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祝.福のメ.シアとア.イの.塔 3

祝.福のメ.シアとア.イの.塔 3

「祝.福のメ.シアとア.イの.塔 3」のメインビジュアル

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祝.福のメ.シアとア.イの.塔 3

♥

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2020年08月08日

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エーミールside

チーノ

…次は『白銀の園』ですね

エーミール

そうやね……

白銀ってことは、雪とかなんかな……?

チーノ

……あ、見えてきましたね

……この2人はどうなんやろ…?

横取るん、かな……

頭の中を嫌な考えが横切ってしまう

…やがて『祝福』のある扉の前に辿り着いた

エーミール

なんか、ここだけ冷えてますね……

チーノ

まぁ『祝福』がそうですからね……

ショッピ

………

エーミール

ショッピ君、さっきから静かやけど具合悪いんか…?

エーミール

それやったら休んでも_

ショッピ

いや、そういう訳やないです

ショッピはエーミールの言葉を遮るように言った

エーミール

な、ならええんやけど……

ショッピ

…2人共、あとは頑張ってくださいね?

エーミール

え…?

すると、双子の兄であるショッピは、 弟であるチーノを押しのけ、扉へと向かう

チーノ

待っ、て…! もう少し……

チーノは兄であるショッピの腕を掴み、足を止めようとする

ショッピ

…チーノ

ショッピは今まで聞いたことが無いような 低い声で弟の名を呼ぶ

チーノ

っ…!!

ショッピ

…これが兄としてのさいごの役目や

さっきの声とは正反対の、優しさを含んだ声でそう言った

エーミール

(最後の役目…?)

エーミール

(…それじゃあ、まるで……)

ショッピ

それじゃあな、チーノ!

ショッピ

お前はもう少し生きるんや…!!

歓喜の雫を流しながら、ショッピは扉へと入っていった

チーノ

ショッ……ピ…!!

え…? もう少し……

エーミール

(生きる…?)

さっきの言葉といい今の言葉といい……

エーミール

(まるで"最期"みたいな……)

扉は音を立てて閉まってしまった

チーノ

おいてか、ないでよ……

チーノは今にも泣き出しそうな声で呟く

エーミール

…チーノさん……

チーノ

……エミさん、もう次の『祝福』に行こ…?

チーノ

これ以上… ここにいたくない……

エーミール

そう、ですよね……

エーミール

それじゃあ… 行きますか………

ショッピside

ショッピ

っ…… チー、ノ…

視界がどんどんぼやけていく…

泣いてる姿… 見られてもうたかな……

ショッピ

見せたく…なかっ、たのにな……

ショッピは、ぼやける視界の中で『祝福』の目の前まで歩く

あぁ… そうやん

この『祝福』に触れれば見られんくてすむ……

ショッピ

(この涙が流れる前に……)

そして、ショッピは『祝福』へと触れた

『祝福』に触れた瞬間、指先から物凄い速さで凍っていく

ショッピ

…チーノ、待っとる…からな……

その言葉を最期に、ショッピは完全に凍てついてしまった

目に溜まった涙が流れる前に__

エーミールside

エーミール

…なぁチーノ君

チーノ

……なんですか…?

エーミール

この際やから聞くけど…

エーミール

祝福…横取るつもりなんやろ?

チーノ

…さっきからも言ってる通り……

チーノ

チーノ

横取る気はないですよ

エーミール

…………

横取る気"は"…?

エーミール

そう、ですか……

横取る気はないって…… それじゃあ他に…

チーノ

…着きましたよ、『祝福』に

チーノ

チーノ

……9つ目の『祝福』は『眠れるマグマの胎動』か…

小さく、チーノはそう呟いた

エーミールは、そのチーノの呟きで 次の行動を確信した

エーミール

(祝福… とられるんやろな……)

予想通り、チーノは迷いなく『祝福』へと足を進める

チーノ

…エミさん、俺 あのこと忘れてませんからね

チーノは突然、エーミールにそう呼びかける

エーミール

何を…ですか?

チーノ

俺とショッピがこの村に引っ越して来た日のことです

引っ越して来た日のこと…?

