TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)

店員

ありがとうございました~

瑠色

はぁっ。

気がつけばもう冬だ。

自然と漏れ出たため息が 白い煙となって宙を舞う。

瑠色

……。

あれから…… 学校に行かなくなってから…

すでに9日。

毎日来ていた悠真からの心配の メッセージも 先週から途絶えていた。

瑠色

そりゃ呆れるか。

彼女を避けているのに とくに理由はない。

ただ、真実から逃げだしたい。

悠真に突き放されたくないだけなのに 自分から離れている……

なんて情けない話なのだろう。

瑠色

午後4時半。

瑠色

もうそろそろ帰らないとな。

家でダラダラしているのも何だから コンビニでアイスを買った始末だ。

木枯らしが吹いているのにも 関わらず

呑気にアイスを買っている馬鹿は 俺以外そうそういないだろう。

瑠色

悠真に…会いたいな……

なんて寂しくつぶやいて コンビニ袋を揺らしながら 俺は足を進めた。

悠真

瑠色………?

もっとも、 自分が探し求めていた人物が そこにいるだなんて思ってもいなかった。

瑠色

え……

柔らかなツインテール…

ではなくいつの間に その長かった髪を切ったのだろう セミロングに見慣れた制服。

華奢な瞳。

大好きで大切な人がそこにいた。

瑠色

悠真………。

悠真

……。

悠真

久し……ぶり。

瑠色

おう。久しぶり。

悠真

瑠色

瑠色

なんでここに…??学校は…?

悠真

終わっておつかい。

瑠色

あ……ね…

瑠色

瑠色

元気……だったか。

悠真

うん。わりと。

瑠色

悠真

なんなんだろう。 どこか余所余所しかった。

悠真

あの……ね…

悠真

どうして…学校…こないの…?

瑠色

気分じゃないから……。

悠真

そんなことないでしょ…?

悠真

やっぱり…

悠真

悠真

私…?

瑠色

っ…

瑠色

ちげぇよ…。

悠真

嘘っ!!

悠真

もういいよ瑠色っ…

悠真

私全然気にしてなんかない…

悠真

瑠色にあたってしまったこと…それはごめんなさい。

悠真

瑠色が何かを隠してるって思ったから…それが気に入らなかった。

悠真

瑠色は椎名くんのこと、何か知ってるんだよね…ほんとは。

瑠色

それは…っ

悠真

私…決めたから……

悠真

もう、迷わないって。

悠真

だから瑠色…、

瑠色

わかったよ。

悠真

え?

瑠色

言うよ。

瑠色

全部。

瑠色

あぁ全てだ。

瑠色

お前が俺のことを…

瑠色

ホントは好きじゃないってことをさ。

悠真

な…なにいってるの……瑠色…?

瑠色

なにってそのまんまだよ。

瑠色

悪かったな…今まで縛って。

瑠色

でももう大丈夫だ。本当のことを話してやる。

瑠色

お前が運命を共に誓ったのは…

瑠色

俺なんかじゃない。

瑠色

瑠色

昔お前らは誓ったんだ。

瑠色

将来結婚するんだって…

瑠色

悠真、…お前は……

瑠色

瑠色

お前の運命の相手は………

悠真

やめてよ……、

悠真

そんなの…、聞きたくないよ。

瑠色

………。

悠真

私、別にそんなの求めてないのに……

悠真

ねぇ瑠色どうしちゃったの?

悠真

なんで…、私の目みてくれないの…

悠真

悠真

瑠色……っ

瑠色

っっ!!!

鈍い音がした。 手が震えていた。

悠真

いたっ…。

悠真の小さな悲鳴が聞こえた。

いつの間にか俺の手は… 悠真を突き放していた。

自分が何をしたのかよくわからなくて…

頭が真っ白で………

でも気づいた時。

椎名

なにしてんだっ!!!!

そこには俺の嫌いなやつがいた。

悠真をかばい…肩を抱いていた。

瑠色

瑠色

おまえっ…

悠真

し…、椎名……くんっ……?

椎名

っ……

椎名

お前がここにいるのが見えたから遠目にみてた…

椎名

悠真がやってきたから近づけば…
なんだよ。なにしてんだよっ!!

悠真

椎名くんやめて……っ

椎名

悠真は黙ってて!!!

悠真

えっ…、

椎名

なんでそうやって彼女を傷つけることしかできねぇんだよ!!!

椎名

お前は馬鹿か!!!

わかってたんだ。

悠真を見るのが怖い。 悠真に触れるのが怖い。

自分がどれだけ馬鹿で アホで。過ちをおかしてきたか。

瑠色

そんなの…… 俺が1番わかってんだよ……。

瑠色

今まで悪かった。

瑠色

悠真……。

悠真

悠真

瑠色………?

俺は弱いから…

もう君を守れない………。

俺は意気地なしだから…

この場にいることに 耐えられない。

瑠色

瑠色

お前のこと…好きになっちゃいけなかったんだよな。

瑠色

こんな俺と付き合ってくれてありがとな。

瑠色

瑠色

お幸せに。

静かに歩みを進める中で… 最後に聞こえたのはそう……

悠真の嗚咽だった。

私達…どこからすれ違った…?

