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俺と…委員長と…26

俺と…委員長と…26

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俺と…委員長と…26

♥

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2020年08月02日

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カナタ

モグモグモグモグ

サヤ

……

カナタ

モグモグ
モグモグ

サヤ

……。

サヤ

あのさ…

カナタ

ん?

サヤ

何で黙々と
食べてんのよ

カナタ

あっこめん!
食べるのに集中しすぎちゃった

サヤ

はぁ?

サヤ

まぁいいわよ〜

カナタ

ご、ごめん
なさい…

サヤ

ねぇ
学校でのケンシくんって
どんな感じ?

カナタ

そりゃ
サヤさんがさっき言った通りで…

サヤ

そんなのなんて
想像がつくレベルじゃない

カナタ

あー…えっと…

カナタ

例えて言うなら
クガサンと真逆というか

サヤ

へぇ〜
でも何かそれっぽいっちゃ〜
それっぽいかぁ

カナタ

生徒会出てる感じ
人の意見まとめるのも
上手いし

カナタ

人に手を差し伸べるのも
みんなよりやるし

サヤ

うん

カナタ

活発なヒカルって感じかなぁ

サヤ

わっからねぇぇぇぇぇええ

カナタ

あ、でも付け込むのも
上手いかも

付け込まれたおれがいうから 間違いない

サヤ

え〜?
何か意外〜

カナタ

まぁ…頭の悪い俺には
わからないくらい聡明だよね
たぶん

サヤ

確かにねぇ

サヤ

アヤメは特化型で
ケンシくんは汎用型
そんな感じかな

カナタ

なんかしっくりくる

サヤ

でしょ〜

カナタ

でもサヤさん本当に
会長のこと追いかけないの?

サヤ

希望がないのに
追いかけるわけないじゃん

カナタ

そう???

サヤ

わかってないわね

カナタ

え??
何が???

サヤ

ケンシくんがアンタのこと
気にしてるの

サヤ

わかってんだから

カナタ

!!!!!!!!????!!!

カナタ

なっ!
何を言って………

サヤ

図星だし

サヤさんの勘の鋭さが エグい

カナタ

そっ…そんなこと
ないっすよ!

サヤ

焦りすぎてバレバレ

カナタ

またまた
冗談を

認めるわけには いかなーーーーーい!

サヤ

フン

サヤ

そうならそうで
そういうことにしておいて
あげるわよ

カナタ

は、ハイ…

カナタ

んでも…
サヤさんて
好きな人いないの?

サヤ

えっ?

