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賢流@Lime-Donut様 コメント有難う御座います 有難きお言葉、大変嬉しいです☺︎ (´・ω・`)アリガト・・・
【魑魅先生へ】 ( ´・ω・` )カエルチャン… インディーズコンテストのホラー部門優秀賞おめでとうございます!
ゲコゲコゲコ・・・
ゲコゲコゲコ・・・
陽平
陽平
ゲコゲコゲコゲコ・・・
ゲコゲコゲコゲコ・・・
陽平
陽平
ゲコゲコゲコゲコ・・・
ゲコゲコゲコゲコ・・・
陽平
陽平
陽平
俺の家の向かいには、昔から田んぼがある
だが最近は、米も農作物も、誰かが育ててる気配は無く
ずっと放置されていて、正直気味悪いったらない
でも一応、サギとかカモとか、たまにキジが出るときもあるんだが
それ以上に多いのが
カエルだ
ゲコゲコゲコゲコ・・・
ゲコゲコゲコゲコ・・・
陽平
陽平
このカエルの大合唱は、いわば夏の風物詩だ
日が沈みかけると同時に鳴き始め、夕飯のときくらいがピークだ
昼ならまだしもさ、夜だぞ夜
これなら蝉の方が幾分かマシってくらいうるさい
しかも家の中にまで入ってくるし
ホント、迷惑以外の何ものでも無いよ
陽平
陽平
陽平
俺は今年、中学三年生・・・つまり受験生だ
楽しい夏休みも、受験生は勉強の毎日
おまけに俺は要領が悪いから、何回も繰り返さなきゃ覚えられない
そのたびに、あのうるさい鳴き声が入ってくる
ゲコゲコゲコゲコ・・・
ゲコゲコゲコゲコ・・・
ゲコゲコゲコゲコゲコゲコ・・・
陽平
陽平
陽平
陽平
ガラガラガラッ
陽平
俺は
握っていたシャーペンを、窓の外に思いっ切りぶん投げた
ゲコゲコゲコゲコ・・・
ゲコゲコゲコゲコ・・・
ゲコゲ・・・
陽平
陽平
陽平
陽平
俺がシャーペンを投げた瞬間
その鳴き声はピタリとやんだ
周りのカエルの鳴き声も
全て
陽平
陽平
陽平
聞こえるのは、たまに通る車の音や
部屋のエアコンの音くらいだ
あのけたたましい程の鳴き声は
まるで一瞬で蒸発したように、聞こえなくなってしまった
陽平
陽平
この静けさを求めていたはずなのに
いざ急に聞こえなくなると、言い知れないほどの恐怖を感じる
足がすくみ、窓を覗く勇気も力もなかった
陽平
陽平
陽平
俺は、逃げるように机に向かった
ペンケースに入っていた、もう一本のシャーペンを握る
陽平
陽平
陽平
陽平
翌朝
陽平
陽平
目をこすりながら、ゆっくりと身体を起こす
陽平
陽平
カーテンから差し込む光で、目がチカチカした
あれから12時半まで勉強していたためか、身体が重くだるい
そんなときの外の光は、結構キツいものだ
陽平
陽平
陽平
陽平
俺は目覚まし時計をガッと掴み、秒針をまじまじと見た
・・・・・・・・・・・・うん
9時だ
陽平
俺の塾では、今日から夏期講習が始まる
朝の10時から、夕方の6時までぶっ続けだ
陽平
陽平
陽平
外は、昨日の雨が嘘のような晴れだった
まだ水たまりが残っていて、表面が少し虹色に光っている
陽平
陽平
陽平
その時、俺は不意に思い出した
陽平
陽平
陽平
夏らしい陽気に対する感動の気持ちが、一瞬にして曇る
でも、いずれかは取りに行かないといけないし・・・
陽平
陽平
陽平
陽平
俺は、自分の部屋の方へかけだした
陽平
陽平
陽平
陽平
その光景を目にして、俺は飛び上がった
なんと、昨日投げた俺のシャーペンが
カエルの右目に、深々と刺さっているのだ
陽平
陽平
無意識につま先立ちになりながら、恐る恐るカエルに近づく