チーノ

…覚えてませんか? 俺が自己紹介し終わった後のこと……

エーミール

……あ

チーノ

思い出しました…?w

…きっと、あれのことだ

エーミール

あの… クイズの件のこと…?

チーノ

そうです、せっかくみんなと仲良くなろうと
クイズを考えて来たのに…

チーノ

あなたが全部答えたから!

エーミール

た、確かにそれは悪いとは思っとる…

エーミール

君の見せ場を潰してしまったんやし……

チーノ

…だから俺、その時言いましたよね?

チーノ

いつか仕返ししてやる… って

まさか、、、

エーミール

だから…チーノ君は『祝福』を……?

チーノ

…そうですよ!

チーノ

……それじゃ、これは俺が貰いますね

チーノはそう言って足を踏み入れた

チーノ

アッハハハ♪

チーノは誇らしいような表情をしながら笑った

最後の扉は、音を立て閉じ始める

エーミール

(祝福は…1つも賜えんかったな……)

扉が閉まる…という直前で、チーノは悲しげな表情を浮かべていた

エーミール

え… チーノ、さん……?

なんで、、そんな悲しい顔を…?

チーノside

チーノ

俺が… 最後か

…エミさんに嘘見抜かれたやろか…?

チーノ

(あんなこと、恨んでなんかいないんやけどなぁ…)

エミさんには、少しでも長く『祝福』の真実に 気付いてほしくない…

そんな一心でついた嘘やけど……

チーノ

我ながら下手くそだったなぁ…w

……早く『祝福』に触れんと、エミさんが火を灯せないな…

チーノ

…みんながここまで繋いでくれたんや……

チーノ

ここで途切れさせる訳にはいかん…!

チーノは『祝福』へと手を伸ばし、触れた

すると、ゴポゴポという音と共にマグマが部屋に流れてきた

チーノ

熱そうやなぁ…

マグマは、我先にとチーノを目掛け流れていく

やがて、マグマはチーノの足に触れた

チーノ

っ…!!

熱いなんて言う暇もなく、足は溶けてしまった

チーノ

う、あっ…!

足が溶けてしまったことで、チーノは マグマの海へ倒れてしまった

チーノ

(苦しい…けど……)

チーノ

(みんなもこんな思いをしたんや…!)

チーノ

(俺だけや、ない…)

倒れてしまったチーノは、マグマを這うことしか 出来なくなってしまった

チーノ

ようやく、みんなの…所に、、いけ……そう………

チーノは最期そう言って、動かなくなった

エーミールside

信じた仲間、みんなに裏切られた……

エーミール

祝福は全て横取られてしまったし…

村のみんな…

オスマンさん、ひとらんらんさん…

エーミール

ごめん、なさい……

手に持っているトーチを何度も見るが、火は灯っていない

それはすなわち、『祝福』を受け取れていないことを示す

それでも、メシアであるエーミールは 祈りの祭壇へと向かう他ない

エーミール

祭壇へ… 行かないと……

灯らぬトーチを掲げながら……

祈りの祭壇へ__

エーミール

…ここが、祭壇……

祭壇の周りには、不気味な骸骨の像が9つあり 赤い蝋燭を持っている

なんか… 不気味な感じ、やな……

エーミールは恐る恐る祭壇へと足を進める

エーミール

(なんか…骸骨の像に見つめられている…?)

祭壇に近付けば近付くほど、骸骨の像と目が合「ってしまう

やがて、エーミールは祭壇の目の前まで来た

エーミール

(…そういえば、この骸骨の像……)

祝福の数と… 同じ?

??

塔の中に封じられし『祝福』

エーミール

だ、誰や…!?

突然、エーミールに語りかけるような声が聞こえた

??

……という名の

??

メシアに課せられた『贖罪』

エーミール

……え?

エーミールの目の前には、表情がよく見えない 人物のような黒い影が立っていた

贖、罪…?

その言葉を聞いた途端、またもやエーミールは頭痛に襲われた

エーミール

あ、あぁ……

しかし、今回は頭痛だけではなく……

エーミール

そう、やった……

昔、本で見た事も思い出したのだ

なんで、、今まで忘れていた…?

