憧れてたんだ…。

安藤千尋

夢菜さん、他のところも是非案内してほしい！

虹野夢菜

……え！

虹野夢菜

…暇だし、別にいいよ？

安藤千尋

ありがとう！じゃあ早速いこ！

安藤千尋

〜〜〜〜！？

安藤千尋

なんだこれは！うまい、うまい！

虹野夢菜

よかったぁ。これはね、クレープっていうの

安藤千尋

くれーぷ…

虹野夢菜

このあまーい生地に、ホイップクリームやイチゴなどをのせてチョコレートソースで絡めるの。美味しいでしょ？

安藤千尋

美味しい！これ、奢ってもらってもいいの！？

虹野夢菜

私も食べたかったから大丈夫だよ。

安藤千尋

ありがとう！夢菜さんは優しいなぁ。

ｷﾞｭ

虹野夢菜

やっ！

ﾊﾟ

虹野夢菜

っあ、ごめんね。

安藤千尋

いや、俺もいきなりやったからびっくりしたよね。ごめん。

安藤千尋

じゃあ次行こっか。

虹野夢菜

(…………あれっ)

虹野夢菜

(あの後からこれこれ色々回ったけどさ)

虹野夢菜

(これ軽くデートみたいになってんじゃん！)

安藤千尋

夢菜さん、次どこに行く？

虹野夢菜

………私、急用できたから帰るね

安藤千尋

……え？

虹野夢菜

ごめん、帰る。

ﾀﾀﾀﾀﾀﾀ

早く、この場から逃げたい。

ｶﾞｼ

虹野夢菜

いった！

安藤千尋

嘘つき。

虹野夢菜

……千尋くん？

なんて冷たい目

あなた、本当に千尋くんなの？

手が痛い、捻れる。

安藤千尋

こい。

虹野夢菜

ちょ、やだ！

ﾊﾞｧﾝ

虹野夢菜

っ……千尋くん、何するつもりなの？

ｶﾞﾁｬ

安藤千尋

これで邪魔者がいなくなるな。

虹野夢菜

……いきなりそんな場所に来たって…ここは学校の倉庫よ？

虹野夢菜

一体何するつもりなの？話して！

安藤千尋

……夢菜さんが嘘つきなだけだよ。

安藤千尋

急用なんてできてないくせに、なんで戻ろうとするの？

虹野夢菜

それはっ……。

安藤千尋

そっか、彼氏がいるからだよね。

虹野夢菜

なんで知ってるの…？

安藤千尋

公園から見てたんだ。ハグしているところ。

安藤千尋

俺が婚約者っていうのに、そんな態度とっていいんだ

虹野夢菜

婚約者だから何！？私は付き合ってる人がいるの！

安藤千尋

今から強制的に俺を好きにさせてやる。

安藤千尋

その体、ボロボロにしてあげるよ。

虹野夢菜

何言ってるの、千尋くん！

目の先が真っ暗だ。

あの優しい瞳をしてきた千尋くんが嘘のよう。

冷たい、何も考えてない。

「虚ろ」

そんな言葉が頭の中で連なった。

虹野夢菜

っちょ、

虹野夢菜

何せを縛ってるの、離して！

安藤千尋

何もしないようにするためだよ

安藤千尋

抵抗したって、無駄だから。

ﾁｭ

虹野夢菜

っ！？

虹野夢菜

やっ！

安藤千尋

もっといじめてあげる。

安藤千尋

俺を好きって言えよ。

虹野夢菜

やだやめて！

虹野夢菜

助けて桧山！

ｶﾞﾝ

安藤千尋

！？

桧山奏

なにしてるんだよてめぇ。

桧山奏

……夢菜、平気か？

虹野夢菜

うん、ありがとう。

安藤千尋

……っち。

桧山奏

…お前、千尋？

桧山奏

女たらしで有名だったやつじゃん。

桧山奏

何？今度は夢菜をいじめるつもりだったのかよ？

桧山奏

婚約者だからって、何をしたってこいつは俺のものだ。

安藤千尋

くそ

ﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀ

桧山奏

夢菜、平気か？

虹野夢菜

……ひっく……

虹野夢菜

桧山ぁ………怖かったよ……。

桧山奏

よしよし、もう平気だからな。

虹野夢菜

ちょっと！

桧山奏

上塗りだから。

虹野夢菜

ひえ……恥ずかしい……

桧山奏

立てるか？

虹野夢菜

うん！

桧山奏

じゃあ、とっておきの場所に連れて行ってやる。

虹野夢菜

？

虹野夢菜

教会？

桧山奏

もうボロになって誰も使ってないからな。

桧山奏

俺のお気に入りの場所。

虹野夢菜

……へえ、綺麗。

桧山奏

……夢菜。

桧山奏

…あなたは一生、俺を愛することを誓いますか？

虹野夢菜

……え。

な、ななな！何このシュチュエーション！？

これって、なんだかプロポーズみたいな結婚式みたいな…。

虹野夢菜

……はい。

虹野夢菜

奏を愛することを誓います。

桧山奏

…ありがとう。

ｽｯ

虹野夢菜

……これ

桧山奏

それ、予約な。

桧山奏

もっと大人になったら、ちゃんとしたものを持ってきてやる。

虹野夢菜

…ありがとう！嬉しい！

安藤千尋

………くそ。

安藤千尋

次はもっと、刺激的にしなければ…。

君だけは、無理なんですっ！！

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