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死者の迷宮

死者の迷宮

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1

死者の迷宮 第1話

♥

205

2021年08月08日

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天月

…………

天月

ん…

天月

あれ…ここは…?

目を覚ますと そこは廃墟の病院だった

天月

あぁ…そうだ

天月

友だち3人と肝試しに来て──

天月

それで…

天月

何でこんな所に倒れてるんだ…

重く感じる体を起こす

天月

痛ッ──!!

ピリッとした痛みが頭に走った

天月

くっ…倒れたときに、頭でも打ったのかな

天月

…っていうか、みんなどこだ?

天月

そうだ、スマホで連絡すれば…

天月

って電波ないや…

天月

ここ山の中だし、電波入りにくいって話してたっけ

天月

とりあえず3人を探さないと…

天月

おーい、一ノ瀬(いちのせ)ー!

天月

結城(ゆうき)ー?

天月

伊織(いおり)ー!

3人を呼ぶ声は静まり返った廃墟に響き、消えた

天月

…………

天月

…あの3人どこ行っちゃったんだろう

天月

っていうか…廃墟の病院で1人はさすがにちょっと──

天月

ちょっとどころじゃない、だいぶ嫌だな

天月

出入口に行こう

天月

外に出たら電波が拾えるかも

天月

…たぶんこっちが出入口かな

天月

スマホ…スマホ…っと

天月

電波がなくても明かりとしてなら使えるな

コツン…コツン… 足音が静まり返る廃墟に響き渡る

天月

ちょっと肌寒いな…

天月

9月の夜の山の中…

天月

昼間だと、まだ夏って感じだけど夜はもう冷えるのかな

天月

にしても感覚的には冬前ってくらい寒いぞ…

天月

しかも静かすぎて不気味だ…

クスクスクス…

天月

天月

…何だ…今の…

天月

笑い声…?

天月

女の子っぽい感じの笑い声だったけど…

天月

伊織…?

天月

誰かいるのか?

笑い声は闇の奥に吸い込まれるように消えた

天月

…………

天月

何なんだ…

天月

しかもずっと誰かに見られてるような…

背中に視線を感じる けど振り返りたくはなかった

天月

気のせいだ

天月

そう、怖いと思うから怖いんだ

自分に言い聞かせ、重い足を前に進めた時だった

ヒタ…ヒタ…ヒタ…ヒタ…

天月

!!

天月

足音…?

天月

…おい!

天月

悪ふざけだったら怒るぞ

天月

い…一ノ瀬たちだろ?

天月

そういうのやめろよ!

ヒタ…ヒタ…ヒタヒタヒタヒタヒタヒタ

足音が早くなりこちらに近づいてくる

天月

ぉ…おい…僕が怖がりなの知ってるだろ!?

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタ

天月

待ッ…!

天月

ちょっと、本気で怖いって…!

裸足でコンクリートの上を走るような足音だ その足音から逃げるように走り出す

天月

はぁはぁはぁ…!

訳も分からず走る 気づいたときには何も聞こえなくなった

天月

はぁはぁはぁ…!

天月

はぁ──はぁ──

天月

何だったんだ…

天月

悪ふざけにしては手が込みすぎ…

天月

っていうか一ノ瀬はそんな悪ふざけするキャラじゃないし

天月

伊織も真面目だからな

天月

やるとしても結城だけど…

天月

あいつなら僕が怖がってるの見た時点で大笑いしてるはずだよな

天月

…………

天月

じゃぁさっきのは一体…?

天月

…ダメだ

天月

考えると余計に怖くなるし、さっさと出入口に…

天月

あ…よかった、ここは見覚えがある

天月

もう出入口だ

天月

一ノ瀬ー!

天月

結城ー!

天月

伊織ー?

天月

いるかー?

天月

…………

天月

いない…か

天月

とりあえず3人に電話するために外に…

カゴンッ!

天月

え…何で…

天月

何で開かないんだ?

ガタン!ガタン!ガタン!

天月

ダメだ…開かない…

バンバンバンバン!

天月

くっ…ダメだ…

天月

はぁ~…

天月

ってことは3人もまだ中にいるのかな

天月

それとも…外に出たかな

天月

僕のことを置いていく…なんてありえない

天月

小さい時から、ずっと4人一緒だったんだ

天月

そんなやつらじゃない…

天月

はぁ~…どうしよ

ドアの前で座り込み考える

天月

…………

天月

っていうか何で僕は1人になったんだ?

天月

3人とは、いつはぐれたんだ?

天月

それに何で僕は1人で倒れてたんだろう

天月

ここに来た時のことは覚えてる

天月

この入口から入って…

天月

その時は鍵もかかっていなかった

天月

もしかして他にも誰かいるのか?

天月

ここは有名な心霊スポットだもんな…

天月

僕たち以外がいてもおかしくない

天月

でも…ドアに鍵をかける意味もわからない

天月

そもそも結構前に廃病院になったから鍵なんて無いはず

天月

じゃぁ何で鍵なんか…

心細さからか、独り言が止まらない 喋らなければ1人だと強く実感し、前に進めない気がした

天月

…考えても分からない

天月

それより3人がまだ中にいるとしたら合流しないと

天月

っていうか1人は嫌だ

天月

…よし!

3人を探そうと決め勢いよく立ち上がり 振り返った瞬間、息を呑んだ──

天月

!!!!!

 

首から真っ赤な血を流す女が 真っ黒な瞳でこちらを見つめて立っていた

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コメント

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ユーザー

怖いーフォロー失礼します!

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