エーミール

それじゃあ… みんな、は…

考えたくもない、思い出したくもない……

しかし、無情にもその影は思い出させてくる

??

【贄】と共に乗り越えたメシアよ…

嫌… それ以上……

エーミール

思い出させんといて…!

しかし、影は言葉を続ける

??

今こそ 新しき楽園の命、継ぎ足せ__

エーミール

っ…ぅ、みな、、さん…!

影は、そこまで言うと言葉を止めた

エーミール

……あ、なたは、誰… なんですか……?

エーミールは影に問いかける

??

……俺は、前回のメシア

エーミール

前回、の…?

??

そうだ。 15年前、俺はこの塔に登り火を灯した

??

…あれから15年、次のメシアであるお前を待ち続けていた

エーミール

(待ち続けていた……)

??

……お前の仲間達も良い奴らだったな

兄さん

塔の仕組みを伝えなかったんだから…

??

さすがグルッペンの仲間だよ…

今… グルッペンさんの名前を……?

エーミール

グ、グルッペンさんのこと… 知ってるんですか……?

??

…知ってるも何も、俺はアイツの友人だったからな……

グルッペンさんの友人であり… 前回のメシア……

エーミール

(もしかし、て……)

エーミール

兄、さん…?

??

…そうだよ

兄さん

グルッペンから、俺の話は聞いていたのか…

エーミール

はい…

エーミール

…あの、1つ聞いても良いですか…?

兄さん

別に構わないけど…

エーミール

…あなたはこの塔に登るとき、塔の仕組みについて
知っていましたか、、、?

兄さん

…それは、俺も忘れていた
小さい頃、話を聞いていたはずなのに……

兄さん

……おそらく、神が記憶を消したんだろうな
…俺の憶測だが

エーミール

なるほど… ありがとうございます……

記憶を… 消されていたんか……

兄さん

…それじゃあ、エミさん

兄さん

楽園の命、継ぎ足して_

黒い影、兄さんがそう言うと、骸骨の像が持っている 赤い蝋燭に1つ火が灯った

途端に、最初の『祝福』…もとい『贖罪』の 紋章が浮かび上がる

しかし、それだけではなく…

エーミール

ぇ… ゾム、さん……?

ゾムの最期のシーンであろうものが、シルエットで映し出された

兄さん

これはゾムだね
荒波に溺れ沈み……

なんで… なんで私……

赤い蝋燭に、また1つ火が灯され紋章とシーンが浮かぶ

エーミール

炎… トント、ンさん……

兄さん

これはトントン
業火の海を舞い……

兄さんが言う度に、蝋燭に火が灯される

もちろん、紋章とシーンも一緒に

エーミール

コネシマ…さん

兄さん

これはコネシマ
無慈悲な干天な頽れて……

エーミール

ぁ…大先、せ……

兄さん

これは鬱先生
永遠に明けぬ闇に狂い……

兄さんはどんどん語っていく

エーミール

シャ、オロンさ……

兄さん

これはシャオロン
大地に呑まれて……

兄さんがそこまで言うと、先の5人の声が聞こえてきた気がした

zm,tn,kn,ut,sha

〈エミさん独りで、いかせはせんから…!〉

エーミール

みな、さん……!

そして、また1つ赤い蝋燭に火が灯る

エーミール

グルッ…ペンさん……

兄さん

これはグルッペン
裁きの雷に打たれ……

エーミール

ロボロさ……

兄さん

これはロボロ
風刃に裂かれて……

エーミール

ショッ、ピ君……

兄さん

これはショッピ
心ごと凍らされて……

エーミール

チ、チー…ノ君……

兄さん

これはチーノ
灼熱を這う……

エーミール

うっ…… ぁ……みな、さん……

エーミール

ごめんなさい……

ゾム

エミさん! 泣かんといてや!!

前から聞き覚えのある声が聞こえる

エーミール

ゾ、ムさん……!?

目の前には、身体が透けているゾムがいた

ゾム

エミさんが謝ることなんてない! だから、大丈夫や!!

エーミール

ぅ…… ゾムさ…ん……!

ゾム

大丈夫やで、エミさん…

ゾム

健やかな時も、病める時も、ただ信じて……!

