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テラーノベル(Teller Novel)

木島香

先輩、やっぱり寝てたんですね。もう~起きてくださいよ

私は図書室の隣にある書庫の扉を開けた。 そこで目に入って来た光景に私は呆れ声をあげてしまう。

あまね

あ~、カオちゃん。おはよう

木島香

おはようじゃないですよ。さぼるの禁止です

あまね

「いいじゃない。この時間なんて殆ど人来ないしね……ふぁああああああああ」

木島香

も、もう~。しょうがないな。とりあえず、起きて、受付にきてください

あまね

はいはい。わかりましたよ~

茶がかったくせっ毛頭をカキカキ。未だ眠気が抜けない様子ではありながら、あまね先輩は私に続いて図書室に戻って来てくれた

この学校の図書委員会は放課後に持ち回りで受付係を務める事になっている。  今日は一年生の私、木島香と二年生のあまね先輩の日だった。

木島香

もう、トイレに行くっていっておきながらいつの間にか書庫に忍び込むなんて、フェアじゃないですよ

あまね

だってさ~。しようがないじゃない。ここって暖かくて静かだし、やる事もないと眠たくなっちゃうよ

木島香

気持ちは分かりますけど。決められた事なんだから守って貰わなきゃ

あまね

真面目だな~、カオちゃんは。そりゃボクだって、仕事があれば頑張るけどさ

木島香

誰か来るかもしれないでしょ。それを待つのも仕事です

あまね

む~~。さっきから正論ばっか

木島香

正論ってわかってるなら、口答えしない事

あまね

はーい

敢えて低い声を出しておどけた様に言う先輩。反省の様子はない。それに対して反応する事もせずに文庫本を片手に持って言った。

木島香

……。ここで本読んでればいいじゃないですか。それは禁止されていないんですから

あまね

うーん。まあ、そりゃそうなんだけどさ

木島香

先輩だって本が好きでこの委員会に入ったんじゃないですか

あまね

うーん。確かにそうなんだけどさ、受付とかをやりながらだと何だか気が散って読書に集中できないんだよね~。100%楽しめないっていうか……

木島香

そんなもんですか? 私は気になりませんけど

私はどちらかというと活字中毒なので、 暇な時間があったら何か読む文字を探してしまうタイプだ。が、

あまね

カオちゃんは集中力が高いのかもね。ボクは無理なんだよ

木島香

でも、電車の中とかでは読んでるんでしょ

 確か以前、通学の電車で本を読んでいると話していた筈だった。 その為の本を常に鞄に忍ばせていると聞いた覚えがある

あまね

電車は区間がきまってるからさ、その期間の間は集中できる。でも、受付っていうのはいつ人が来るかわからないじゃん

とはいえ、朝の電車などはかなりの混雑が予想される。 その中で本を読むのと、受付仕事をしながらでもこうしてゆったりと読書するのと果たしてどちらが落ち着いた環境か。私は後者だと想うのだが。

木島香

まあ、そういうもんなんですかね

あまね

どうせだったら、書庫に居た方がいいな

木島香

だからって、寝て良いことにはなりませんよ

あまね

寝ないにしてもさ、書庫の整理とかして身体動かした方がまだ楽かな

木島香

何いってんですか。それやろうとして、この間脚立から落っこちたでしょ

あまね

たははは。確かにあれは危なかったな~
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