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美枝

おはよう美和

美和

あ、あと5分寝かせて…

美枝

そろそろ起きて

美枝

今日はお墓参りに行く日だよ

美和

そうだった…

美枝

美和は低血圧だから、毎朝辛そうね

美和

うん…でも慣れたよ…顔、洗ってくる

美枝

分かった。先に朝食の支度してるね

美和

お願い…

美枝

お花も買えて良かった

美和

あそこのスーパー、花売り切れてるときあるからね…

美和

お母さんが好きな色の花があって、良かった

美枝

そうだね

美枝

美枝

もう、5年経つんだね…

美和

早いね

美和

時の流れは

お母さんは、事故で亡くなった

私達はその時、11歳だった。

美和

お墓、きれいに掃除しなくちゃ

美和

最近、宿題とか委員会で行けてなかったもんね

美枝

うん、二人で掃除したら

美枝

あっという間に綺麗になりそう

いつものように

お母さんの墓前に

近況報告をした。

美枝

お墓参りも終わったし、これからどうする?

美和

…映画見たいな

美枝

何か見たい作品あるの?

美和

美枝

美和?

美和

笑わない?

美枝

え?

美枝

笑わないよ

美枝

タイトル、教えて

美和

…ホラー映画、見たいな

美枝

えっ!

美枝

美和、そういうの

美枝

苦手じゃなかった?

美和

うん…

美和

でも、最近興味が出てきたんだ

美和

ただ…一人で見るのは怖くて…

美枝

分かった

美枝

一緒に行こう、映画館

美和

美枝…ありがとうっ!

そして、二人でホラー映画を見た。

美枝

わっ?!

美和

ふふっ

美和

美枝ちゃん、驚きすぎっ

美枝

美和に笑われた…!ショック!

上映中、ずっと互いの手を握っていた。

美枝

でも不思議、

美枝

美和の手を握っていると

美枝

不安が弱まる…

美和

美和

そっか

美枝

映画終わっちゃったね

美和

面白かった

美和

美枝ちゃんと一緒に来られて

美和

良かった!

美枝

…そろそろ帰ろうか

美和

うん

美和

夕飯何にする?

美枝

えっとね〜…

それから、ショッピングモールに移動し、

服と、夕飯で使う野菜などを

購入した。

夕食後 自宅

美和

今日は、楽しかったね

美枝

そうだね、映画のあとに洋服も買えたし、

美枝

大満足!

美和

良いの買えて良かったね

美枝

うん!!

美和

明日も、いい日になるかなぁ?

美枝

もちろん!

美枝

ほら、電気消すよ〜

美和

うん

美和

おやすみ、美枝ちゃん

美枝

おやすみ!美和

私は、まだ知らなかった

美和の本当の

正体を。

翌朝

美和の姿は、どこにも無かった。

自宅、学校、お母さんのお墓、

昨日行った映画館にも、探しに行った。

それでも、美和は、

見つからない。

美枝

美和、一体どこに行ったの?

美枝

もう一回学校に来たけど

美枝

やっぱりいない…!!

昼休みの時間のため、

校庭には数人の生徒がサッカーをしている。

校庭には、私の担任も来ていた。

美枝の担任

えっ、美枝さん?!

美枝の担任

連絡もないし、心配してたのよ!

美枝

先生ぇ…!

美枝

それどころじゃないんです

美枝の担任

…え?

美枝

美和が、美和がいなくなっちゃったの!

美枝の担任

美枝

どうしよう、

美枝

警察に行かなきゃ…!!

美枝の担任

待って、美枝さん

美枝

私、急いでるんです!

美枝

離して下さい!!

美枝の担任

その、ミワさんって

美枝の担任

誰なの…?

美枝

え?

言ってる意味がわからなかった

だって、私と美和は

毎日一緒に登校していたから。

美枝

先生、どうしちゃったの?!

美枝の担任

どうかしてるのは

美枝の担任

あなたよ

美枝

先生、

美枝

美和は、私の双子だよ?!

美枝の担任

…美枝さん、

美枝の担任

そんな名前の人、

美枝の担任

この高校には

美枝の担任

在席していないわ

美枝

…え?

これは、悪い夢なんだ。

美枝の担任

授業は出なくていいわ

美枝の担任

…一緒に、来てちょうだい

こんな夢、

早く醒めますように。

美和

どこに行ったの?

美枝

美和ぁ…

知らない男性

美枝さん

知らない男性

あなたは、病理度の低い…

この人の話

聞きたくない

知らない男性

ということで、

知らない男性

美和さんは、役目を終えて、

知らない男性

自然に消滅したんじゃないかな

美枝

え?!

美枝

消滅って何?!

知らない男性

美和さんは、

知らない男性

君がもう大丈夫だと判断して、

知らない男性

自分の役目を全うして、

知らない男性

君の側を離れることにしたんじゃないのかな

美枝

役目?

美枝

どういうことなの?!

美和が私から離れる?!

そんなこと、あるはずない!