カナタ

あっ…えっと…

まずいこと 聞いたのかな…

サヤ

いなくもないわけでも
ないような…

カナタ

えーなんか
中途半端な…

サヤ

私のことは
いいじゃない

おればっかり 聞かれるのは フェアじゃないだろ……

カナタ

まっ…まぁ…
はい…
そういうことにしておきます

サヤさんとの夕食は 本当に他愛もない話を 延々として

でも時間が過ぎるのは 早く感じた

カナタ

じゃあ食べ終わったの
片付けてくるね

サヤ

うん

カナタ

サヤさんのも
持ってくから

カナタ

俺のこっちの手に
乗せて

サヤ

あっ…
はい

サヤ

あ、ありが…と…

なぜかお礼を言うのが 恥ずかしそうだった

そしておれは返却場所に 戻しに行った

もう少しで消灯時間

今日がおわる

何だかんだで 入院してるのに

バタバタしてた気がする

カナタ

ふぁ〜あ
いつもなら眠くないけど
眠くなってきちゃった

明日は退院

サヤさんが また一人の生活になるのかと 思うと

少し気持ちが ザラザラした

カナタ

もう…
寝てしまおう

この微妙な感情を 抑えるように おれは眠りについた

もう 朝がきた

カナタ

あぁ…

早く目が覚めてしまった

時間はまだ朝の5時くらい

でも午前中に退院だから ある程度のものは まとめておかないと…

カナタ

っても
そんなに荷物ないしな…

この白い部屋と 強がってる女の子と

今日でお別れ

カナタ

うーん…
目が覚めてしまって
眠くないし

カナタ

どうしようかな…

おれはなんとなく 病室から談話室に向かった

今日は天気がいい 晴れ渡る空をみて 頭の中は 空っぽになった

カナタ

……

なんとも おれらしくない

小中学校で 卒業の日

また友達とは会えるのに 何かひどく寂しくなる感覚に 似てた

そうこうしているうちに 時間はどんどん過ぎていき

サヤさんとあまり話ができないまま 母上の迎えが来る時間が 迫っていた

カナタ

えっと…
あの…

サヤ

なによ?

カナタ

もう少しで
俺の退院に
なっちゃう

サヤ

そっかぁ
おめでとう

なんだか 素直な感じの言葉で ビックリした

カナタ

あ、ありがとう…

カナタ

あ、あのさ…

サヤ

あんたさ

カナタ

えっ?
なっ…なんでしょう?

サヤ

あの子と喧嘩しちゃ
だめだからね

カナタ

う、うん………

彼女はヒカルのことを言っていた

でも何でそんなこと 言うんだろう?

サヤ

彼はわかってると思うけど
繊細で不器用な分

サヤ

考えすぎる感じがするから

カナタ

そ、そう…だね

なんだか見透かされすぎて…

サヤ

もしさ

カナタ

はいっ

サヤ

別れるとしても

カナタ

なっ!何言って!

サヤ

別れるとしても
いい別れ方しなよ

カナタ

…………

今そんなこと言われても 何も考えられない

別れることなんて

サヤ

今の話じゃないからね?

カナタ

うん

サヤ

たぶん
彼は凄く傷つく

サヤ

目が…
目の奥が…

カナタ

目??

サヤ

あーーー
ううん
何でもないわ

カナタ

ちょっ!
寸止めとか!

サヤ

うっさいわね!

そりゃ気になるところで 止められたらよ!

サヤ

まぁそういうこと

カナタ

わっかんねぇええええ

サヤ

はいはい

サヤ

お迎え来てるわよ

カナタ

えっ?

母上

あらごめんなさい
邪魔しちゃいけないと思って

母上…今の会話… どこから聞いてたんすか…

サヤ

じゃあ元気でね〜

カナタ

サヤサン

お見舞いくるからね

サヤ

変な気遣わなくて
いいわよ

カナタ

いいの!
俺が来たくなったら
来るんだから!

サヤ

はいはい

軽くあしらわれてるけど サヤサンの顔は笑っていた

前の影がある感じと 違った

母上

じゃあ
行きましょうかね

カナタ

うん

カナタ

サヤサン
握手しよ

サヤ

はぃ〜?

おれは彼女の手を半ば無理やり 握った

サヤ

あ〜
セクハラ!

カナタ

サヤサン
またね!
また来るね!

サヤ

はいはい

力の弱い彼女の握手に おれは強めに握って 気持ちを込めた

カナタ

じゃあ

サヤ

バイバイ

こうしておれは 病室を後に 退院した

サヤ

ほんと
不器用な奴

サヤ

でも悪いやつじゃなかったな

サヤ

今までの
大人たちと違って

看護師

さやちゃん

看護師

広坂くん
退院しちゃったね

サヤ

そーだね

看護師

僕、さやちゃんの笑顔が
広坂くんのおかげで
戻って

看護師

嬉しいよ

サヤ

ちょ!
何言ってんの?

看護師

照れてるの?
血圧と体温測るよ

サヤ

あいつは
幸せになればいいなって

サヤ

そう思っただけ

看護師

さやちゃんだって
僕は幸せになって欲しいよ?

サヤ

あたしは…

こうやってあなたの優しさに 触れていられれば それでいい

看護師

ん?

