タミヤ
口紅かー
レイ
.....やっぱり、変?
ニコ
いや、とっても似合ってる。
カネダ
うんうん!キレイだよ、レイちゃん....。
レイはタミヤの膝に乗り、ニコとカネダはレイの左右の膝に頭を乗せている。
レイ
...二人とも膝好きだね。
カネダ
うん...レイちゃんの膝落ち着くよ...
ニコ
同じく
タミヤ
わかるわ~。
タミヤ
レイ、ちょっとこっち向いて。
レイ
ん?
タミヤ
...(かぷっ)
レイ
!?
タミヤの言われた通り、振り向いたレイ。すると、タミヤに下唇を甘噛みされた。
レイ
....びっっくりした...
レイ
食いちぎられるかと....
タミヤ
どこのホラー映画だよ。
ニコ
タミヤ、レイを傷つけたら許さんぞ....
タミヤ
わかってるって。
カネダ
タミヤくん、レイちゃんの唇どうだった?....
タミヤ
口紅のせいか、イチゴみたいな香りがした。
レイ
あぁ....そういえば、あの口紅。イチゴの香りしたかも...
カネダ
そうなんだ?...レイちゃん。僕にも....
ニコ
俺も....
レイ
はいはい....
餌を求める小鳥のように『俺も俺も』と口づけをせがむ彼ら。
ほんのりだが、口紅の色が移ったのか、唇が赤くなっていた。
確かにイチゴの香りが口に広がる。いい香りだが。
レイ
....本気で食いちぎられそうだから、これっきりもう口紅塗らない。
ニコ
.....タミヤ
タミヤ
俺のせいかよ~
カネダ
こ、今度。レイちゃんに似合う口紅あげるよ....
レイ
お気持ちだけ...
カネダ
えー...(汗)
そして、この状況に慣れてしまった自分が怖い。
レイはこの三人からの愛情を平等に、受け止めることにした。
もし、自分の受け止める器が壊れてしまったら、遠慮なく自分を切り捨てるようにと彼らにあの日伝えた。
だから、レイからはなるべく三人を愛さないようにしている。
タミヤ
レイ、好きだぜ
ニコ
俺も好きだ...
カネダ
ぼ、僕も好き....
と言われれば返事はいつも決まって
レイ
....<知ってる>よ。
『私も』なんて言わないのでなく、<言えない>のだ。
それでも、満足しているこの三人も
自分自身も。
イカれているのだ。
それを自覚しているのは、レイチェルただ一人。
完。