ゾムがそう言っている間に、みんなも目の前に姿を表して…

全員

共に分け合ってこうや!!

エーミール

み、なさん… ありが、とう……

エーミール

命を… かけ、てまで……

すると、全員はエーミールを見て優しく微笑んだ

兄さん

さぁ、エミさん……

兄さん

導きの火を繋げ…

ゾム

大丈夫やエミさん、俺らがおるから!

トントン

心配せんといて!

兄さん

尊き贄の果て……

コネシマ

俺らはいつでも助けるから!

赤い蝋燭から、どんどん蝋が祭壇へと流れていく

兄さん

愚かなる連鎖は永遠に繰り返す…

鬱先生

裏切ったりなんか、絶対せぇへん!

シャオロン

次の世界でも、一緒に遊ぼうや!

兄さん

信じ合った仲間たちに助けられて……

グルッペン

次も全員で会おうな!

兄さん

勝ち取った火を高く掲げて………!

その瞬間、祭壇に世界の寿命が灯った

その灯火は、この世で1番美しいものだろう

兄さん

暁の鐘が鳴く…

ロボロ

また馬鹿みたいに笑い合おうな!

ショッピ

またいろんなお話聞かせてくださいよ!

兄さん

栄光の調べ…

チーノ

俺等は、いつまでもエミさんのことを待つから!!

エーミール

みなさ、ん…! ありがとうござ…います……

私は…ここまでみんなに支えてもらってたんか……

横取ったなんか言ってごめん… そんな訳や無かったんやな……

ありがとう… みんな、ありがとう……

…すると、突然エーミールに異変が起きた

エーミールは、まるで何かに取り憑かれたかのように 静かに笑い出した

その額には、何かの紋章の様なものが浮かび上がっている

エーミール

フフフッ… アハハハハハ!!

その時、何者かが天から兄さんを迎えに来た

??

兄さん、迎えに来たよ!

兄さん

しんぺい… ありがとうな、待っててくれて

しんぺい神

待ってるに決まってるじゃん!

しんぺい神

…それじゃ、メシアはエミさんと交代だね

しんぺい神

兄さん、お疲れ様!

そういうと、2人は徐々に消えていった

エーミール

ハハハハッ!

…やはり、エーミールには何者かが憑いてるのだろう

その何者かが、エーミールの口を借りて語り始めた

すると、天気が急変し 雷はとどろき、嵐は吹き荒れた

エーミール

「私はこの世界の創造主、お前たちの言うところの神である」

エーミール

「メシアと9人の贄たちよ、よくぞここまで頑張った」

エーミール

「恨むのならば、お前たちの先祖を恨むが良い」

エーミール

「お前たち人間が滅ぶまで、これは続けられる」

神はそう告げて大きく笑った

みなさんありがとう… これでオスマンさんたちも救われる……

みなさんの命と引き換えで__

…気付けば額から紋章は消えていた

エーミール

みなさん、私も今……

エーミール

そちらに、いきますから……!

エーミールは、涙を流しながらありったけの声でそう言った

あぁ、私はみなさんから沢山の"愛"と"哀"を頂いたなぁ……

そして、メシアであるエーミールは

祭壇に手を伸ばした__

同時刻 オスマンside

オスマン

嵐が… 止んだ……

ひとらんらん

さっきまでの嵐が嘘みたいに快晴に…

オスマン

……火を、灯したの…かな?

ひとらんらん

……そうみたい

ひとらんらん

ほら、火が灯ってる

オスマン

ほんとが……

てことは、みんなはもう……

ひとらんらん

マンちゃん、そんな暗い顔しないで!

ひとらんらん

そんな暗い顔してると、みんなが心配しちゃうよ!

オスマン

! そうめぅね…!!

オスマン

…今生きているこの1秒1秒を大切にしなきゃやね…

ひとらんらん

そうだよ、みんなが灯してくれたんだから…

オスマン

みんな、ありがとうな…

10人の話は、オスマンたちによって歴史に残ることになる

この作品はいかがでしたか?

152

コメント

5

ユーザー

泣いた…

ユーザー

((^ω^≡^ω<ギャアアアアアアア 涙止まんない))))))))

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