美枝

だって、ずっと一緒だったのに

美枝

美和が

美枝

私から離れるわけない

知らない男性

じゃあ、反対に

知らない男性

君に質問をするよ。

美枝

…はい

知らない男性

美和さんは、いつからあなたのそばにいる?

美枝

え?

知らない男性

双子だったら、幼い頃から、

知らない男性

物心つく前から

知らない男性

一緒にいたはずだよね。

美枝

知らない男性

二人が小さい頃のエピソード

知らない男性

何でもいい

知らない男性

教えてくれないかな?

美枝

それ、は

小さい頃のこと、

何も 思い出せない。

知らない男性

一番古い、君と美枝さんの思い出は何かな?

お母さんのお葬式の時には、

二人で、一緒に泣いた記憶がある。

美枝

5年前の

美枝

お母さんの葬式の時

美枝

一緒に、美和と泣きました

美枝

でも、その前から一緒にいたはずなんです

知らない男性

…そっか

知らない男性

わかりました

知らない男性

今日は、ここまでにしよう

知らない男性

長い間、拘束して悪かったね

美枝

知らない男性

次は、来週来てくれるかな

そもそも、ここはどこなの?

担任の先生が

私をここに連れてきた。

さっきまで取り乱していたから、

ここがどこか、何も分からない。

美枝

すみません

美枝

ここ、どこですか?

知らない男性

そっか、来たとき混乱していたもんね

知らない男性

ここは

知らない男性

心療内科だよ

美枝

心療、内科…?

知らない男性

そう

知らない男性

心療内科は、嫌かな?

美枝

嫌とかじゃないです

美枝

でも、ここに来て、美和に辿りつけるのかな?

知らない男性

知らない男性

もうすぐ、お父さんが迎えに来るからね!

はぐらかされた

美枝

やだ…

美枝

美和に、会いたいよ…!

美枝

私、病気なんかじゃない!

美枝の父

先生、今日は娘がご迷惑をおかけ致しました

心療内科の医師

いえ、

心療内科の医師

お父様も驚かれたでしょう

美枝の父

やっぱり、薬を使っての治療になりますか?

心療内科の医師

薬を使うこともありますが、

心療内科の医師

まだ様子見の段階でいいかと

美枝の父

そうですか…

心療内科の医師

ただし、毎週の通院が必須です

心療内科の医師

お父様

美枝の父

…はい

心療内科の医師

通院に付き添っていただくことはできますか?

美枝の父

分かりました

美枝の父

きっと、私が仕事であまり美枝のそばにいられなかったから

美枝の父

美枝が、ああいうことになったんだと思います

美枝の父

きちんと責任を取りたいです

心療内科の医師

あまり、ご自身をお責めにならないで下さい

美枝の父

先生、ありがとうございます…

美枝の父

送り迎えと、可能であれば

美枝の父

カウンセリングにも、同席させて貰えませんか

心療内科の医師

分かりました

心療内科の医師

来週、お待ちしております

美枝の父

よろしくお願いします

数日後

美枝

いつになったら、美和に会えるの

心療内科の医師

美和さんは、あなたの所には戻ってきていないんだね?

美枝

はい

美枝

連絡もなければ、

美枝

手紙もない…

心療内科の医師

そうでしたか

心療内科の医師

美和さんは、元いた場所に帰ったっていう可能性はないかな?

美枝

何、それ?!

美枝

美和は、私を置いていかない!

美枝の父

美枝、美和っていう人は

美枝の父

どんな顔をしていた?

美枝

お父さん?

美枝

自分の娘のこと

美枝

忘れちゃったの?!

美枝の父

美枝。よく聞きなさい

美枝の父

私達夫婦の間の子供は、

美枝の父

間違いなく

美枝の父

君、一人だけだよ

美枝

美枝

信じないよ

美枝

そんなの

心療内科の医師

でも、家族写真にも、美和さんは映ってなかったよね?

美枝

美和は

美枝

写真嫌いだったから

美枝

映ってないだけ

心療内科の医師

…そうですか

心療内科の医師

今日は、ここまでにしましょう

美枝の父

ありがとうございました

美枝

美和

美枝ちゃん

美枝

美和

美枝ちゃん!!

美枝

美枝

美枝

美和?!

ああ、やっと会えた

ようやく、夢から醒めたんだ

長い、長い悪夢だったんだ…

美和

美枝ちゃん、聞いて

美枝

もう、どこに行ってたの?!

美枝

心配したんだよ…!

美和

心配してくれて

美和

ありがとう

美枝

これからは、ずっと一緒にいるからね

美和

うん

美和

私はずっと美枝ちゃんと一緒だよ

美和

昔から、ね

美枝

え?

美和

だから、離れ離れになる訳じゃない

美枝

何言ってるの?!

美和

私は、あなたから生まれた

美枝

美和?

美枝

どうしちゃったの

美和

私は

美和

あなたから生まれた

美和

イマジナリーフレンド、だよ

美枝

何それ

美枝

イマジナリー?

美和

イマジナリー、フレンドだよ

美和

つまり、あなたが私を作った

美枝

え?