私…何を間違えたの……?

悠真

ぅっ……うぇ…っ

どれだけ考えても… あふれるのは涙ばかりだった。

愛しくてしかたがなかった。

それなのに……

いつから……?

椎名

悠真…大丈夫…?

悠真

ごめんっ…、椎名くんっ…

椎名

………。

椎名

椎名

あのさ…

椎名

やっぱ思い出してくれないの……?

悠真

悠真

思い出すって……

悠真

悠真

なにを………?

椎名

それはっ……、

椎名

椎名

ううん。

椎名

ねぇ悠真。

椎名

少し面白いお話しようよ。

悠真

悠真

面白い……?

椎名

そう。面白いお話。

その時の彼の表情は 未だかつてない

迷いのない色をしていた。

椎名

あるところに…3人の幼馴染がいました。

そして彼は…愉快で… 切なくて……悲しくて…

でも奇跡的に再開した 幼馴染の話をしてくれた。

それがとてもいい話で… 素敵で…

椎名くんの何故か 真っ直ぐな強い瞳が

私の心を癒やしていた。

私は気づいていたんだ。

椎名くんが… いっくんなんだって。

でもそれはもう… どうでもいいんだ。

今の彼は昔の彼より… 何倍も…何百倍も…

素敵で…魅力的だったから。

だから私は…今の彼だけを みつめていこうって…

それから瑠色のことも…

追いかけるんだ… 諦めないんだって…

決心したんだ。

悠真

ありがとう椎名くん。

椎名

ううん。どう…面白かったでしょ

悠真

そうだね…

悠真

3人共、とてもいい子だなって思った。

椎名

え…………?

悠真

だってね…

悠真

全員…自分の手に入れたいものに
真っ直ぐに…迷いなんて知らないみたいに…

悠真

無我夢中になって巡ってるんだもん。

悠真

全員が素敵で…魅力的。

椎名

悠真…。

椎名

椎名

さすが悠真だね…、

椎名

僕にはそんな考え…ずっとなかったよ。

椎名

さすが悠真……俺の憧れだ。

悠真

悠真

そんなことないよ。

悠真

椎名くんにもきっとわかる日がくるよ…

悠真

ていうか、教えてくれたのは他でもない…

悠真

椎名くんなんだから…

椎名

椎名

僕…?

悠真

そう。椎名くんがいなかったら…

悠真

私今でも迷ってた。

悠真

このまま諦めてたかもしれない…

悠真

でも…ね

悠真

私椎名くんのおかげで改めて実感できたんだ…

悠真

悠真

確かに瑠色は1人で口走ること多くて…
たまにムカッてなる…

悠真

でもねでもね…やっぱり私は

悠真

ツンデレで、真っ直ぐで…一生懸命で…

悠真

そんな瑠色を何年も見てきたから…

悠真

だから、

悠真

やっぱり瑠色が大好きで…
"好きになってよかった"って…

悠真

そう思えたの!!

椎名

悠真……っ

椎名

椎名

なにそれ…

椎名

かっこいいじゃんっ

悠真

ほんと!!?

椎名

うん…

椎名

やっぱり好きだ。

悠真

うぇっ…!!?

椎名

うそ冗談。

椎名

ほら、決めたなら行って。

椎名

追いかけて。

悠真

悠真

うんっ!!

彼の瞳は太陽のようだった。

昔よりずっと綺麗で… 優しい光をもっていた。

悠真

よしっ…

私はまた一歩… 新しい決心にむけて進んでいく。

悠真が涙を見せた時… 悲しい悲鳴を響かせたとき…

僕は自分の負けを実感した。

確かに彼女はこれまで… たくさん傷つけられてきた。

だけど…それでも。

その気持ちを…感情を 一直線にみつめ続けている。

馬鹿なほど一途なんだなって…

他のことなんて見えてないんだなって…

僕ははっきり思い知らされた。

だから……

椎名

椎名

がんばれ…

僕は背中を押すと決めた。

大切な君の為に……

そして……

椎名

くそっ………、うぅ…っ

最高のライバルの為に……

でも…もう涙は見せない。

これで終わりにするんだ。

なにもかも……この悔しさも…。

僕は涙をぬぐって 笑顔をつくる。

バレないように…自然に…。

悠真

悠真

あ、そうだ。

椎名

ん…?

悠真

今日はありがとねっ

悠真

悠真

いっくん…!!!

椎名

いえいえっ

椎名

椎名

えっ…………

今……なんて……

椎名

椎名

なんだ……

椎名

ちゃんと思い出してんじゃん……

結局…僕は負けたんだ。

今の彼女には昔なんて関係ない…

そう…大切なのは今の想いなのだから

もう迷いのない彼女の背中は…

あの時のように… 誰かに守られるべき小さな背中ではなかった。

なんだろう。

どこかたくましく… それでもって美しい。

彼女は成長したんだと…

僕はその時気づいたんだ。

次回は♥800にて!!

コメ欄にて感想まってます!!

好きになってはいけなかった2

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

865

コメント

6

ユーザー

めっちゃ、感動した〜💖

ユーザー

感動しましたー!😭

ユーザー

初コメです(><) 続き気になったのでハート 押させて貰いました!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
;