サヤ

何でもない

看護師

ははは
笑えば可愛いのになぁ

年の離れた人と上手く行く そんな甘っちょろい夢なんて 抱かない

小さな幸せを 自分の中だけに しまっておく

それで じゅうぶん

サヤ

忙しいんだから
早く終わらせて
次に行けばいいわよ

看護師

つれないなぁ〜

サヤ

………

カナタ

あ〜〜〜
我が家〜〜〜

母上

おかえり
カナタ

カナタ

母上〜
ただいまですぞ〜

カナタ

まぁ一緒に来たけどね

母上

荷物片付けて
学校行く準備
しときなさいね〜

カナタ

は〜い!

懐かしい おれのうち! 部屋!

母上

お昼は何食べたい?

カナタ

母上のご飯なら
何でもいい!

母上

じゃあ〜
激辛料理にでも
しょうかなぁ?

カナタ

えぇ…
鬼畜ですね

母上

冗談よ〜

おれが帰ったせいか 母上もこの上なく 機嫌がいい

母上

お父さん
午後帰ってくる
らしいから

母上

みんなで
食べましょ

カナタ

えっ!?
父上が?

母上

そうよ〜
もうね
無口なくせに

母上

心配し過ぎて
こんなんで帰ってくるなんて

母上

初めてよねぇ

カナタ

明日雪が降るんだろうか…

母上

ふ、降るかもしれないわね…

おれはきっと 父上の人生に 革命を起こした!

母上

さーて
準備準備〜

母上おれの部屋から出ていった

カナタ

明日の準備しちゃお

おれの学校生活が再開する

次の日

母上

カナターーーーーー

母上

おきなさーーーーーーーー

いつもの 久しぶりの この声

カナタ

おっ!起きてるよっ!

母上

あら、病院で
いい癖がついたのかしら

カナタ

か、かなぁ?

母上

早くご飯食べちゃいなさい

カナタ

はーい!

朝食をとり 余裕の時間で 家を出た

なんか新しい気持ちだ

学校が見えてきた

でも何か みんながおれに珍しそうな 視線を送ってくる

あー副委員長だっけ? 刺されたってやつ

そうそう! 退院したんだね〜

カナタ

な、なんかこれ
気まずくね?

ヒカル

あっ!カナタくん!

カナタ

ヒカル!
おはよう!

ヒカル

おはよう!
会えて嬉しい!

ヒカル

ほんと
寂しかったよ

直球過ぎて クソ照れる

カナタ

ご、ごめん
心配かけちゃって

カナタ

お見舞いも
来てくれてありがとう

ヒカル

どういたしまして

ヒカルの顔が太陽より 眩しい

でもヒカルが明るくおれに接してくれて おれを見てくる視線は いつもの日常と 変わらないくらいになった

ヒカル ありがとう

ヒカル

でもね?

カナタ

ん?

ヒカル

委員の仕事
いーーーーーっぱい残ってるから

カナタ

げっ

ヒカル

僕一人は
大変なんだからね

カナタ

ごめん…

ヒカル

たくさん働いてもらうからねっ

カナタ

なっ…なんか
いつもより
強気…

ヒカル

てへへ
ちょっとやってみたかった

かわいいかよ!

カナタ

何すればいいか
言ってくれれば
やるし頑張るし

ヒカル

うん!
お願いね!

ケンシ

おっ
広坂くん
おはよう

カナタ

かっ…かいちょ…

カナタ

おはようございます…

ケンシ

復帰できてよかったな

カナタ

め、滅相もない…

入院中の会長の態度が おれの頭を駆け巡り まくった

ケンシ

田上くんは一人で
大変だったから

ケンシ

どんどんサポート
するように頼むぞ

カナタ

は、はい!

何だか 余所余所しくて怖っ

ヒカル

じゃあまた放課後
会議室取ってあるから

ヒカル

きてね

カナタ

よっ、喜んでーーーーー

いつもの日常が 戻った気がする

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