放課後 教室
祟
取り敢えず何とか乗り切った...
あの後、数人のノイズ化を 目撃したが今は普通に 戻っていることを確認した。
帰りのHRが終わり教室の 生徒が次々と帰り始める頃、 俺は彼女に声をかけた。
祟
鬼怒川さん...ちょっといいかな?
薊
はい、どうしました?
祟
....
そして俺は“あの言葉”を 彼女にぶつけてみた。
祟
鬼怒川さん、俺には“偽物”ってのが何のことか分からない
祟
だけど俺は“今、幸せ”に生きてると思うんだ
俺はそう言い彼女の 返事を待った。 すると...
薊
は、はあ...そうですか?
薊
あの...すみませんが何のことを言っているのでしょうか?
祟
えっ?
祟
(“幸せ”と“偽物”がNGワードじゃないのか⁉︎)
祟
(じゃあ一体何が豹変条件なんだ...‼︎)
祟
(あ...そういえばもう一つ言われた“あの言葉”か...?)
俺は改めて鬼怒川さんに 語りかけた。
祟
俺には“妹”はいない。俺は生まれた時からずっと一人っ子だ
祟
(さあどうだ...‼︎)
と反応を待っていた 時だった。
薊
...は?何、まだ思い出せてないの?
薊
それとも思い出せないふりして私を馬鹿にしてるとか?
薊
まあ、いいや。結局殺せばいい話だし...ッ‼︎
突然態度が変わったかと思うと 彼女はスタートダッシュ を決め、俺に襲い掛かった。
祟
あっぶ...ッ‼︎
俺は間一髪のところで避け いつでも逃げ出せるように 扉の近くまで来た。
祟
おい、どうしてこんなことするんだ...?
薊
はあ?どうしてだあ?
薊
そんな自覚もないの?
薊
チッ...うぜぇからさっさと死ね‼︎
彼女はそう言うと 再び俺に襲い掛かろうとした。
祟
うおおおッ‼︎
俺は近くにあった机を 彼女めがけて投げつけた。
薊
いってーなぁッッ‼︎
彼女の声と同時に 俺は教室を飛び出した。
靴箱
祟
はぁ...はぁ...はぁ...
祟
ヤバ過ぎだろ...アイツ...
俺は何とか1階まで降りて 彼女との距離を保った。
祟
このまま帰りたい...が、アイツに聞きたいこともある...
祟
はあ...てか何で周りの生徒は助けてくれないんだ...
祟
ノイズ化が始まった影響とかもあるのか...?
俺がそんな考察をしていると 遠くの方で酷く不快な音が 聞こえてきた。
例えるのなら 黒板を爪で引っ掻いた ような音だ。
そしてその音はやがて 俺の前に姿を現した。
薊
殺す殺す殺す殺す...
彼女の手には包丁が 握られており 「殺す」とずっと呟いている。
祟
聞きたいことがあったけど...どうやら聞く耳を持たなそうだな...
薊
殺す...殺してやる...
薊
死ねぇッ‼︎この“犯罪者”がぁ...あ...
彼女は俺に突撃しようとした 途端、力が抜けたように 地面に倒れ込んだ。
祟
なっ...これってまさか...
《ディンドン ディンドン♪》
祟
この音...
《警告、2回目》 《退場まで残り1回》
祟
次、鬼怒川さんが警告を受けたら退場まで残り0回...
祟
つまり4回目は止めてもらえないか、鬼怒川さんが罰を受ける...
祟
取り敢えず包丁だけ取り上げよう...
俺は鬼怒川さんの手から 包丁を抜き取ると 傘立ての下に隠した。
そして俺は後ろを振り返らず 家路を急いだ。