美和

いずれ、私は消える運命だった

美和

私が生まれた瞬間から、

美和

私が消えることは決まっていたんだよ

美枝

どういうこと?!

美和

二重人格とは違うんだけど…

美和

詳しくは、心療内科の先生に聞いてね

美枝

美和?

美和

美枝ちゃん

美和

いいえ、美枝

美和

あなたは強くなった

美枝

何?何の話をしているの…?

美和

だから、

美和

私がいなくても、もう美枝は大丈夫

美枝

何言ってるの美和!!

美和

さようなら、美枝

美枝

待って

美枝

行かないで

美和

大好きだよ

美枝

美和ぁ…!

さようなら、したくない!

ずっとずっと

隣にいてほしいよ!

数日後

心療内科の医師

じゃあ、夢の中で美和さんと話をしたんだね?

美枝

…はい

心療内科の医師

それから、美和さんには会っていない?

美枝

そうです

美枝

出てきてくれません

心療内科の医師

そっか…

美枝の父

先生、どういうことなんでしょうか

心療内科の医師

イマジナリーフレンドは

心療内科の医師

自然に消えて、いなくなることもあります

美枝の父

いなくなる?

心療内科の医師

はい

心療内科の医師

イマジナリーフレンドは、成長過程で消えてしまう報告が多い

心療内科の医師

実際に、空想の存在であるイマジナリーフレンドが、

心療内科の医師

本人には実在しているように見えることもあります

美枝の父

そうなんですか…

美枝

つまり、

美枝

私の頭がおかしい、ってこと?

心療内科の医師

いえ、それは違います

心療内科の医師

アメリカでは、多くの子どもたちは

心療内科の医師

幼少期にイマジナリーフレンドを持つことが多い

美枝

…それは、何故ですか?

心療内科の医師

対人関係に不慣れな時期、

心療内科の医師

子供達は、イマジナリーフレンドを作りやすいと言われています

美枝

消えちゃう存在なのに、

美枝

どうして、わざわざ生み出すの?

心療内科の医師

それはね、

心療内科の医師

様々な困難を乗り越えたり、

心療内科の医師

対人関係を克服するためだったり、様々なんだ

美枝の父

ちょうど、美枝がイマジナリーフレンドを作った時期に

美枝の父

私の妻が、事故で亡くなっています

心療内科の医師

そうでしたね

心療内科の医師

美枝さん

美枝

…はい

心療内科の医師

あなたは5年前の事故の時、

心療内科の医師

お母さんを失った事実を、

心療内科の医師

悲しみと言う名の困難を、乗り越えることができなかった

美枝

…はい

心療内科の医師

その時に、この困難を乗り越えるために

心療内科の医師

イマジナリーフレンドを生み出した。

心療内科の医師

それが、美和さんだ

美枝

美和が一緒に泣いてくれたのも、

美枝

今まで美和がそばにいたのも、

美枝

私自身が、困難を乗り越えるため…っていうこと?

心療内科の医師

そういう考えに

心療内科の医師

なると思います

美枝の父

美枝の父

やはり私のサポートが弱かったから、ですね

美枝

お父さん、それは違うよ!

美枝の父

…え?

美枝

お父さんは、お母さんが死んでから

美枝

しばらく仕事休んで、

美枝

家にいてくれたじゃない!

美枝の父

そ、それはそうだけど

美枝

あの時、どんなに頼りになったか…

美枝

私には美和がいたけど、

美枝

お父さんがいなかったら、今までどおりの生活は、できなかった!

美枝

だから、自分を責めないで

美枝の父

美枝…

心療内科の医師

美枝さん、出会った頃より顔色もいいし

心療内科の医師

精神も、少しずつ安定してきたね

心療内科の医師

偉いよ

美枝

…っ

美枝

先生…

心療内科の医師

美和さんのことは

心療内科の医師

忘れなくていい

心療内科の医師

これからも、覚えていてあげて

美枝

うん

美枝

ありがとう

美枝

先生…!

数日後

美枝の父

海なんて、久しぶりだなぁ

私は父と、海に来ていた

美枝

もしかしたら、10年ぶりかも

美枝の父

そんなに来ていなかったか?

最近、部屋の模様替えをしていたら、

イマジナリーフレンド関係の書籍が数冊出てきた。

私は無意識に、

美和の存在が、イマジナリーフレンドではないかと

疑っていたようだ。

美枝の父

…海の家で、ビール飲みたいな

美枝

お父さんがお酒飲みたがるの

美枝

珍しいね!

美枝の父

…たまには、飲みたい時もある!

美枝

そうなんだ

美枝

飲みすぎないでね

…父は、イマジナリーフレンドを作っていた私を、受け入れてくれた。

世間では、心療内科や精神科に通院することを良くないと決めつける親もいると聞いた。

父は、偏見一つ持たず、

私を理解してくれた。

美枝

…だから、もういらないよ

美枝の父

ん?

美枝の父

…何か言った?

美枝

ううん、なんでもない!

美和に、

イマジナリーフレンドに

さよなら。

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