恐らくもう、生きてはいないだろう
陽平
陽平
俺は少し猫背になると、シャーペンの上の方を持った
そして、だんだん上に持ち上げていく
陽平
ペン先には、 白い液のようなものに混じって、赤いものや黒いものがへばりついていた
じっと見てると吐き気がする
陽平
陽平
俺は耐えきれなくなり、シャーペンを田んぼに向かって投げた
ポチャンっ
陽平
陽平
陽平
陽平
陽平
タッタッタッタッ・・・
陽平
陽平
陽平
俺は部屋に入るや否や、ベッドにボフンと倒れ込む
中3まで塾に通ってこなかった俺にとって、夏期講習なんて縁が無かったが
これがあと何日も続くと思うと、気が遠くなる
陽平
陽平
陽平
俺はスマホを手に取り、アプリゲームを開いた
陽平
陽平
陽平
ペタ
ペタ
陽平
陽平
陽平
陽平
ペタ
ペタ
陽平
違う
これは人が来る音じゃない
歩いてる、というよりは
「跳ねている」という音だ
俺の耳が、瞬時にそう感じた
陽平
陽平
陽平
ペタ・・・
ペタペタペタ・・・
ペタペタペタペタ・・・
音がだんだん増えていく
と同時に、どんどん近づいてくる
陽平
陽平
ペタペタペタペタ・・・
ペタペタペタペタ・・・
その音は、ついにドアの前まで来た
ペタペタペタペタ・・・
ガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャ!
ドアノブを回す音が、部屋に響き渡る
しかし、普通に回すのとは少し違う
張り付いているような音に聞こえる
陽平
陽平
陽平
陽平
ガチャガチャガチャガチャ!
ガチャガチャガチャガチャ!
ガチャ
陽平
ドアノブが開けられ
部屋に入ってきたのは
陽平
陽平
陽平
陽平
部屋に入ってきたのは
右目から大量の血を流した
カエルの大群だった
陽平
陽平
俺が絶句している間に、カエルはどんどん部屋に入ってきた
ペタペタペタペタ
ペタペタペタペタ
カエルの跳ねる音は大量に響いているが
あのけたたましい鳴き声は、誰一人あげなかった
ただ黙々と、俺に向かって跳ねてくる
あの時と同じ恐怖だ
陽平
陽平
俺は両手を必死に振り回すが
カエルは俺に張り付いて、微動だにしない
陽平
陽平
ついに一匹のカエルが、俺の顔に登ってきた
陽平
陽平
陽平
そのカエルが、俺の右目に乗っかった
そして、前足を大きく振り上げる
陽平
陽平
そのカエルが握っていたのは
あの田んぼに投げ捨てた
俺のシャーペンだった
陽平
グサッ!!
陽平
陽平
俺は声が枯れるような断末魔をあげ、ベッドの上でもがいた
陽平
陽平
陽平
焼けるような痛みが、右目に集中する
と同時に、手のひらに大量の血が垂れていった
ペタ
ペタ・・・・・・
陽平
陽平
陽平
涙でほとんど見えない左目には
溶けるように消えていく、カエルたちがうつっていた
陽平
陽平
陽平
陽平
陽平の母
陽平の母
陽平の母
耳元で、にわかに甲高い声が聞こえた
陽平
陽平
陽平の母
陽平の母
陽平の父
陽平の父
扉の奥から、屈強な男が現れる
陽平
陽平
陽平
陽平
陽平の母
陽平の父
陽平の母
陽平の母
気づくと俺は、病院のベッドに横たわっていた
周りで父さんと母さんが泣いている
ぼーっとする意識の中、だんだんと記憶が蘇ってきた
陽平
陽平
陽平
陽平の母
陽平の母
陽平
陽平の父
陽平の父
陽平の母
陽平の母
陽平
陽平
陽平
陽平の母
陽平の父
陽平
陽平
陽平の父
陽平の母
陽平
陽平の母
陽平の父
二人が顔を見合わせる中、僕は窓の景色を覗いた
そこには、両目で見るのとはまた違う
まぶしい光が差し込んでいた